増分バックアップ(インクリメンタルバックアップ)とは? わかりやすく10分で解説
はじめに
デジタル時代の現代において、データは私たちの生活やビジネスにおいて無くてはならないものです。そのため、データの紛失や破損は大きな損失に繋がる可能性があります。こうしたリスクを回避するための方法の一つが、バックアップです。
バックアップの重要性
バックアップは、データを別の場所にコピーして保存することで、オリジナルのデータが失われた場合や破損した場合でも、バックアップからデータを復元することができます。特に、ビジネスの現場では、データの紛失は業務の停止や信用の失墜を招く可能性があるため、定期的なバックアップの実施は必須となっています。
本記事では、バックアップの方法の一つである増分バックアップ(インクリメンタルバックアップ)に焦点を当てて解説していきます。この方法のメリットやデメリット、実際の適用例などを通じて、増分バックアップの全体像を理解することを目的としています。
バックアップの基本
バックアップとは、データの安全性を確保するための重要な手段の一つです。しかし、バックアップにはさまざまな方法が存在し、それぞれの方法には特有の特徴や適用シーンがあります。
バックアップとは
バックアップとは、データを別の場所にコピーし、保存することを指します。これにより、データの紛失や破損が発生した場合でも、バックアップデータを利用してオリジナルの状態に復元することが可能となります。例えば、外部ハードドライブやクラウドストレージを利用して、重要なファイルやデータベースのコピーを保存することが考えられます。
バックアップの種類
バックアップには大きく分けて3つの主要な方法が存在します。
完全バックアップ: フルバックアップとも呼ばれます。全てのデータを毎回コピーする方法。最もシンプルで、復元も容易ですが、時間とストレージ容量を多く消費します。
増分バックアップ: 前回のバックアップから変更されたデータのみをコピーする方法。効率的にバックアップを取ることができますが、復元には全てのバックアップデータが必要となります。
差分バックアップ: 最後のフルバックアップから変更されたデータのみをコピーする方法。増分バックアップとは異なり、復元には最後のフルバックアップとこのバックアップの2つだけが必要です。
これらの方法は、それぞれの状況や要件に応じて選択される必要があります。
増分バックアップの概要
バックアップの方法の中でも、増分バックアップは効率的なデータの保護を実現するための注目される手法の一つです。このセクションでは、増分バックアップの基本的な概念や特徴について詳しく解説します。
定義と特徴
増分バックアップとは、前回のバックアップから変更されたデータのみをコピーするバックアップ方法を指します。具体的には、前回バックアップした時点からの新規または変更されたデータだけを対象としてバックアップを行います。この方法の最大のメリットは、バックアップに必要な時間やストレージの節約ができる点にあります。
増分バックアップのメリット
増分バックアップの主なメリットとして以下の点が挙げられます。
- 効率的
変更されたデータのみをバックアップするため、時間とストレージの節約が可能です。 - 頻繁なバックアップ
バックアップの時間が短いため、頻繁にバックアップを取ることができます。 - ストレージの節約
不要なデータのバックアップを避けることで、ストレージの使用量を最小限に抑えることができます。
増分バックアップのデメリット
一方で、増分バックアップには以下のようなデメリットも存在します。
- 復元の手間
データを元に戻す際には、全てのバックアップデータが必要となるため、復元の手間が増える可能性があります。 - バックアップデータの整合性
一つのバックアップデータが破損すると、それ以降のバックアップデータも使用できなくなるリスクがあります。
増分バックアップの実際の利用例
増分バックアップは、その効率性から多くの場面で採用されています。このセクションでは、増分バックアップがどのようなシチュエーションで活用されているのか、具体的な適用例を通じて紹介します。
個人での利用
個人のPCやスマートフォンには、大切な写真や文書、連絡先などのデータが保存されています。これらのデータを安全に保護するために、増分バックアップを利用することが考えられます。例えば、外部ハードドライブやクラウドストレージを利用して、毎日の変更データのみを自動的にバックアップする設定を行うことで、データの紛失リスクを低減することができます。
企業での利用
企業の情報システムでは、顧客情報や取引データ、業務関連の文書など、多岐にわたるデータが日々生成・更新されています。これらのデータは、企業の業務を支える重要な資産となっており、データの紛失は大きな損失をもたらす可能性があります。このような背景から、増分バックアップは、日常のバックアップ作業を効率的に行うための手段として、多くの企業で採用されています。特に、大量のデータを扱う企業や、24時間365日の業務を行う企業では、短時間でのバックアップが求められるため、増分バックアップの採用が進められています。
他のバックアップ方法との比較
バックアップには様々な方法が存在しますが、それぞれの方法には特有の特徴や適用シーンがあります。このセクションでは、増分バックアップと他の主要なバックアップ方法との違いを比較し、それぞれの特徴や利点、欠点を明確にします。
完全バックアップ(フルバックアップ)との違い
フルバックアップは、全てのデータを毎回コピーする方法です。これに対して、増分バックアップは、前回のバックアップから変更されたデータのみをコピーします。フルバックアップの最大の利点は、復元が非常に簡単であることです。一方、増分バックアップは、バックアップの時間やストレージの節約が可能ですが、復元の際には全てのバックアップデータが必要となるため、手間がかかる可能性があります。
差分バックアップ(ディファレンシャルバックアップ)との違い
ディファレンシャルバックアップは、最後のフルバックアップから変更されたデータのみをコピーする方法です。増分バックアップとの主な違いは、復元の際に必要なバックアップデータの数です。ディファレンシャルバックアップの場合、最後のフルバックアップとディファレンシャルバックアップの2つのデータだけで復元が可能です。これに対して、増分バックアップの場合、全てのバックアップデータが必要となります。
増分バックアップの実施手順
増分バックアップを効果的に実施するためには、適切な手順とツールの選択が必要です。このセクションでは、増分バックアップの基本的な実施手順と、その際に役立つツールや環境について解説します。
必要なツールと環境
増分バックアップを行うためには、専用のバックアップソフトウェアやサービスを利用することが一般的です。市販されているバックアップソフトウェアの中には、増分バックアップ機能を持つものも多く、これを利用することで簡単に増分バックアップを実施することができます。また、クラウドストレージサービスの中にも、増分バックアップ機能を提供しているものがあります。
ステップバイステップの手順
増分バックアップの基本的な実施手順は以下の通りです。
- バックアップ対象のデータを選択
まず、バックアップを行うデータを選択します。これには、重要な文書やデータベース、システムファイルなどが考えられます。 - バックアップ先の選択
バックアップデータを保存する場所を選択します。外部ハードドライブやクラウドストレージ、専用のバックアップサーバーなどが考えられます。 - バックアップソフトウェアの設定
使用するバックアップソフトウェアの設定を行います。ここで、増分バックアップを選択し、バックアップのスケジュールや保存期間などの詳細な設定を行います。 - バックアップの実行
設定に従って、増分バックアップを実行します。初回は全データのバックアップが行われ、2回目以降は変更されたデータのみがバックアップされます。 - バックアップデータの確認
バックアップが正常に完了したかを確認します。必要に応じて、バックアップデータからの復元テストを行うことも推奨されます。
まとめ
データは現代社会において非常に価値のある資産となっています。そのデータを守るための手段として、増分バックアップは非常に効果的な方法として注目されています。本記事では、増分バックアップの基本的な概念と重要性について詳しく解説しました。
増分バックアップは、効率的なデータの保護を実現するための手法として、個人から企業まで幅広く利用されています。適切なツールや手順を選択することで、データの安全性を高めることができます。
データのバックアップは定期的に行うことが重要です。突発的なトラブルや災害からデータを守るために、増分バックアップを含むバックアップの方法を適切に選択し、定期的に実施することを心がけましょう。
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