トレンド解説

セキュリティインシデントとは? 原因と対策や事例など

アイキャッチ
目次

企業においてITは経営戦略に欠かせないものになりました。ITシステムのセキュリティは重要性を増しており、セキュリティインシデントは企業活動に多大な影響を及ぼしかねないものとなっています。

「セキュリティインシデント」について、言葉は聞いたことはあっても具体的な内容についてはわからない、という方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、セキュリティインシデントの概要から原因、種類、対策方法とあわせていくつかの事例を紹介します。

セキュリティインシデントとは

セキュリティインシデントとは、情報セキュリティにおける事故や攻撃、セキュリティ上の脅威となる事象を表します。例えば、不正アクセスやマルウェア感染などのサイバー攻撃を受けた際や、情報漏えい事故などが起きた際に「セキュリティインシデントが発生した」と表現されます。

ITサービスマネジメントにおけるインシデントは、サービスの一時停止や機能しなくなった場合などの正常でない状態を指します。

2022年6月に実施した「企業ネットワーク及び関連システムに関する調査」の結果からも、多くの企業でインシデントが発生していたことが確認できました。

情報システム部門は、これらを未然に防ぐことを求められています。

セキュリティインシデントが発生する原因

セキュリティインシデントを発生させる原因は多種多様です。そのなかでも代表的な原因としては次のようなものが挙げられるでしょう。

  1. 脆弱性への対策不足
  2. 社内システム、体制、環境のアップデート不足
  3. 社員のITリテラシー不足

サイバー攻撃の初期段階ではOSやソフトウェアのセキュリティ上の弱点である脆弱性が狙われます。その結果、攻撃が成功してしまうと不正アクセスやマルウェア感染につながり、深刻なセキュリティインシデントに発展してしまいます。

IT技術は常に進化し続けており、旧態依然とした社内システムや体制、環境を技術の進化にあわせてアップデートしていない場合、脆弱性への対策不足などにつながるため注意が必要です。

また、社員のITリテラシーが低い場合、例えば業務利用を許可していないクラウドサービスを利用して業務データを漏えいさせてしまったり、マルウェアに汚染された不適切なソフトウェアをインストールして周囲に感染させてしまったりする恐れがあります。

このように、セキュリティインシデントは内外を問わずさまざまな原因によって引き起こされます。

セキュリティインシデントの種類

セキュリティインシデントの発生要因は、外部要因と内部要因の2種類が考えられます。

外部要因はサイバー攻撃をはじめとする外部からの攻撃であり、不正アクセスやマルウェア感染、標的型メール攻撃などが挙げられるでしょう。近年では特定の企業・人物を標的とし、実在する人物やサービスになりすましてメールを送り付ける標的型メール攻撃に注意が必要です。

内部要因は社員の不注意などの人的ミスや、悪意を持った社員の情報漏えいなどが挙げられます。人的ミスによるセキュリティインシデントの発生は珍しくなく、例えば誤ってデータを削除してしまうなどのオペレーションミスや、業務用パソコンを移動中の電車内で紛失するなどの事例は多く報告されています。

残念ながら、社員が悪意を持って情報を流出する事例もあります。ミスや故意にかかわらず情報を守るための仕組みづくりが欠かせません。

セキュリティインシデントへの対策

セキュリティインシデントへの対策は、外部要因・内部要因の両面から実施する必要があります。

外部要因への対策としては、セキュリティ対策製品の導入やネットワークの不正侵入対策、デバイスの定期的なアップデートなどです。導入するセキュリティ対策製品の例としては、ファイアウォールやIDS/IPS、WAFなどが挙げられます。

不正侵入への対策には「認証」が不可欠です。従来のパスワードのみによるユーザー認証ではなく、二段階認証や電子証明書などを利用した高セキュリティな認証システムの導入がおすすめです。また、OSやソフトウェアの脆弱性に対応するために、業務用パソコンやサーバーは定期的にアップデートを行い、常に最新の状態を保ちましょう。

内部要因への対策としては、社員教育やセキュリティ人材の確保が有効です。社内のセキュリティルールを作成し、遵守してもらう目的とあわせて社員のITリテラシー向上を目指した社員教育を実施します。セキュリティの知識やスキルを持つセキュリティ人材を積極的に採用し、外部・内部要因に対する抵抗力を高めることも重要です。

加えて、未然に防ぐための対策だけでなく、発生してしまった場合の対策も事前に行いましょう。セキュリティインシデントが発生した場合の対応方法などをまとめておけば、スムーズに対応を進められ、被害の拡大をおさえられます。

セキュリティインシデント事例

セキュリティインシデントは企業規模の大小に関わらず、多くの企業で発生しています。ここでは、2つの事例を紹介します。

1つ目の事例は、スマートフォン決済サービスを運営する企業の事例です。同企業が運営するサーバーが不正アクセスを受け、サービス加盟店の名称・住所・代表者名などの2000万件超の情報が流出しました。一般ユーザーの情報流出はないとされていますが、サービスの信頼性に大きな影響をおよぼすこととなりました。

2つ目の事例は、米国の大手パイプライン事業者の事例です。同社はランサムウェアを含むサイバー攻撃を受け、一時的に業務停止状態となりました。ランサムウェアはデータを暗号化して利用できなくし、解除のために身代金を要求するマルウェアです。同社が扱う生成燃料は1日あたり約38万キロリットルであり、業務停止により多大な損害を被ることとなりました。

今回紹介した事例はあくまでも一例であり、セキュリティインシデントは日常的に発生しています。2つの事例のように、セキュリティインシデントが発生することで企業は直接的な損害だけでなく、社会的信用にも大きな影響を受けることを覚えておきましょう。

セキュリティインシデントは情報セキュリティにおける事故や攻撃、セキュリティ上の脅威となる事象です。セキュリティインシデントが発生すると、企業は社会的信用の失墜や金銭面での損害など、その後の企業活動に多大な悪影響を与えます。

セキュリティインシデントは外部要因・内部要因があり、両面から対策を実施することが重要です。セキュリティインシデントを発生させないために、日頃から情報セキュリティ対策を欠かさないようにしましょう。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム