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コモディティ化とは? 10分でわかりやすく解説

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目次

この記事では、コモディティ化とは何か、そのメカニズムやIT分野における具体的な事例、そして企業がとるべき対策について解説します。コモディティ化に巻き込まれたときに起こるリスクだけでなく、「あえてコモディティ化を前提にした」差別化戦略やビジネスモデルの構築の考え方も整理します。読み終えるころには、自社の製品・サービスがどの段階にあるのかを見極め、次に打つべき一手を検討するヒントが得られるはずです。

コモディティ化とは何か

コモディティ化とは、製品やサービスが同質化し、価格以外の差別化要因が乏しくなり、激しい価格競争に陥る現象を指します。IT分野では、ハードウェアやソフトウェア、インフラサービスなど、多くの領域がコモディティ化の影響を受けています。

一見すると「価格が下がって利用しやすくなる」というポジティブな面もありますが、供給側の企業から見ると、利益率の低下やブランド力の低下など、大きなインパクトをもたらす重要なテーマです。

コモディティ化の定義

経済学的には、コモディティ(commodity)は、原油や小麦のように「誰が供給してもほぼ同じ価値を持つ財」を指します。これがIT分野やサービス領域にも拡張され、次のような状態をコモディティ化と呼びます。

  • 製品・サービスの機能や品質が業界内で均質化している
  • 顧客が「どの会社のものでも同じ」と感じやすい
  • 価格以外に選定理由を見出しにくくなる

結果として、競合他社との差別化が難しくなり、価格を下げることでしか競争できない状態に陥りやすくなります。

IT分野における典型的なコモディティ化の対象として、次のようなものが挙げられます。

  • パーソナルコンピュータのハードウェア
  • オフィスソフトウェア(ワープロ、表計算などの標準機能)
  • ウェブホスティングサービス
  • クラウドストレージサービス

コモディティ化が起こる要因

コモディティ化は偶然発生するのではなく、いくつかの要因が積み重なって起こります。主な要因は次の通りです。

  1. 技術の成熟と標準化
    技術的なブレイクスルーが落ち着き、多くの企業が同レベルの機能・品質を実現できるようになります。業界標準規格が整備されると、互換性が高まり、どのベンダーでも「一定レベル以上は当たり前」の状態になります。
  2. 市場の成熟と飽和
    成長初期には新規ユーザーの獲得で市場が拡大しますが、普及が進むと新規需要が減少し、既存顧客の取り合いになります。その結果、価格を下げてシェアを取りにいく動きが強まります。
  3. 競合他社の増加
    参入障壁が下がると、多数の企業が似たような製品・サービスを提供し始めます。「機能が揃っていること」自体が当たり前になり、顧客は価格を中心に比較するようになります。
  4. 代替品・サブスティテュートの出現
    異なる技術やサービスモデル(例:オンプレミスからクラウド、買い切りからサブスクリプション)による代替が進むと、従来製品は差別化要因を失いやすくなります。

これらの要因が重なり合うことで、製品やサービスの機能・品質の差が小さくなり、価格が主要な競争要因になるのが、コモディティ化の典型的なパターンです。

コモディティ化の進行プロセス

コモディティ化は一夜にして起きるのではなく、一般的には次のようなライフサイクルを経て進行します。

段階特徴
イノベーション期新しい技術や製品が登場し、差別化要因が多く、高い利益率を実現できる。
成長期市場が拡大し、競合他社が増加。機能の優劣やブランドによる差別化が効きやすい。
成熟期主要プレイヤーが出揃い、製品・サービスが標準化。顧客から見ると「どれも似ている」状態になる。
衰退期価格競争が激化し、利益率が低下。規模の小さい企業は撤退や統合を迫られる。

企業にとって重要なのは、自社の事業がどの段階にあるのかを見極め、コモディティ化が進む前から新たな価値創出やビジネスモデルの転換を検討することです。

コモディティ化の影響

コモディティ化が進むと、企業には次のような影響が生じます。

  • 利益率の低下:価格競争に巻き込まれ、値下げ圧力が強まることで収益性が悪化する。
  • 差別化の難しさ:機能・性能・品質の差が小さくなり、マーケティングメッセージだけでは違いを訴求しにくくなる。
  • 価格競争の激化:キャンペーンや値引きが常態化し、価格以外の訴求が顧客に届きづらくなる。
  • 市場シェアの変動:大手や低コスト構造を持つ企業にシェアが集中し、中堅・中小企業が苦戦しやすくなる。

このような状況に対応するために、企業は次のような方向性で戦略を検討することが推奨されます。

  • 基本機能に加えた付加価値の提供
  • 特定の顧客層に焦点を当てるニッチ市場への特化
  • 生産性向上や自動化によるコスト削減と価格競争力の強化
  • 周辺領域・上流・下流への展開などによる新たな事業領域への進出

IT分野では特に、クラウドコンピューティングやAIなどの新技術を活用し、単なる「箱売り」から「価値提供型サービス」へと軸足を移すことが重要です。また、自社の強みを生かしたサポートやコンサルティングを組み合わせることで、コモディティ化の影響を緩和できます。

コモディティ化の事例

ここでは、IT分野を中心に、コモディティ化が顕著に見られる代表的な事例を取り上げます。自社のビジネスと照らし合わせながら読むことで、今後の変化を予測する手がかりになります。

PCのコモディティ化

パーソナルコンピュータ(PC)は、かつては高価で特別な製品でしたが、技術の進歩と大量生産の進展により、急速にコモディティ化が進みました。現在では多くのPCが、CPUやメモリ、ストレージなど同じような部品構成で作られています。

その結果、PCハードウェアは機能や性能の差が小さくなり、価格が主要な競争要因となりました。ユーザー側から見ても、「用途に必要なスペックを満たしていればどのメーカーでもよい」と判断されやすい領域です。

スマートフォンのコモディティ化

スマートフォンも、PCと同様にコモディティ化が進んでいる代表例です。初期のスマートフォンは、タッチパネルやアプリストアなど革新的な機能を持つ高価な製品でしたが、現在では多くのメーカーが似たような機能・デザインの端末を提供しています。

特に、Androidを搭載したスマートフォン市場では、多数のメーカーが参入した結果、機能や性能の差は限定的になり、価格やブランドイメージが主な判断軸になりつつあります。

インターネット回線のコモディティ化

インターネット回線サービスも、コモディティ化が進んでいる分野の一つです。かつてADSLやFTTHなどの高速回線は「導入すること自体」が差別化要因でしたが、現在は多くの事業者が類似サービスを提供しています。

帯域や速度、安定性などの水準が一定のラインを超えると、顧客は「どの事業者を選んでも大きな違いを感じにくい」状態になりやすく、結果的に価格やキャンペーンが中心の競争になりがちです。

クラウドサービスのコモディティ化

クラウドサービス(IaaS、PaaS、SaaSなど)も、登場初期は革新的な技術を活用した高付加価値サービスとして扱われていましたが、現在では多くの事業者が参入し、基本的な機能・性能はおおむね揃ってきています。

とくにストレージや仮想サーバー、ウェブホスティングのような領域では、容量・スペック・SLAなどの条件が似通い、単価や無料枠の有無といった価格的な要素が比較の中心になりやすい状況です。

このように、ITの世界では技術の進歩と市場の拡大によって、多くの製品やサービスがコモディティ化の影響を受けています。企業は、単に価格で戦うのではなく、どこに独自の価値を作るかを明確にしなければなりません。

コモディティ化への対策

コモディティ化を「完全に避ける」ことは難しい場面が多いものの、適切な対策を講じることで、価格競争の渦中から一歩抜け出すことは可能です。

差別化戦略の重要性

コモディティ化が進む市場で企業が生き残るためには、まず「何によって差別化するのか」を明確にすることが重要です。差別化の軸としては、次のようなものが考えられます。

  • 機能・品質:信頼性やセキュリティ、サポート対応など、顧客が重視する品質要素で差をつける。
  • ユーザー体験(UX):利用のしやすさ、デザイン、導入・運用の手間など、「使い心地」で優位性を出す。
  • サービスモデル:サブスクリプション、成功報酬、マネージドサービスなど、価格以外の提供形態で差別化する。

差別化戦略によって、単純な価格比較だけでは測れない価値を提示できれば、一定の価格プレミアムを維持したまま事業を継続することが可能になります。

ブランディングによる差別化

ブランディングは、機能面では差がつきにくくなった市場で、なお顧客に選ばれ続けるための重要な手段です。強いブランドは次のような効果をもたらします。

  • 価格競争に巻き込まれにくくなる
  • 同等スペックでも「安心だから」「好感を持てるから」という理由で選ばれやすくなる
  • 採用決定の際に社内で説明・承認を得やすくなる

ブランドを築くには、一貫したメッセージ発信、ロゴやUI/UXのトーン&マナーの統一、顧客との丁寧なコミュニケーションが欠かせません。IT分野では、Appleのようにブランド体験そのものが差別化要因となり、コモディティ化の波を相対的に受けにくくしている企業も存在します。

付加価値サービスによる差別化

製品やコアサービスがコモディティ化していても、その周辺に付加価値サービスを組み合わせることで差別化することができます。

  • 導入支援・設定代行・運用代行などのプロフェッショナルサービス
  • データ分析や可視化レポートの提供
  • 業種別テンプレートやベストプラクティスの提供

例えば、クラウドストレージ自体はコモディティ化していても、「セキュリティ運用ルールの策定支援」や「監査レポートの自動出力」などを組み合わせることで、顧客にとっての価値は大きく変わります。単なる機能提供から、「成果を一緒に出してくれるパートナー」にポジションを移すイメージです。

ニッチ市場への特化

市場全体がコモディティ化しているように見えても、細かく見ていくとまだ十分に満たされていないニーズを持つニッチ市場が存在します。特定の業界・業務プロセス・地域などに特化することで、次のようなメリットがあります。

  • 顧客の課題を深く理解できるため、汎用製品では提供しづらい価値を提供しやすい
  • 競合が少なく、価格以外の要素で選ばれやすい
  • 顧客との関係性が長期的になりやすい

IT分野では、特定業種向けの業務特化型SaaSや、特定規模の企業向けに最適化されたクラウドサービスなどが、ニッチ市場戦略の代表例です。

このように、コモディティ化への対策としては、差別化戦略・ブランディング・付加価値サービス・ニッチ特化などを組み合わせ、自社の強みを軸に戦略を設計していくことが重要です。

コモディティ化時代のビジネス戦略

コモディティ化そのものは経済の自然な流れでもあり、「防ぐ」だけでなく「前提として受け止めたうえでどう戦うか」を考えることが求められます。

コスト競争力の強化

コモディティ化が進む市場では、一定レベルのコスト競争力を持っていることが前提条件となります。次のような取り組みが有効です。

  • 生産・開発・運用プロセスの標準化と自動化
  • 部品・モジュールの共通化によるスケールメリットの追求
  • サプライチェーンの最適化や調達戦略の見直し
  • クラウドやRPA、AIなどによる業務効率化

ただし、コスト削減だけに偏ると、差別化の源泉を自ら削ぎ落としてしまうリスクもあります。「どこは徹底的にコストダウンし、どこに投資を集中するか」というメリハリが重要です。

イノベーションによる新市場の創出

高い利益率を維持したいのであれば、コモディティ化した領域から一歩抜け出し、イノベーションによって新しい市場やカテゴリを作り出すことが最も効果的です。

  • 既存技術の組み合わせによる新サービスの創出
  • 価格モデルの変更(買い切りからサブスクリプション、従量課金など)
  • 提供価値の再定義(製品販売から成果提供・サービス化へ)

IT分野では、AI、IoT、ブロックチェーンなどの新技術を組み合わせることで、従来の枠組みでは考えられなかったサービスを生み出すチャンスがあります。

エコシステムの構築

コモディティ化した世界では、単独の企業だけで全てを抱え込むのではなく、複数の企業が連携するエコシステム戦略も重要になります。

  • ハードウェア、ソフトウェア、クラウドサービス事業者が連携し、トータルソリューションを提供する
  • パートナー企業とAPI連携し、相互のサービス価値を高め合う
  • マーケットプレイスやアドオンエコシステムを構築し、サードパーティの力も取り込む

エコシステムをうまく構築できれば、自社単独では提供しきれない広がりを持たせつつ、コモディティ化しづらい「プラットフォーム」としてのポジションを確立しやすくなります。

データ活用によるビジネスモデルの変革

IoTやクラウドの普及により、製品やサービスの利用状況に関するデータを継続的に取得できるようになりました。このデータを活用することで、ビジネスモデルそのものを変革することが可能です。

