トレンド解説 2024/06/27

NASとは？わかりやすく10分で解説

コラム

NAS(Network Attached Storage)とは

NASは、データをネットワーク経由で保存・共有するための専用のストレージデバイスです。従来の外付けハードドライブやUSBメモリとは異なり、NASはネットワークに直接接続され、複数のデバイスから同時にアクセスすることができます。これにより、オフィス内の複数のPCやスマートフォンから、中央で管理されたデータにアクセスすることが容易になります。

NASの重要性と利用シーン

NASの最大の特長は、データの中央管理が可能であることです。これにより、データのバックアップや共有が非常に効率的に行えます。例えば、オフィスでのドキュメントの共有や、家庭内での写真や動画の保存など、さまざまなシーンでの利用が考えられます。

また、NASはデータのセキュリティ面でも優れています。ネットワーク経由でのアクセス制限や、RAID構成によるデータの冗長化など、データの安全性を高める機能が多く搭載されています。これにより、大切なデータを安心して保存することができます。

NASの主な特徴

NASは、その名の通りネットワークに接続されるストレージデバイスとして知られていますが、その背後には多くの技術や特徴が隠されています。これらの特徴が、NASを他のストレージソリューションとは一線を画すものとしています。

Scale-out FBS

Scale-out FBSは、Scale-out File-based Storageの略で、システムにハードディスクを追加することでストレージ容量を拡張する技術を指します。これにより、データの増加に対応しながら、効率的にストレージを拡張することができます。特に、公共のクラウドベースのファイルサービスと並行して、このストレージシステムのワークロードが増加していることが市場調査からも示されています。

NAS Gatewaysの役割

NAS Gatewaysは、NASとSANのストレージアーキテクチャを組み合わせることで、従来のNASの制限の一部を解消する役割を持っています。通常のNASでは、新しいディスクを追加するだけでスケールアップすることができますが、新しいディスクをネットワークに導入する際に、ファイルの参照が新しいドライブ上で再マッピングを必要とします。NAS Gatewaysは、この問題を解消するために、ストレージシステムを分割し、各サーバーが他のサーバーとは独立してスケールアップすることを可能にします。

NASの種類

NASは、その用途や規模に応じてさまざまな種類が存在します。大規模な企業や組織での利用を想定したエンタープライズ向けのものから、小規模ビジネスや個人利用を目的としたものまで、多岐にわたる製品が市場に出回っています。

エンタープライズ向けNAS

エンタープライズ向けのNASは、大規模なデータセンターや企業のITインフラストラクチャに組み込まれることを前提としています。これらのNASは、高い耐障害性や拡張性を持ち、大量のデータを効率的に管理するための高度な機能を備えています。また、セキュリティ面でも高い要求がされるため、データの暗号化やアクセス制御などの機能も充実しています。

小規模ビジネスや個人向けNAS

小規模ビジネスや個人向けのNASは、手軽に導入できることを重視して設計されています。家庭内での写真や動画の保存、小規模オフィスでのドキュメントの共有など、日常的な用途に適しています。価格も手頃で、初心者でも簡単に設定や管理ができるようになっています。しかし、エンタープライズ向けのような高度な機能は省かれていることが多いため、用途に応じて選択することが重要です。

NASのコンポーネント

NASは、外見上は単なるストレージデバイスに見えるかもしれませんが、その内部には多くのコンポーネントが組み込まれています。これらのコンポーネントが連携して、データの保存や共有、アクセス制御などの機能を実現しています。

物理的なストレージドライブ

NASの中心となるのは、データを物理的に保存するストレージドライブです。これは、HDDやSSDなどのディスクドライブを指します。大量のデータを保存するためには、高容量のドライブが必要となります。また、データの読み書き速度や耐障害性を向上させるために、複数のドライブをRAID構成で使用することも一般的です。

CPUとその役割

NASには、データの処理や管理を行うためのCPUが搭載されています。CPUの性能によって、同時にアクセスするデバイスの数やデータの読み書き速度が変わってきます。高性能なCPUを搭載したNASは、大規模なネットワーク環境やデータベースの運用に適しています。

オペレーティングシステム

NASは、専用のオペレーティングシステムを搭載しています。このOSによって、データの管理やネットワーク設定、アクセス制御などの機能が提供されます。多くのNASは、ユーザーフレンドリーなWebインターフェースを通じて、簡単に設定や管理ができるようになっています。

ネットワークインターフェース

NASの名前の通り、ネットワークに接続するためのインターフェースが必要です。これは、有線LANポートや無線LANアダプタなどを指します。ネットワークの速度や安定性を確保するために、高品質なインターフェースの選択が重要です。

NASの基本的なストレージ原理

NASの背後には、データを保存するためのさまざまなストレージ原理が存在します。これらの原理は、データの種類やアクセスの頻度、保存の効率性に応じて適切に選択されます。ここでは、NASでよく用いられる3つの主要なストレージ原理について解説します。

ファイルストレージ

ファイルストレージは、データをファイルとして保存する方法です。各ファイルには一意の名前とパスが与えられ、ディレクトリ構造の中で整理されます。この方式は、ユーザーが直感的にデータにアクセスできるため、一般的なデータ保存や共有に適しています。また、ファイルのメタデータも保存されるため、検索や分類が容易です。

ブロックストレージ

ブロックストレージは、データを固定サイズのブロックに分割して保存する方法です。各ブロックには一意のIDが割り当てられ、物理的なストレージ上で連続的に配置されます。この方式は、ランダムなデータアクセスが高速であるため、データベースや仮想マシンのディスクとしての利用に適しています。

オブジェクトストレージ

オブジェクトストレージは、データをオブジェクトとして保存する方法です。各オブジェクトには一意のIDとメタデータが付与され、フラットなアドレス空間に保存されます。この方式は、大量の非構造化データを効率的に保存するためのもので、クラウドストレージや大規模なデータアーカイブに適しています。

NASの基本的なストレージ原理

ファイルストレージ

ブロックストレージ

オブジェクトストレージ

NASの実用例

NASは、その高い柔軟性と拡張性により、さまざまなシーンでの利用が可能です。ここでは、NASがどのような場面で役立つのか、具体的な実用例をいくつか紹介します。

ビジネスアプリケーションのサポート

多くの企業では、日常の業務をサポートするためのビジネスアプリケーションを使用しています。これらのアプリケーションは、大量のデータを扱うことが多いため、データの保存やアクセスの高速化が求められます。NASは、これらの要件を満たすための最適なソリューションとして利用されています。特に、リモートワークの増加に伴い、外部からのアクセスが容易なNASは、ビジネスの効率化を大いにサポートしています。

メディアファイルやトレントのストリーミング

家庭内でのNASの利用シーンとして、メディアファイルのストリーミングが挙げられます。映画や音楽、写真などの大量のメディアファイルを一元管理し、家庭内のさまざまなデバイスからアクセスすることができます。また、トレントのダウンロードやアップロードも、NASを使用することで効率的に行うことができます。これにより、エンターテインメントの楽しみ方が大きく広がります。