CWPPとは? わかりやすく10分で解説
CWPP(Cloud Workload Protection Platform)とは
CWPP(Cloud Workload Protection Platform)とは、クラウドサービス上で動作している各種ワークロードに対するセキュリティを確保するための総合的なソリューションのことです。ワークロードとは、サーバや仮想マシン、そこで動作している各種ソフトウェアなど、実際に業務を処理するために使用される各種リソースのことを指します。
このCWPPは、各ワークロードや仮想化基盤にソフトウェアをインストールし、直接セキュリティ対策を行うことで、別途ネットワーク型のセキュリティソリューションを設置する必要がありません。これにより、複雑なネットワーク環境でもセキュリティを確保することが可能です。
典型的なCWPPの機能には、マルウェア対策や侵入検知、データ保護などが含まれます。これらの機能は、単体のセキュリティツールではなく、対象のワークロードとの密接な連携により実現されます。
CWPPの必要性とその背景
CWPPの必要性は、現代のIT環境の高度な複雑性と多様性から生じています。これは、クラウド環境における仮想マシンやコンテナ、サーバレスなどといった新しい形態のワークロードが増えてきたことが要因です。
これらのワークロードは往々にして動的で、随時スケールアウトしたり、変化したりするため、従来的なネットワーク型のセキュリティ対策では追従できない場合があります。この問題を解決するためにCWPPという概念が登場しました。
CWPPは、各ワークロードに直接インストールされるため、ワークロードがスケールアウトした場合でも同時にセキュリティ対策がスケールアウトします。これは、従来のセキュリティ対策が抱える問題を解決する重要なアプローチです。
CWPPが注目される理由
CWPPが注目される理由の一つは、クラウドネイティブアプリケーションの登場とそれに伴うセキュリティニーズの増加です。クラウドネイティブアプリケーションは、クラウドが前提の環境で開発・運用されるアプリケーションで、マイクロサービスアーキテクチャやコンテナ技術、DevOpsといった技術・文化が特徴です。
このような新しい開発・運用環境は、従来のセキュリティアプローチでは十分に対応できない新たなリスクを生み出しています。そのため、ワークロードに対する新たなセキュリティソリューションの必要性が生じており、その一つがCWPPです。
また、クラウドサービスの利用がますます広がり、その利用形態も多様化しています。従来のオンプレミス環境ではなくクラウド環境での開発・運用が主流となる中、ワークロードの保護は重要となっています。このような背景からも、CWPPの注目度は高まっています。
CWPPと他のセキュリティソリューションの比較
CWPPと他のセキュリティソリューションとの最大の違いは、CWPPがワークロードに対するセキュリティ対策を直接提供することです。これにより、ワークロードの変化に柔軟に対応しながら、広範で強固なセキュリティを実現できます。
一方、従来のセキュリティソリューションの多くは、ネットワークやデバイス、アプリケーションといった層別に対策を行うものが主流です。これらはそれぞれの層に特化した対策を提供しますが、ワークロードという観点からのセキュリティ確保は困難です。
特に、従来のネットワーク型のセキュリティソリューションは、動的なクラウド環境におけるワークロードの保護には限界があるため、CWPPとは異なるアプローチが必要となります。これらの事から、ここ数年でCWPPの重要性が高まっています。
CWPPの主な機能とその効果
CWPPは、クラウドサーバーや仮想マシンなど、クラウド上のワークロードに対するセキュリティ確保のためのさまざまな機能を提供します。その主な機能としては、ワークロード保護、脅威防御、スケールアウト能力があります。これらの詳細な機能と、それらが実現する効果について見ていきましょう。
ワークロード保護機能
CWPPのワークロード保護機能は、ワークロードが直面する潜在的なリスクに対応するものです。適切なセキュリティポリシーを定義し、管理することで、標的型攻撃やノイズ型攻撃からワークロードを保護します。
また、CWPPはワークロードの場所に関係なく保護を提供します。物理サーバやデータセンター、パブリッククラウド、プライベートクラウド、そしてマルチクラウド環境、それぞれの場所で動作するワークロードに対して適切な保護を提供することが可能です。
さらに既知の脅威だけでなく、未知の脅威からもワークロードを保護する機能も備えています。高度な機械学習アルゴリズムを利用して、異常な挙動を検出し、可能な攻撃を予防します。
CWPPによる脅威防御とそのメリット
CWPPは、ワークロードに直接インストールすることで、ネットワーク型のセキュリティソリューションよりも深いレベルでの脅威防御を提供します。これにより、攻撃者がネットワークを経由してくる前に、攻撃を検出し防御することが可能です。
また、CWPPは、動的で変化するワークロードの状態に迅速に対応する能力を持っています。これにより、新たな脅威に迅速に対応し、ダウンタイムを最小限に抑えることが可能です。
さらに脅威情報の自動収集と分析機能も持っており、これにより最新の脅威状況に対応できるセキュリティ方針を自動的に更新し適用することが可能です。
CWPPのスケールアウト能力
CWPPのスケールアウト能力は、ワークロードの性能を拡張することが可能です。これにより、仮想化基盤やコンテナといった技術を用いてワークロードを拡張した際でも、適切なセキュリティを提供することが可能です。
また、この機能を利用することで、大量のワークロードを一元的に管理し、保護することができ、複数のワークロードを効率的に運用できます。
さらに、スケールアウト能力により、ワークロードの増減に応じたセキュリティ資源の自動調整ができます。これは、突然のトラフィック増加やワークロードの急激な増加にも迅速に対応することを可能にします。
CWPP導入前の注意点
CWPPの導入は、クラウドワークロードのセキュリティを高める大きな一歩となるはずです。
しかし、その導入前にはいくつかの注意点があります。
熟考と計画が必要な選定のポイント、導入課程での一般的な課題、セキュリティ要件、そして依存の危険性について詳しく見ていきましょう。
CWPP選定時のポイント
まず、CWPP選定時に重視すべき要素は、セキュリティ機能の全般・独自性、そしてエンドユーザーの操作性です。
特定の脅威に対して最適な防衛策を提供できるプロバイダーを選ぶことが重要です。
また、エンドユーザーが直感的に操作できるインターフェースを持つCWPPを選ぶことが、組織全体のセキュリティレベルを向上させる一助となります。
CWPP導入課程における一般的な課題
CWPPの導入は簡単な作業ではありません。
多くの導入者は、既存のセキュリティインフラとの統合や、一部のサービスとの互換性に問題を感じることがあります。
そのため、予想外のコスト増加やテクニカルな問題を回避するためには、事前の評価と詳細なプランニングが必要です。
CWPP導入の際のセキュリティ要件
CWPPを導入する場合、組織の具体的なセキュリティ要件を理解しておくことが必須です。
これには、組織のデータプライバシーポリシーや規制遵守要件が含まれます。
これらの要件は、CWPPの設定やポリシー展開に反映されるべきであり、CWPPが提供するセキュリティ機能がこれらの要件を満たすかどうかチェックすることが重要となります。
CWPP過度依存の危険性
CWPPは、クラウドワークロードのセキュリティを強化する重要なツールである一方で、過度の依存は危険性も孕んでいます。
たとえば、CWPPが提供する全ての保護機能に頼るのではなく、既存のセキュリティ慣行やベストプラクティスの維持、およびそれらとの適切な統合が必要です。
最終的に、CWPPはセキュリティ戦略の一部として最大限に活用されるべきであり、それだけではないことを認識することが不可欠です。
CWPPの導入ステップ
ここでは、クラウドベースのワークロードを安全に保つためのソリューション、Cloud Workload Protection Platform (CWPP) の導入ステップを詳しく解説します。
導入の際は、下から順に各ステップを進めることで、安全かつ効率的な運用が可能になります。
ステップの中には、導入前の準備から具体的な選定ポイント、運用までの手順が含まれていますので、ぜひ参考にしてください。
CWPP導入の準備段階
まず、CWPP導入に向けた現状の把握と準備が必要です。
現在のセキュリティ状況、必要な機能、運用への影響等を考慮しながら、対策が必要な領域を特定することが重要です。
また、導入するCWPPと既存のセキュリティシステムとの整合性も考慮することで、スムーズな導入と運用が可能になります。
CWPP選定のポイント
適切なCWPPを選定するポイントとしては、必要機能の提供、成功事例の有無、顧客評価が挙げられます。
必要とされる機能が全てカバーされているかどうか、類似企業の導入結果はどうか、業界評価やリアルユーザー評価はどうか、等を精査すると良いでしょう。
また、価格の妥当性やサポート体制も非常に重要な選定ポイントとなります。
CWPPの導入と運用
選定したCWPPの導入は、予め準備した計画に従って進めることが望ましいでしょう。