  • 利用データに基づく予測保守や稼働最適化サービスの提供
  • 顧客行動データを活用したレコメンドやパーソナライズドサービス
  • 「モノの販売」から「利用結果・成果の提供」へと収益モデルを転換

このようなデータ活用型のビジネスモデルは、単なる機能比較やスペック比較では評価しにくく、コモディティ化しにくい構造を持ちやすいという特徴があります。

コモディティ化時代を生き抜くには、コスト競争力、イノベーション、エコシステム、データ活用といった複数の軸を組み合わせ、自社に合ったポートフォリオを構築していくことが求められます。

まとめ

コモディティ化とは、製品やサービスが同質化し、価格競争に陥る現象です。IT分野ではPC、スマートフォン、インターネット回線、クラウドサービスなど、多くの領域でコモディティ化が進行しています。

一方で、コモディティ化は必ずしも「悪」ではなく、それを前提にどのように差別化し、どこで利益を上げるのかを設計することが重要です。

  • コモディティ化は技術の成熟、競合増加、市場飽和などを背景に進行する
  • 放置すると価格競争・利益率低下・差別化困難などのリスクが高まる
  • 差別化戦略、ブランディング、付加価値サービス、ニッチ特化が主な対策となる
  • コスト競争力の強化と同時に、イノベーションやエコシステム構築、データ活用による新しいビジネスモデルの構築が重要

自社の製品・サービスがどの程度コモディティ化の影響を受けているかを定期的に点検し、「今の強みはどこにあるのか」「今後どこで差別化していくのか」を具体的に描くことが、コモディティ化時代を生き抜く第一歩となります。

FAQ

Q.コモディティ化とは何ですか?

コモディティ化とは、製品やサービスが同質化し、価格以外の差別化要因が乏しくなって価格競争に陥る現象を指します。顧客から見て「どの製品も大差ない」と感じられる状態です。

Q.なぜコモディティ化は起こるのですか?

技術の成熟や標準化、市場の飽和、競合他社の増加、代替技術の出現などが重なり、機能や品質の差が小さくなることでコモディティ化が進行します。

Q.IT分野でのコモディティ化の例を教えてください。

PCのハードウェア、スマートフォン、インターネット回線、クラウドストレージや仮想サーバーなどが代表的な例です。いずれも機能や性能が似通い、価格が主な比較軸になりがちです。

Q.コモディティ化が進むと企業にはどんな影響がありますか?

利益率の低下、差別化の難化、価格競争の激化、市場シェアの変動などの影響があります。規模が小さくコスト競争力に乏しい企業ほど打撃を受けやすくなります。

Q.コモディティ化を完全に防ぐことはできますか?

多くの場合、技術や市場の成熟に伴うコモディティ化自体を完全に止めることは難しいです。そのため、防ぐだけでなく、前提として受け止めたうえで差別化やビジネスモデルの転換を考える必要があります。

Q.コモディティ化への主な対策は何ですか?

差別化戦略、ブランディング、付加価値サービスの提供、ニッチ市場への特化などが代表的な対策です。自社の強みを軸に複数の手段を組み合わせることが重要です。

Q.中小企業でもコモディティ化への対策は可能でしょうか?

可能です。特定業界や用途に特化したニッチ戦略や、高付加価値なサポート・導入支援など、中小企業ならではのきめ細かなサービスで差別化することができます。

Q.コモディティ化と価格破壊は何が違いますか?

コモディティ化は製品が同質化する構造的な現象を指し、価格破壊は特定企業の大幅値下げなどによって市場価格が急激に下がる状況を指します。コモディティ化が進むと価格破壊が起きやすくなりますが、概念は別です。

Q.エコシステム戦略はコモディティ化対策として有効ですか?

有効です。複数の企業が連携してトータルソリューションやプラットフォームを形成することで、単体製品の価格競争から離れ、コモディティ化しにくいビジネスモデルを築けます。

Q.いつからコモディティ化を意識して対策すべきですか?

競合が増え、機能差での優位性が弱まり始めた段階から意識するべきです。成長期の後半から成熟期に入るタイミングで、次の差別化軸や新しいビジネスモデルを検討すると効果的です。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム