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サイバーリスク保険とは? 10分でわかりやすく解説

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UnsplashScott Grahamが撮影した写真      

近年、企業のサイバーセキュリティ対策は急務となっています。サイバー攻撃による情報漏洩や業務停止は、多額の損害賠償や信用失墜につながりかねません。この記事では、サイバーリスクに備える「サイバーリスク保険」について、その概要や必要性、補償内容などを10分でわかりやすく解説します。サイバーリスクに対する理解を深め、適切な対策を講じることで、万が一の被害を最小限に抑えることができるでしょう。

サイバーリスク保険とは

サイバーリスクとは何か

まず、サイバーリスクとは、インターネットやコンピュータシステムの利用に伴って生じる様々なリスクのことを指します。具体的には、以下のようなリスクが挙げられます。

  • 不正アクセスによる情報漏洩
  • ランサムウェア攻撃による業務停止
  • ウイルス感染によるシステム障害
  • フィッシング詐欺による金銭的損失

これらのサイバーリスクは、企業の信用失墜や多額の損害賠償金の支払いにつながる可能性があり、経営に大きな影響を与えかねません。

サイバーリスク保険の概要

サイバーリスク保険は、サイバー攻撃によって被った損害を補償する保険商品です。主な補償内容は以下の通りです。

補償内容説明
情報漏洩対応費用情報漏洩発生時の調査費用、お詫び状の送付費用、コールセンター設置費用など
システム復旧費用ウイルス駆除費用、データ復旧費用、代替機器のレンタル費用など
損害賠償金情報漏洩や業務停止に伴う損害賠償金や和解金
弁護士費用訴訟対応のための弁護士への着手金・報酬金

加入の際は、自社の業種や規模、取り扱う情報の重要度などを考慮し、適切な補償内容と保険金額を選択することが重要です。

サイバーリスク保険の必要性

近年、サイバー攻撃の手口が巧妙化・複雑化しており、サイバーリスクは全ての企業に関わる問題となっています。特に、個人情報や機密情報を多く扱う企業や、ITシステムへの依存度が高い企業は、サイバーリスクへの備えが不可欠と言えるでしょう。

また、サイバー攻撃による被害は、金銭的損失だけでなく、企業イメージの低下や取引先との信頼関係の毀損など、二次的な影響も大きいのが特徴です。サイバーリスク保険への加入は、万が一の事態への備えとして検討に値すると考えられます。

サイバーリスクの種類と対策

サイバーリスクには様々な種類がありますが、代表的なものとして以下が挙げられます。

  1. 標的型攻撃
    • 特定の企業や組織を狙ったサイバー攻撃
    • マルウェアに感染させて情報を窃取したり、システムを破壊したりする
  2. ランサムウェア
    • データを暗号化し、身代金を要求するタイプのマルウェア
    • 重要なデータが使えなくなり、業務に支障をきたす
  3. DDoS攻撃
    • 大量のアクセスでサーバーやネットワークを負荷をかけダウンさせる攻撃
    • サービス提供が困難になり、機会損失が発生する

これらのサイバーリスクに対しては、以下のような対策を講じることが推奨されます。

  • セキュリティソフトの導入と定期的な更新
  • OS・ソフトウェアの脆弱性対策
  • 従業員への情報セキュリティ教育の実施
  • インシデント発生時の対応手順の整備
  • サイバーリスク保険への加入検討

技術的対策と人的対策を組み合わせ、多層的なセキュリティ対策を実施することが肝要です。加えて、サイバーリスク保険への加入により、リスク移転の選択肢を確保しておくことも、事業継続の観点から重要な検討事項と言えるでしょう。

サイバーリスク保険の補償内容

サイバーリスク保険は、サイバー攻撃によって企業が被る様々な損害を補償する保険商品です。その主な補償内容は以下の通りです。

サイバー攻撃による損害賠償責任

サイバー攻撃によって顧客情報や機密情報が漏洩し、第三者に損害を与えてしまった場合、企業は損害賠償責任を負う可能性があります。サイバーリスク保険では、情報漏洩に伴う損害賠償金や和解金を補償します。また、訴訟対応のための弁護士費用なども補償の対象となります。

情報漏洩対応費用

情報漏洩が発生した際には、事態の調査や影響範囲の特定、お客様への謝罪対応など、多岐にわたる対応が必要となります。サイバーリスク保険では、以下のような情報漏洩対応費用を補償します。

  • 原因調査費用
  • お詫び状の作成・送付費用
  • コールセンターの設置・運営費用
  • 個人情報モニタリング費用
  • 信頼回復のための広告宣伝費用

システム復旧費用

サイバー攻撃によってシステムが損害を受けた場合、復旧のための各種費用が発生します。サイバーリスク保険では、以下のようなシステム復旧費用を補償します。

  • ウイルス駆除費用
  • データ復旧費用
  • 原因調査費用
  • 再発防止費用
  • 代替機器のレンタル費用

サイバー攻撃による事業中断損失

サイバー攻撃によって、業務が停止や縮小を余儀なくされた場合、売上減少などの事業中断損失が発生します。サイバーリスク保険では、事業中断に伴う利益損失や固定費などを補償します。ただし、補償の対象となる事業中断の原因や期間などは、保険商品によって異なりますので、加入時に確認が必要です。

以上のように、サイバーリスク保険は、サイバー攻撃によって企業が被る様々な損害をカバーします。ただし、補償内容や支払限度額は保険商品によって異なりますので、自社のリスク状況を踏まえて、適切な商品を選択することが重要です。また、サイバーリスク保険の補償には一定の制限があることから、保険加入のみならず、日頃からサイバー攻撃の予防策を講じることが肝要と言えるでしょう。

サイバーリスク保険の選び方

サイバーリスク保険への加入を検討する際は、以下のポイントに留意して、自社に適した商品を選択することが重要です。

自社のリスクに合わせた補償内容の選択

サイバーリスク保険の補償内容は、保険会社や商品によって異なります。自社のサイバーリスクの状況を把握し、必要な補償を提供している商品を選ぶことが肝要です。例えば、個人情報を多く扱う企業であれば、情報漏洩対応費用の補償を重視する必要があるでしょう。また、事業中断損失の補償の有無や、補償範囲も確認が必要です。

保険会社の信頼性と実績の確認

サイバーリスク保険を提供する保険会社の信頼性や実績も重要な選択基準です。サイバー攻撃対応に関する知見やノウハウを持ち、適切な保険金の支払いを行える保険会社を選ぶことが望ましいでしょう。加えて、サイバー攻撃発生時の緊急対応サービスなど、付帯サービスの充実度も確認すると良いでしょう。

保険料と免責金額の比較

サイバーリスク保険の保険料は、補償内容や支払限度額によって異なります。同程度の補償内容であれば、保険料の安い商品を選ぶことで、費用対効果を高めることができます。ただし、保険料の安さだけでなく、免責金額(自己負担額)の設定も重要な比較ポイントです。免責金額が高い場合、保険金が支払われるまでの企業の負担が大きくなることに注意が必要です。

付帯サービスの充実度

サイバーリスク保険には、保険金の支払いだけでなく、サイバー攻撃の予防や発生時の対応支援など、様々な付帯サービスが用意されている場合があります。例えば、以下のようなサービスが挙げられます。

  • セキュリティ診断サービス
  • 従業員向けセキュリティ教育サービス
  • インシデント発生時の緊急対応サービス
  • 弁護士や広報コンサルタントの紹介サービス

これらのサービスを上手く活用することで、サイバーリスクへの総合的な対策を講じることができます。自社のニーズに合った付帯サービスを提供している保険商品を選ぶことをおすすめします。

サイバーリスク保険の選択に当たっては、上記のポイントを踏まえつつ、複数の商品を比較検討することが重要です。加入後も、サイバーリスクの状況変化に応じて、補償内容の見直しを定期的に行うことが望ましいでしょう。サイバーリスク保険は万能ではありませんが、適切に活用することで、サイバーリスクに対する企業のレジリエンス(回復力)を高める効果が期待できます。

サイバーリスク保険の活用方法

ここでは、サイバーリスク保険を効果的に活用するための方法について解説いたします。

自社のセキュリティ対策との連携

サイバーリスク保険への加入は、自社のセキュリティ対策の代替となるものではありません。むしろ、保険加入を機に、自社のセキュリティ対策の現状を見直し、不足している部分を補強することが重要です。保険会社が提供するセキュリティ診断サービスなどを活用し、自社のセキュリティレベルの向上を図ることをおすすめします。

従業員教育とセキュリティ意識の向上

サイバー攻撃の多くは、従業員のセキュリティ意識の低さや不注意から発生します。サイバーリスク保険の付帯サービスとして提供される従業員向けセキュリティ教育を活用し、全社的なセキュリティ意識の向上を図ることが肝要です。定期的な教育・訓練を通じて、従業員一人ひとりがサイバーリスクに対する当事者意識を持つことが重要と言えるでしょう。

サイバー攻撃発生時の迅速な対応

サイバー攻撃が発生した際は、迅速な対応が被害の拡大防止に繋がります。サイバーリスク保険の多くは、サイバー攻撃発生時の緊急対応サービスを提供しています。専門家によるインシデント対応支援を受けることで、適切かつ迅速な対応が可能となります。また、保険会社との連携により、対応の際に発生する各種費用の負担を軽減することもできるでしょう。

リスクマネジメントの一環としての活用

サイバーリスク保険は、企業のリスクマネジメントの一環として活用することが重要です。自社のサイバーリスクの特定・評価を行い、リスクの性質や規模に応じた補償内容の保険商品を選択することが望ましいと言えます。また、サイバーリスクは常に変化するものであるため、定期的に保険の補償内容を見直し、必要に応じて見直しを行うことも肝要です。

以上のように、サイバーリスク保険を単なる保険商品としてではなく、自社のセキュリティ対策やリスクマネジメントと連携させながら活用することが重要です。サイバーリスク保険を上手く活用することで、サイバー攻撃によるダメージを最小限に抑え、事業の継続性を高めることができるでしょう。

まとめ

サイバー攻撃による深刻な被害が増加する中、企業にとってサイバーリスク対策は喫緊の課題となっています。本記事では、サイバーリスクに備える「サイバーリスク保険」について、その概要や補償内容、選び方のポイントなどを解説しました。サイバーリスク保険は、情報漏洩対応費用やシステム復旧費用、損害賠償金など、サイバー攻撃によって企業が被る様々な損害を補償します。加入に当たっては、自社のリスクに合わせた補償内容の選択や、保険会社の信頼性・実績の確認が重要です。さらに、サイバーリスク保険を、自社のセキュリティ対策やリスクマネジメントと連携させながら活用することで、サイバーリスクへの対応力を高めることができるでしょう。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム