IPSとは? わかりやすく10分で解説
IPSとは?
IPS、つまりIntrusion Prevention Systemは、その名前が示す通り、不正な侵入を予防するシステムを指す概念です。簡単にいえば、専門的なスキルを持つハッカーや、マルウェア(悪意のあるソフトウェア)などの脅威からネットワークやシステムを守るための防御手段の一つとして役立ちます。
IPSの役割と重要性
IPSの主な役割は、異常や不正な侵入を検知し、その脅威に対して対策を行うことです。IPSは単に検知するだけでなく、実際に介入して防御策を実行します。これにより、ネットワークやシステムは高度なセキュリティレベルを確保することが可能となります。
さらに強調したいポイントとして、現代のインターネット環境下ではサイバー攻撃の手法が絶えず変化しており、攻撃が発生した後で対策を講じるだけでは遅すぎる場合もあります。そのような状況下で、IPSは予防的に対策を講じ、脅威を未然に防ぐ役割を果たします。そのため、IPSは現代のセキュリティシステムにおいて重要な存在です。
IPSの主な機能
今のデジタルエイジでは、最も重要な側面の一つがデータセキュリティとそれを守るためのツールです。その中でも、IPS(Intrusion Prevention System)は独特な役割を果たしています。その主な機能について解説します。
異常検知
IPSは、異常検知を主要な機能として提供しています。ネットワークにアクセスするすべてのトラフィックを監視し、それぞれのパケットが正常な範囲内で動作しているかを評価します。こうした評価は逐次行われ、潜在的な攻撃や異常活動がネットワーク内部に達する前にトラフィックを分析します。
ネットワークセキュリティポリシーの適用
IPSのもう一つの重要な機能は、ネットワークセキュリティポリシーの適用です。これは、企業が定義したセキュリティガイドラインの遵守を強制するもので、組織が自身のネットワークを自由に管理できるようにします。特定の行動を取るための一連のルールを定義することで、ネットワークへの不正アクセスを防ぐことが可能です。
脅威の防止
そして最も重要なのは、IPSは脅威の防止を直接的に行うことができる点です。異常な行動や悪意のあるアクティビティを検知した際に、IPSは自動的にその脅威をブロックします。不正なユーザーや悪意のあるアクションを特定し、そのアクションがネットワークに被害を与える前に阻止します。これにより、組織は潜在的な攻撃から自身のネットワークを保護可能です。
IPSの種類
IPS(Intrusion Prevention System)は主にどの場所で作用するかによって、ネットワーク型・ホスト型・ワイヤレス型の3つの種類に分けられます。それぞれの特徴と用途の相違について詳しく見ていきましょう。
ネットワーク型IPS(NIPS)
ネットワーク型IPS(NIPS)は、ネットワーク全体を監視して潜在的な脅威を検知します。これはすべてのネットワークトラフィックを監視し、異常が見つかるとネットワーク上のその特定の部分だけを隔離する能力を持っています。許可されたトラフィックの流通を妨げることなく、危険なトラフィックをブロックできるのが利点です。
ホスト型IPS(HIPS)
一方、ホスト型IPS(HIPS)は、特定のシステムまたはデバイス(通常はサーバーまたはPC)上で動作し、各ホスト上の異常な動作または不正なアクティビティを検知して潜在的な脅威を阻止します。また、潜在的な脅威がシステムを侵害する前に検知するのもHIPSの役割です。これにより、個々のデバイスがより多層的なセキュリティで保護されます。
ワイヤレスIPS(WIPS)
最後に、ワイヤレスIPS(WIPS)は、ワイヤレスネットワーク全体を保護する重要な役割を果たします。これはワイヤレスネットワークの異常な動作を検知し、一連の自動対応機能を使用してネットワークを保護します。さらに、WIPSはネットワークが侵害されるのを防ぐ貴重な方策となります。これはネットワークに接続する機器を監視し、ネットワークトラフィックを分析するため、トラフィックの異常がどこで発生しているのかを正確に特定します。
これらの3つの種類はそれぞれ異なる状況や課題に対応します。これらの違いを理解することで、特定のニーズに最適なIPSの選択が可能です。
IPSとIDSの違い
多くの企業や組織で情報技術を利用するようになり、その重要性はこれまで以上に増しています。それに伴い、誤った情報の取り扱いや悪意ある攻撃からネットワークを保護するためのシステムが求められています。これらのシステムにはIPS(Intrusion Prevention System)とIDS(Intrusion Detection System)がありますが、それぞれが果たす役割とその違いを理解することが、適切なシステム選択につながるといえます。
IDSとは
IDS(Intrusion Detection System)は、その名の通り侵入を検知するシステムです。具体的には、ネットワーク内に存在する不正な活動やポリシー違反を識別・通知するためのデバイスやソフトウェアのことを指します。IDSの目的は、違反や攻撃の存在を確認し、それに対する警告を出すことです。
IPSとIDSの比較
一方、IPS(Intrusion Prevention System)は、IDSとは異なり、侵入検出だけでなくそれを防止する能力も持つのが特徴です。IDSが不正な動きを検出し、管理者に警告を送る一方で、IPSはその一歩先に進んで、検出した侵入を自動的にブロックし、侵入者がシステムに影響を与えるのを防ぎます。
よって、IDSとIPSの最大の違いは"防止"という行動にあります。IDSは検出し警告するだけですが、IPSは迅速に対応し攻撃を停止させます。
どちらを選ぶべきか
IDSとIPSの選択は、そのシステムの求められるセキュリティのレベル、必要な保護の種類、予算等、多くの要素によって決定されます。例えば、基本的な侵入検知と警告だけが求められるようなシナリオでは、IDSの導入が適切かもしれません。一方で、自動的な対応と即時の防止が必要な高度な保護が求められるシステムでは、IPSの採用が必要になるでしょう。
なお、どちらを選択するにせよ重要なのは、ネットワークのセキュリティを確保するためには定期的なメンテナンスとシステムの更新が必須であるということです。また、IDSやIPSが効果を発揮するためには、それらを適切に設定し運用するための専門的なスキルも求められます。
IPSの実装
さて、これまでIPS(Intrusion Prevention System)の役割と重要性、主な機能について解説してきました。また、その種類についても取り上げ、その中でIPSとIDSの違いについても詳しくみてきました。ここからは、実際にIPSを導入する際の手順について説明します。
ネットワーク環境の準備
まず、ネットワーク環境の準備が必要です。ここで重要なのは、IPSを導入したいネットワーク環境の全体像を理解し、IPSの位置を適切に定めることです。その上で、ネットワークトラフィックの流量を把握し、IPSがその量を処理できる性能を持つものを選ぶとよいでしょう。
IPSの設定と適用
次に、IPSの設定と適用について説明します。多くのIPSは初期状態で一定の設定がなされていますが、それをそのまま適用するよりも、それぞれのネットワーク環境にフィットするようにカスタマイズすることが望ましいでしょう。
具体的には、脆弱性情報や新たな攻撃手法に対する対処法を組み込み、それらを自動的に更新する機能を活用しましょう。また、必要に応じてセキュリティポリシーを設定し、そのポリシーに沿った通信のみを許可するようにします。これにより、不審な通信を見つけた場合、IPSは自動的にその通信を遮断してセキュリティを保つことが可能です。
システムのテスト
最後に、全ての設定が完了したらシステムのテストを実施します。この段階で、ネットワークの正常な運行に影響を与える可能性がある問題を早期に発見可能です。また、IPSが適切に機能しているかを確認し、必要であれば追加の調整を行います。システムテストを怠ると、後々不具合が発生したときに大きな問題となることもあるので注意が必要です。
IPSの効果的な運用法
今回はIPSの最も効果的な運用方法について解説します。正確に運用することで、ネットワークに対するさまざまな潜在的脅威からの保護が可能となり、セキュリティを確保するのに役立ちます。
セキュリティポリシーの適切な管理
まず、セキュリティポリシーの適切な管理が必要です。IPSはネットワークの通信を監視し、設定したセキュリティポリシーに基づいて異常を検知や防止します。だからこそ、組織のセキュリティ環境に合わせたポリシー設定が必要となります。定期的にポリシーの見直しを行い、必要に応じて更新することで、常に最適なセキュリティ対策を提供できます。
定期的なシステムの更新とメンテナンス
次に、定期的なシステムの更新とメンテナンスも重要です。新たな脅威が日々発生しています。そのため、IPSのシステムを新たな状態に保つことで、新しいセキュリティ脅威からもあなたのネットワークを守ることができます。システムのパッチやバージョンアップを適切に行い、セキュリティ環境を保つことが求められます。
適切な報告とアラートシステムの設定
最後に、適切な報告とアラートシステムの設定が必要です。IPSが検知した異常通信を適切に報告し、アラート出力することで即座に対応することができます。アラートシステムは真の脅威だけでなく誤検知も通知するため、誤検知の内容を理解し適切にフィルタリングすることも大切です。こうしたアクションを通じて、ネットワークの安全を確実に保つことができます。
まとめ
本記事では、IPS(Intrusion Prevention System)にの重要性と機能、またその利用法について詳しく説明しました。
IPSの利点と課題
IPSは多岐にわたるセキュリティ脅威を防止する強力なシステムです。それは不正侵入を検知してシステムを即座に保護し、ネットワーク環境を安全に保持する能力を持っています。また、適用範囲は、内部ネットワークからリモートアクセスまで、企業全体のITインフラをカバーできます。
しかし、その一方で、IPSにはいくつかの課題も存在します。その一つが、誤検知による無害なトラフィックのブロックです。これは、IPSが誤って正常なネットワーク活動を脅威とみなし、それを遮断するという現象です。この結果、企業の業務に支障を来たす可能性があります。
また、IPSの設定と管理は一部の専門家でしかできないため、人材の確保と養成も大きな課題になります。 さらに、既知の脅威への対策に優れているものの、未知の脅威への対応力はまだまだ不十分であるという点も潜在的な問題です。
IPSのこれから
脅威の複雑さと数が増えるにつれて、IPSはとうに基本的な「防御壁」から進化し、よりダイナミックで適応的なセキュリティメカニズムへと変わりました。これは、脅威インテリジェンスの統合、ハイブリッド防御機能の追加、自己学習能力を持つAIの利用など、新しい機能と方法が開発されていることを示しています。
未知の脅威への対応力を強化するためには、IPSは機械学習やAIを更に活用していくことが求められます。そして、これらの技術を組み合わせることで、IPSは潜在的な脅威を特定して阻止する新たな方法を見つけ、進化を続けることができるでしょう。
結論として、すべてのICTシステムの背後にはセキュリティが必要で、IPSはその要となる技術です。
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