初期設定やパラメータ調整を行い、機能を最大限に活用できるようにします。
さらに、導入後の運用においては、定期的なレビューと必要に応じた改善が求められます。これにより、常に最適なセキュリティ対策を維持することが可能になります。
CWPPを最大限に利用するためのアドバイス
CWPPを最大限に活用するためには、適切な設定と継続的な改善が必要です。
まずは、CWPPの全ての機能を理解し、自社の要求に適している設定を行うことから始めましょう。
さらに、その設定を定期的に見直し、必要に応じてパラメータ調整を行うとともに、新たな機能が追加された場合は適宜導入するなど、逐次改善を行うことが重要となります。
CWPPの展望
CWPP (Cloud Workload Protection Platform)は、セキュリティリスクを可視化し、脅威から保護するための効果的なツールとして日々進化しています。ここでは、CWPPの市場状況、新たな事例、新技術、未来の見通しなど、現在進行形で変化しているCWPPの世界を探っていきましょう。
CWPP市場の現状と動向
クラウド環境の普及に伴って、ユーザはより高度なセキュリティリスク管理を必要としています。その課題を解決するためのソリューションがCWPPです。近年のレポートによれば、CWPP市場はますます競争的になり、多数の新興ベンダーが登場しており、より効果的なソリューションを提供する競争が激化しています。
CWPP市場の主なプレーヤーには、大手企業ながらも進化・開発を続けているベンダーが多数存在します。それぞれが各企業のニーズに対して個々に対応したCWPPソリューションを提供し、市場を牽引しています。
また、クラウドセキュリティの課題を解決するのに働いている強力なCWPPのパートナーシップ・エコシステムもまた、この市場の成長に寄与しています。
CWPP関連の新たな事例
CWPPは、さまざまな規模の団体や企業にさまざまなメリットを提供しています。セキュリティ対策から利益を受ける事例も増えてきています。
その一例として、中規模企業が利用するケースがあります。これらの企業は、クラウド環境に移行する際のリスクを考慮に入れ、CWPPを導入してインフラストラクチャとアプリケーションを保護しています。
また、多機能になりつつあるCWPPソリューションの効果も見られます。ある団体は、一部の機能を活用し、ネットワークトラフィックの異常検知の精度を向上させています。
CWPPの新技術とその影響
業界では、機械学習やAIの応用を活用したあらゆる試みがなされています。特にCWPPでは、これらの最先端技術を応用し、脅威検知と脅威予測における改善を図っています。
また、新しいCWPPには、脅威ハンティングやインシデント対応を自動化する機能が追加されています。これには、感染の拡大を早期に止める、または完全に防ぐというメリットがあります。
更に、CWPPの自動化及び統合についても注目されています。これによりセキュリティ運用の負担を軽減し、より速やかな対策が可能になると期待されています。
CWPPの未来への見通し
CWPPは、クラウドコンピューティングが主流となる現代でますます重要となっています。クラウドコンピューティングの普及が進む一方で、CWPPの市場はこれからも大きく拡大し続けると予想できるでしょう。
さらに、AIや機械学習を用いた自動化や高度な防御機能の開発が進んでいます。これらの技術が実用化されれば、セキュリティ管理はより高度化し、効果的なサイバーセキュリティのスキームが現実のものとなるでしょう。
最後に、CWPPの普及と共に、サイバーセキュリティ教育の重要性も増してきています。人々がCWPPの重要性を理解し、それを効果的に利用することで、より安全なクラウド環境が実現可能となります。
Pickup ピックアップ
-
インタビュー
「切れない」VPNに認証の側面から安心をプラス|Absolute Secure Access ✕ Soliton OneGat...
-
イベント報告
【ウェビナー】知っておきたい「医療ガイドライン第6.0版」のポイントと、求められるセキュリティ対策とは?|アクシオ×ソリトンシ...
-
インタビュー
フルマネージドの連携ソリューションで快適かつ安全な無線環境を負荷なく実現|Hypersonix × Soliton OneGa...
-
インタビュー
「まずは認証から」現場の課題に寄り添い、実現可能なゼロトラストセキュリティソリューションを提案|萩原テクノソリューションズ×ソ...
-
インタビュー
新たな脅威への対応まで『任せられる』。「Prisma SASE」で、組織のセキュリティ対策をシンプルに強化|パロアルトネットワ...