トレンド解説

アプライアンスとは? IT用語としての意味や種類など

アイキャッチ
目次

企業のシステムやネットワークを構築する際に、特定の用途や機能に特化したアプライアンスは強力な味方となります。多くのメリットをもたらすアプライアンスですが、実際どのような機器のことを指し、どのような種類があるのかについて、はっきりと答えることはできるでしょうか。

この記事では、アプライアンスの概要から種類、メリット・デメリットについて解説します。

アプライアンスとは

アプライアンスは、器具・装置・設備などを意味する単語です。IT用語としては特定の用途や機能に特化した専用の機器を表します。アプライアンスを利用すれば、システムやネットワークを構築する際に効率的に進めることが可能です。

ネットワーク機器やサーバー機器として提供されることが多く、用途ごとに機能が特化しているため、導入する環境にあわせた設定を行えばすぐに利用を開始できます。一から構築するよりも、はるかに効率的にシステムやネットワークの構築が実現できます。

アプライアンスの種類

アプライアンスのなかでもサーバー機能を提供する機器は「アプライアンスサーバー」と呼ばれます。例えば、Webサイトの構築などに利用するWebサーバーアプライアンスや、メールサーバーに特化したメールサーバーアプライアンスなどが挙げられるでしょう。

特にアプライアンスとして導入することが多いセキュリティアプライアンス・ネットワークアプライアンスについては、もう少し詳しく解説します。

セキュリティアプライアンス

セキュリティアプライアンスはセキュリティ機能に特化したアプライアンスです。おもに次のような機能を備えています。

  • ファイアウォール
  • VPN(Virtual Private Network)
  • IDS/IPS(Intrusion Detection System/Intrustion Prevention System)
  • アンチスパムメール
  • アンチウイルス
  • DDoS対策

など

ネットワークの通信経路上に設置することで、流れるデータをチェックして不正な通信を防ぎます。不正アクセスや情報漏えい、サイバー攻撃などに対するセキュリティ対策のために導入されます。

それぞれの機能に特化したアプライアンスも存在しますが、各種機能を1つにまとめたUTM(Unified Threat Management)もセキュリティアプライアンスの代表格の1つです。

ネットワークアプライアンス

ネットワークアプライアンスは、ネットワークの機能に特化したアプライアンスです。厳密には、ネットワークに接続して利用するアプライアンスを指すため、Webサーバーやメールサーバー、ファイアウォールなども含みますが、ここでは分けて説明します。

近年ではあらゆる業務でネットワーク接続が必須となっており、強固で使い勝手のよいネットワーク構築が欠かせません。そのために、ネットワークアプライアンスでは次のような機能を提供しています。

  • SSL暗号化
  • 負荷分散(ロードバランシング)
  • キャッシュ
  • 帯域幅管理
  • WANアクセラレーション

など

ネットワーク機器の1つとして、ネットワークアプライアンスを導入してネットワーク全体の強化をする例も多く見られます。

アプライアンスのメリット・デメリット

アプライアンスは多くのメリットをもたらします。それらの代表的な例を紹介すると共に、導入にあたって知っておくべきデメリットについても見ていきましょう。

メリット

アプライアンスを導入するメリットとしては、次のような点が挙げられます。

  • 運用管理負担が軽減できる
  • セキュリティを高められる
  • 導入コストを抑えられる

アプライアンスは特定の用途や機能に特化した機器です。そのため、不要な機能などは取り払われており、必要な設定さえ行えばそのまま導入できます。運用や管理の工程まで考慮した上で設計されており、例えばWeb画面で現在の状況やレポートなどを確認する機能を搭載しているアプライアンスも珍しくありません。

また、不要な機能がないため、一から構築するよりも脆弱性を含むソフトウェア類を含んでいない可能性が高くなります。セキュリティアプライアンスはもちろんのこと、アプライアンス自体が特定の用途のために専用設計されているため、セキュリティを高める設計となっています。

加えて、アプライアンスの導入に際してはコストがかかりますが、一から構築することを考えれば開発・導入にかかるコストを削減し、運用管理にかかるコストも最適化することが可能です。

デメリット

アプライアンスのデメリットとしては、拡張性が低いことが挙げられるでしょう。特定の用途・機能に特化しているということは、それ以外のことは基本的にできないということです。

Linuxサーバーなどで一から構築した場合には、後から拡張することも可能ですが、アプライアンス製品は中身を直接変えるようなことは原則できません。その点で、拡張性が低いといえますが、導入の際にしっかりと今後の計画まで考慮した上で導入すれば問題ないでしょう。

この記事のまとめ

アプライアンス機器か、汎用のハードウェアとソフトウェアを組み合わせて利用するかは、アプライアンスのメリット・デメリットを理解して決めましょう。

特定の用途や機能に特化したアプライアンスは、企業のシステムやネットワーク構築に欠かせない存在です。アプライアンスと一言でいっても、その種類はさまざまであるため、導入する際には自社にとって何が必要なのかを事前にしっかりと把握することが重要です。

導入も容易で運用・管理の負担も軽減できる反面、拡張性は高くないため、一から構築するのかアプライアンスを導入するのかは、導入前にしっかりと計画しましょう。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム