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JISとは? 10分でわかりやすく解説

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UnsplashCrystal Kwokが撮影した写真 

製品やサービスの品質をそろえ、取引をスムーズにし、社内の作業手順を標準化する――こうした取り組みの土台として活用されているのがJISです。本記事では、JIS(日本産業規格)の基本から、企業にとってのメリット、JISマーク制度の考え方、さらに「自社の業務・システムにどう取り入れるか」までを整理します。読み終えるころには、「自社で参照すべき規格の探し方」と「認証取得を検討すべき場面」が判断できるようになります。

JISとは何か

JISの意味と定義

JISは日本産業規格(Japanese Industrial Standards)の略称で、日本国内の標準(国家規格)として、製品・用語・試験方法・手順などの共通ルールを定めたものです。以前は「日本工業規格」と呼ばれていましたが、2019年7月1日の法改正により名称が「日本産業規格」に改められ、対象も工業分野に限らず、データやサービスなどへ拡大しました。

根拠となる法律と運用主体

JISは、法律(産業標準化法)に基づいて整備され、国の制度として運用されています。制度の全体像は経済産業省の解説や、日本産業標準調査会(JISC)で整理されています。名称変更(日本工業規格→日本産業規格)と、対象分野拡大(データ・サービス等を含む)は、この法改正のポイントです。

JISの目的と役割

JISが目指すのは、同じものを同じ基準で扱える状態をつくることです。代表的には次のような狙いがあります。

  1. 品質の安定化・ばらつきの低減(何を満たせば合格かを明確にする)
  2. 取引の円滑化(仕様・検査基準の共通化により、すり合わせを減らす)
  3. 互換性の確保(部品・寸法・試験方法などが揃うことで置き換えやすくなる)
  4. 安全性・信頼性の確保(リスクの前提を共有し、最低限の基準を定める)

なお、JISは「万能の品質保証」ではありません。JISはあくまで“規格で定めた条件を満たしていること”を示すためのものです。製品の実力は、規格の設計(要求が適切か)と、運用(工程・検査・教育)が揃ってはじめて上がります。

JISの種類と分類(JIS記号の見方)

JISは分野別に分類記号が付いています。たとえば、情報処理・IT領域は「X」から始まるJIS(例:JIS X 25000シリーズ)として整備されています。規格番号は「分野(分類記号)+番号」で表され、目的(用語、試験方法、要求事項など)によって内容も大きく変わります。

分類記号対象分野(例)
A土木・建築
B一般機械
C電気・電子
D自動車
K化学
X情報処理(IT)
Zその他

JISが企業にもたらすメリット

品質管理と標準化の土台になる

JISを参照すると、品質を語るための「言葉」と「測り方」を揃えられます。たとえば、試験方法や用語が規格で定義されていれば、部門・拠点・取引先が違っても同じ前提で議論しやすくなります。結果として、手戻り削減や教育コストの低減につながります。

取引の円滑化(仕様の“共通言語”)

取引で揉めやすいのは、要求の言い回しが曖昧なときです。「どの条件で合格か」「検査は何をどう測るか」をJISで共通化できれば、発注側・受注側の齟齬を減らせます。特に、受入検査や品質保証の説明資料において、規格参照は説得力を持ちます。

国際規格との整合で、海外展開にも効く

JISは、ISO/IECなど国際規格との整合を意識して改定されることがあります。国内仕様の“独自ルール”で閉じない設計は、海外顧客・海外サプライヤーとやり取りする際の摩擦を減らします。

対外的な信頼の材料(ただし使い方が重要)

JISへの適合や、JISマークの表示は、顧客にとって理解しやすい「一定基準を満たしている」サインになり得ます。一方で、表示の前提(認証対象、範囲、条件)を説明せずに使うと誤解も生みます。社内では「何を根拠に、どこまで言えるのか」を整理したうえで活用するのが安全です。

JISマーク制度と認証の考え方

JISマークとは

JISマーク表示制度は、登録認証機関(国に登録された第三者機関)から認証を受けた事業者が、認証対象にJISマークを表示できる制度です。制度上、鉱工業品、その加工技術、形状等のみについて定めたJISへの適合など、用途に応じたマークが整理されています。

JISマークの主な区分(押さえておきたい整理)

JISマークは「何に対する適合を示すのか」で区分されます。代表例は次のとおりです。

  • 鉱工業品:製品がJISに適合していることの表示
  • 加工技術:加工方法・加工技術がJISに適合していることの表示
  • 形状等のみ:形状など限定的な要素について定めたJISへの適合を表示

また、2019年の法改正により、電磁的記録(データ)や役務(サービス)なども制度の対象として扱える整理が進んでいます。自社の対象が「製品」なのか「加工技術」なのか、あるいは「データ/サービス」なのかで、検討すべき制度・審査の考え方が変わります。

認証取得の一般的な流れ

実務上は、次の順で検討すると迷いが減ります。

  1. 対象範囲の確定:どの製品・工程・データ・サービスを対象にするか
  2. 適用規格の特定:対象に該当するJISを絞り込む(版・改定年も確認)
  3. 社内体制の整備:品質管理・記録・教育・是正の仕組みを用意する
  4. 登録認証機関へ申請:審査(文書・現地・サンプル試験など)を受ける
  5. 認証後の維持:定期審査・変更管理・規格改定への追従を行う

認証は「取ったら終わり」ではなく、維持が前提です。製造条件の変更、サプライヤ変更、設計変更などが起きる現場ほど、変更管理(いつ・何が・なぜ変わったか)を運用として回す必要があります。

自社業務・自社システムにJISを取り入れるステップ

ステップ1:目的を“業務課題”に落とす

「JISを入れる」自体を目的にすると失敗しがちです。まずは、どの課題を減らしたいのかを言語化します(例:手戻りが多い/検査基準が属人化している/取引先との仕様すり合わせが重い/品質説明が弱い)。目的が定まると、参照すべき規格も絞りやすくなります。

ステップ2:対象を決め、規格を探す(検索・入手の現実も踏まえる)

対象(製品・工程・文書・ソフトウェア開発プロセスなど)を決めたら、JISCや規格提供サイトで規格番号・名称・改定年を確認します。規格本文の入手は有償の場合が多いため、「まず要約・目次で当たりを付け、必要なら購入する」という進め方が現実的です。

ステップ3:要求事項を“手順・チェック項目”に変換する

規格はそのままだと抽象度が高いことがあります。現場で使うには、次のように落とし込みます。

  • 規格が求める「入力」「出力」「証跡(記録)」を整理する
  • 誰が、いつ、何を確認し、どこに残すかを決める
  • 例外処理(満たせない場合の判断基準)を用意する

この変換を丁寧にやるほど、監査対応や引き継ぎが楽になります。

ステップ4:IT領域では“プロセス規格”の参照が効く

自社システム(業務システム、ソフトウェア、運用)にJISを取り入れる場合、製品規格だけでなく、開発・運用のプロセス規格が役立ちます。たとえば、ソフトウェアのライフサイクルを共通言語で扱う枠組みとして、JIS X 0160(ソフトウェアライフサイクルプロセス)が参照されます。また、品質要求と評価の整理ではJIS X 25000シリーズ(SQuaRE)がよく使われます。

ステップ5:継続的改善(運用データで“効いているか”を見る)

導入後は、運用データで効果を確認します。たとえば、障害件数、手戻り工数、検査不合格の要因、問い合わせの種類などです。「規格に合わせた」は手段であり、狙い(品質・効率・取引円滑化)に効いているかで評価しましょう。

まとめ

JISは、日本の国家規格として、品質・取引・互換性・安全性を支える“共通ルール”です。2019年の法改正により「日本産業規格」となり、データやサービスなども標準化の対象として位置づけられました。企業にとっては、品質の土台づくり、取引の円滑化、国際規格との整合による競争力強化などのメリットがあります。JISマーク認証を検討する場合は、対象範囲と適用規格を明確にし、取得後の維持まで含めて計画することが重要です。自社業務や自社システムへ取り入れる際は、目的→対象→規格→手順化→運用改善の順で進めると、形だけに終わりにくくなります。

FAQ

Q.JISは「日本工業規格」ではないのですか?

現在の正式名称は「日本産業規格(JIS)」で、2019年7月1日に名称が改められました。

Q.JISは法律で決まっているのですか?

JISは産業標準化法に基づいて整備・運用される国家規格です。

Q.JISに「適合」していれば品質は保証されますか?

JISが定める条件を満たすことは示せますが、製品品質のすべてを自動的に保証するものではありません。

Q.JISマークが付いていると何が分かりますか?

登録認証機関の認証により、対象が該当するJISに適合していることを示す表示だと分かります。

Q.JISマークには種類がありますか?

あります。鉱工業品、加工技術、形状等のみについて定めたJISへの適合など、対象に応じて区分されています。

Q.JISは製造業だけのものですか?

いいえ。2019年の法改正でデータやサービスなども標準化の対象に位置づけられています。

Q.自社に関係するJISはどう探せばよいですか?

対象(製品・工程・業務)を決めたうえで、規格番号・名称・改定年をJISCなどで確認し、必要な規格を絞り込みます。

Q.JIS認証の取得には何が必要ですか?

適用規格の特定、品質管理体制と記録の整備、登録認証機関による審査への対応が必要です。

Q.ITやシステム開発でもJISは役立ちますか?

役立ちます。ソフトウェアのライフサイクルや品質要求・評価を整理する規格などが参照できます。

Q.JISを導入しても定着しないのですが、何から見直すべきですか?

目的が業務課題に落ちているか、要求事項が手順・チェック項目に変換できているか、運用データで効果を見ているかを見直します。

参考文献

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム