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RAID 10とは? 10分でわかりやすく解説

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RAID 10は、データの安全性と高速アクセスを両立するストレージ技術として注目されています。複数のハードディスクを組み合わせることで、ミラーリングによるデータの冗長性と、ストライピングによる読み書き性能の向上を実現します。本記事では、RAID 10の基本概念から導入方法、運用上の注意点まで、わかりやすく解説します。

RAID 10とは何か?

RAID 10とは、RAIDレベルのうち、RAID1(ミラーリング)とRAID0(ストライピング)の2種類を組み合わせたものです。複数のハードディスクを組み合わせることで、データの冗長性と高速性を両立するストレージ技術の一種です。企業のシステムにおいて、データの安全性と性能を確保するために用いられることが多いソリューションです。

RAIDの概要

RAIDとは、Redundant Arrays of Inexpensive Disks(冗長性のある安価なディスクの配列)の略称で、複数のハードディスクを組み合わせて、単一のストレージシステムとして機能させる技術です。RAIDには、様々なレベル(RAID 0、RAID 1、RAID 5など)があり、それぞれ特性が異なります。

RAID 10の定義

RAID 10は、RAID 1(ミラーリング)とRAID 0(ストライピング)を組み合わせたRAIDレベルです。最低4台のハードディスクが必要で、データは2台ずつミラーリングされ、さらにそのミラーリングされたペアがストライピングされます。これにより、データの冗長性と読み書きの高速性を同時に実現できます。

ミラーリングとストライピングの説明

ミラーリング(RAID 1)は、同じデータを2台のハードディスクに同時に書き込む技術です。これにより、片方のディスクが故障しても、もう一方のディスクからデータを読み取ることができ、データの冗長性を確保できます。

ストライピング(RAID 0)は、データを分割して複数のハードディスクに分散して書き込む技術です。各ディスクに同時にアクセスできるため、読み書きの性能が向上します。ただし、冗長性はないため、いずれかのディスクが故障するとデータが失われるリスクがあります。

RAID 10の特徴

RAID 10は、ミラーリングとストライピングの利点を組み合わせた技術であり、以下のような特徴があります。

  1. 高い冗長性:ミラーリングにより、データの冗長性が確保されます。片方のディスクが故障しても、もう一方のディスクからデータを読み取ることができます。
  2. 優れた読み書き性能:ストライピングにより、複数のディスクに同時にアクセスできるため、読み書きの性能が向上します。
  3. 容量の効率性:RAID 10では、使用可能な容量がディスク総容量の50%になります。これは、ミラーリングのためにディスク容量の半分が使用されるためです。
  4. 復旧の容易さ:ディスクが故障した場合、ミラーリングされたもう一方のディスクからデータを復旧できます。これにより、復旧作業が比較的簡単になります。

以上のように、RAID 10はデータの安全性と性能を重視するシステムに適しています。ただし、ディスク容量の効率性はRAID 5やRAID 6と比べて劣るため、コストとのバランスを考慮する必要があります。システムの要件に応じて、適切なRAIDレベルを選択することが重要です。

RAID 10のメリット

RAID 10は、ミラーリングとストライピングを組み合わせることで、データの安全性と高速性を同時に実現するストレージソリューションです。以下に、RAID 10の主なメリットについて解説いたします。

高速なデータアクセス

RAID 10では、ストライピング技術を用いることで、複数のディスクに同時にアクセスすることができます。これにより、読み書き速度が大幅に向上し、高速なデータアクセスが可能になります。特にデータベースやファイルサーバーなど、頻繁なデータアクセスが必要なシステムにおいて、RAID 10の高速性は大きなメリットとなります。

優れたフォールトトレランス

RAID 10は、ミラーリング技術によって、データの冗長性を確保しています。各データは2台のディスクに同時に書き込まれるため、片方のディスクが故障しても、もう一方のディスクからデータを読み取ることができます。これにより、ディスク障害によるデータ損失のリスクを最小限に抑えることができます。

リビルド時間の短縮

ディスクが故障した場合、RAID 10ではミラーリングされたもう一方のディスクからデータを復旧できるため、リビルド(再構築)にかかる時間が比較的短くなります。これは、他のRAIDレベル(RAID 5やRAID 6など)と比べて大きなメリットです。リビルド時間が短いほど、システムの復旧が迅速に行えるため、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。

ストレージ容量の効率的な利用

RAID 10では、使用可能な容量がディスク総容量の50%になります。これは、ミラーリングのためにディスク容量の半分が使用されるためです。一見、容量効率が悪いように思えますが、データの安全性と高速性を優先する場合、RAID 10は効率的なストレージソリューションといえます。また、ディスク容量が大きくなるほど、RAID 10のコストパフォーマンスは向上します。

以上のように、RAID 10は高速性、冗長性、復旧の容易さ、容量の効率性を兼ね備えた優れたストレージソリューションです。ただし、システムの要件やコストとのバランスを考慮し、適切なRAIDレベルを選択することが重要です。

RAID 10の導入方法

RAID 10を導入することで、データの安全性と高速アクセスを実現できます。ここでは、RAID 10の導入方法について解説いたします。

必要なハードウェア

RAID 10を構築するには、以下のハードウェアが必要です。

  • サーバー本体
  • RAIDコントローラ
  • ハードディスク(最低4台)
  • 電源ユニット
  • ケーブル類

ハードウェアの選定に際しては、システムの要件に適合した性能とコストバランスを考慮することが重要です。また、将来の拡張性を見据えて、余裕を持ったスペックを選ぶことをお勧めします。

RAIDコントローラの選択

RAIDコントローラは、複数のハードディスクを制御し、RAID機能を実現するためのハードウェアです。RAIDコントローラの選択においては、以下の点を考慮しましょう。

  • 対応するRAIDレベル(RAID 10に対応していること)
  • ディスク台数の上限
  • キャッシュメモリの容量
  • ホストインターフェース(SAS、SATA、PCIeなど)
  • 対応するオペレーティングシステム

システムの規模や要件に合わせて、適切なRAIDコントローラを選択することが重要です。

ディスクの構成

RAID 10では、最低4台のハードディスクが必要です。ディスクの構成は、以下の手順で行います。

  1. 同じ容量・モデルのハードディスクを用意する
  2. RAIDコントローラにハードディスクを接続する
  3. RAIDコントローラの設定画面で、RAID 10の構成を行う
  4. ディスクの初期化とフォーマットを実行する

ディスクの構成においては、ハードディスクの故障に備えて、ホットスペアディスクを用意することをお勧めします。ホットスペアディスクは、ディスク障害時に自動的に代替ディスクとして機能し、システムの可用性を向上させます。

パフォーマンスチューニング

RAID 10の性能を最大限に引き出すために、以下のようなパフォーマンスチューニングを行うことをお勧めします。

  • ストライプサイズの最適化
  • キャッシュ設定の調整
  • 読み込み・書き込みポリシーの設定
  • オペレーティングシステムのチューニング

これらの設定は、システムの用途や特性に応じて、最適な値を見出す必要があります。必要に応じて、ベンダーのサポートや専門家のアドバイスを求めることをお勧めします。

以上が、RAID 10の導入方法の概要です。適切なハードウェアの選定、ディスクの構成、パフォーマンスチューニングを行うことで、RAID 10の特長を最大限に活かしたシステムを構築できます。データの安全性と高速アクセスを重視するシステムにおいて、RAID 10の導入は大きなメリットをもたらすでしょう。

RAID 10の運用上の注意点

RAID 10は、データの安全性と高速アクセスを実現する優れたストレージソリューションですが、適切な運用が必要不可欠です。ここでは、RAID 10を導入する際の運用上の注意点について解説いたします。

定期的なバックアップ

RAID 10は優れたフォールトトレランス機能を持っていますが、システム全体の障害や人為的なミスによるデータ損失のリスクを完全に排除することはできません。そのため、定期的なバックアップを行い、データの安全性を多層的に確保することが重要です。バックアップの頻度や方法は、システムの重要度や復旧目標時間(RTO)を考慮して決定しましょう。

ディスク障害時の対応

RAID 10では、ディスク障害が発生した場合、ミラーリングされたもう一方のディスクからデータを読み取ることができます。しかし、障害ディスクの交換は速やかに行う必要があります。故障したディスクを長期間放置すると、もう一方のディスクにも障害が発生した場合、データ損失のリスクが高まります。また、ホットスペアディスクを用意しておくことで、ディスク障害時の自動復旧が可能になり、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。

ファームウェアのアップデート

RAIDコントローラやハードディスクのファームウェアには、バグフィックスや新機能の追加など、様々なアップデートが提供されています。これらのファームウェアを定期的にアップデートすることで、システムの安定性や性能を維持することができます。ただし、アップデートによって予期せぬ問題が発生する可能性もあるため、事前にテスト環境で検証を行い、問題がないことを確認してから本番環境に適用することをお勧めします。

モニタリングと早期の障害検知

RAID 10の安定運用には、システムの状態を常に監視し、障害の兆候を早期に検知することが重要です。RAIDコントローラやハードディスクの状態、パフォーマンス指標、エラーログなどを定期的にチェックし、異常な値や傾向がないかを確認しましょう。また、障害の発生を通知するアラート機能を設定しておくことで、迅速な対応が可能になります。早期の障害検知と適切な対処により、システムの可用性を高く維持することができます。

以上が、RAID 10の運用上の注意点です。定期的なバックアップ、迅速なディスク交換、ファームウェアのアップデート、そしてモニタリングと早期の障害検知を実践することで、RAID 10の特長を最大限に活かし、データの安全性と高速アクセスを実現することができます。

まとめ

RAID 10は、データの安全性と高速アクセスを両立する優れたストレージ技術です。ミラーリングによるデータの冗長性と、ストライピングによる読み書き性能の向上を実現します。最低4台のディスクを用いて、データを2台ずつミラーリングし、そのミラーリングされたペアをストライピングすることで、高い冗長性と優れた読み書き性能を同時に得ることができます。RAID 10は、データの安全性と高速性を重視するシステムに最適なソリューションといえるでしょう。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム