CNAPPとは? わかりやすく10分で解説
CNAPPとは
CNAPP(Cloud-Native Application Protection Platform)は、近年のクラウド技術の進化とともに注目されてきたセキュリティプラットフォームの一つです。このプラットフォームは、クラウドネイティブアプリケーションのセキュリティを強化することを目的としています。
CNAPPの定義
CNAPPは、クラウドネイティブアプリケーション保護プラットフォームの略で、クラウドアプリケーションのライフサイクル全体でのセキュリティを簡素化する統一されたプラットフォームを指します。特に、動的なクラウド環境でのセキュリティの確保に寄与することが強調されています。これは、クラウド環境が持つ柔軟性と拡張性を最大限に活用しつつ、セキュリティリスクを最小限に抑えるためのものです。
クラウドネイティブアプリケーションのセキュリティの重要性
クラウドネイティブアプリケーションは、その特性上、従来のオンプレミス環境とは異なるセキュリティの課題を持っています。例えば、動的なスケーリングやマイクロサービスアーキテクチャなど、クラウド特有の特徴が新たなセキュリティリスクを生む可能性があります。そのため、これらのアプリケーションを保護するための専用のプラットフォームが必要とされてきました。CNAPPは、このようなニーズに応えるために開発されたプラットフォームであり、クラウドネイティブアプリケーションのセキュリティを確保する上での新たなスタンダードとして注目されています。
CNAPPの主要なコンポーネント
CNAPPは、クラウドネイティブアプリケーションのセキュリティを強化するための多岐にわたる機能を持っています。このセクションでは、その中でも特に重要とされる3つのコンポーネントに焦点を当てて解説します。
Cloud Security Posture Management (CSPM)
CSPMは、クラウド環境のセキュリティ設定の管理と最適化を目的とした技術です。クラウドサービスは、その柔軟性から多くの設定オプションを持っていますが、それらの設定が不適切であるとセキュリティのリスクが高まる可能性があります。CSPMは、これらの設定を自動的に監視し、ベストプラクティスに基づいて最適化することで、クラウド環境のセキュリティを維持します。
Infrastructure-as-Code (IaC) Scanning
IaCは、インフラの設定や構成をコードとして管理するアプローチです。このコードをスキャンすることで、セキュリティ上の問題点や最適化の機会を事前に特定することができます。IaCスキャニングは、デプロイ前の段階でセキュリティの問題を検出し、修正することを可能にします。
Cloud Workload Protection Platform (CWPP)
CWPPは、クラウド上で動作するワークロードのセキュリティを保護するためのプラットフォームです。これには、仮想マシンやコンテナ、サーバーレス関数など、さまざまなクラウドリソースの監視と保護が含まれます。CWPPは、これらのワークロードに対する脅威をリアルタイムで検出し、迅速に対応することを支援します。
CNAPPの実装と利点
CNAPPの導入は、現代のクラウド環境におけるセキュリティの確保と最適化のための鍵となります。このセクションでは、CNAPPの実装に関連する主要な概念と、それによって得られる利点について詳しく解説します。
セキュリティの“Shifted left”とは?
Shifted leftとは、ソフトウェア開発の初期段階からセキュリティを考慮するアプローチを指します。従来、セキュリティは開発の最終段階でのみ考慮されることが多かったのですが、このアプローチでは、開発の初期段階からセキュリティのリスクを評価し、それに対応することで、最終的な製品のセキュリティを向上させることを目指します。CNAPPの導入により、このShifted leftのアプローチが容易になり、より効果的なセキュリティの確保が可能となります。
マルチクラウド環境でのセキュリティ
多くの企業は、リソースの最適化や冗長性の確保のために、複数のクラウドプロバイダを利用するマルチクラウド環境を採用しています。しかし、異なるクラウドプロバイダ間でのセキュリティの統一性を確保することは、非常に複雑な課題となります。CNAPPは、このようなマルチクラウド環境においても、一貫したセキュリティポリシーの適用や、脅威の検出・対応を効果的に行うことをサポートします。
CNAPPの実用例
CNAPPは、その多機能性からさまざまなシナリオでの利用が考えられます。このセクションでは、特に注目される実用例として、DevOpsとの連携や脅威の検出・対応について詳しく解説します。
DevOpsとの連携
DevOpsは、開発(Dev)と運用(Ops)の連携を強化することで、ソフトウェアのリリースサイクルを高速化し、品質を向上させるアプローチです。CNAPPは、DevOpsのフローに組み込むことで、開発からデプロイまでの一連のプロセスにおいて、セキュリティの確保と最適化を実現します。具体的には、コードのセキュリティチェックや、インフラのセキュリティ設定の自動化など、DevOpsの各ステージでのセキュリティ対策をサポートします。
脅威の検出と対応
クラウド環境は、その動的な特性から、さまざまな脅威にさらされる可能性があります。CNAPPは、これらの脅威をリアルタイムで検出し、迅速に対応する機能を持っています。例えば、不正なアクセスや異常なトラフィックの検出、セキュリティ設定の違反など、さまざまなリスクを自動的に識別し、それに応じたアクションを取ることができます。これにより、クラウド環境のセキュリティを継続的に確保し、ビジネスの安全性を高めることができます。
CNAPPの選び方
CNAPPは、クラウドネイティブアプリケーションのセキュリティを強化するための重要なツールですが、その選び方は必ずしも簡単ではありません。このセクションでは、CNAPPを選ぶ際のポイントや、市場での主要なプロバイダについて詳しく解説します。
必要な機能と特徴
CNAPPを選ぶ際には、まず自社のニーズに合った機能や特徴が提供されているかを確認することが重要です。例えば、リアルタイムでの脅威検出や、マルチクラウド対応、自動化されたセキュリティ対策など、具体的な機能をリストアップし、それに基づいて適切なプロダクトを選択することが求められます。
市場での主要なプロバイダ
現在の市場には、多くのCNAPPプロバイダが存在します。それぞれのプロバイダは、独自の特徴や強みを持っています。例として、Provider Aはマルチクラウド環境に強く、Provider Bは高度な脅威検出技術を持つなど、異なる特色を持つプロバイダが存在します。そのため、自社の要件や予算に合わせて、最適なプロバイダを選ぶことが重要です。
まとめ
CNAPPは、現代のクラウドネイティブアプリケーションのセキュリティを強化するための不可欠なプラットフォームとして注目されています。
特に、動的なクラウド環境でのセキュリティの確保は、今後のビジネスの成長と継続的なイノベーションを支える上でのキーとなります。CNAPPを適切に導入・活用することで、企業は安全かつ効率的なクラウド環境を実現することができるでしょう。
最後に、CNAPPの選び方に関しても触れましたが、自社のニーズや要件に合わせて、最適なプロダクトやプロバイダを選択することが重要です。今後のクラウドセキュリティの動向や技術の進化にも目を向けつつ、適切なセキュリティ対策を進めていくことをおすすめします。
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