トレンド解説

RAID1とは? わかりやすく10分で解説

アイキャッチ
目次

はじめに

RAID1とは?

RAID1は、冗長配列として知られる構成の一つで、これは2つの物理ハードディスクで同じデータを保持する「ミラーリング」が特徴的な技術です。RAID1は、ハードディスクの故障に備えてデータを保護するための手段として利用されます。

どちらか一方のハードディスクが故障しても、他方のハードディスクが正常であれば、データは安全に保たれ、システムの停止を防ぐことができます

ただし、この方式を採用すると、2つのハードディスクで合計した容量ではなく、1つのハードディスクの容量しか使用できないという制約があります。

RAID1の目的

RAID1の主な目的は、データの冗長性と信頼性を向上させることです。つまり、仮にハードディスクドライブが故障したとしても、別のハードディスクドライブがそのままのデータを持つことで、データを失わないようにする役目があります。

また、RAID1はデータの読み取り速度を向上させる効果もあります。2つのハードディスクから同時にデータを読み取ることができるため、1つのハードディスクを使用する場合と比較して2倍の読み取り速度が得られる場合もあります。

ただし、書き込み速度については、2つのハードディスクに同じデータを書き込む必要があるため、速度には影響を与えます。

RAID1のメリットとデメリット

RAID1の最大の利点は、その耐障害性にあります。障害が発生してもデータが失われることなく、システムが停止することなく引き続き動作可能という特徴があります。

しかし、その一方で、RAID1の最大のデメリットは、データ容量です。ミラーリングで2つのHDDに同じデータを保存するため、効果的に使えるデータ容量はHDD一つ分に限られます。例えば、500GBのHDDを2本使用しても、使用できるデータ容量は500GBです。

また、書き込み速度についても、2台のHDDに同じ情報を書き込むため、一般的には書き込み速度は低下することを覚えておく必要があります。

RAID1の使用シーン

RAID1は、信頼性と冗長性が特に求められるシーンで使用されます。通常、重要なデータベースサーバーやメールサーバーなど、データの損失により重大な影響を受けるシステムに使用されます。

もっとも、ハードディスクのコストや容量の相対的なロスといった要素を考慮した場合、個人のパソコンでの使用よりも、企業の重要なデータを安全に保管する目的で使用されることが多いと言えます。

個々の使用シーンにおいて、RAID1構成の有効性はその利点と欠点をよく理解して、具体的なニーズと比較検討することで判断されるべきです。

RAID1の特徴

RAID1は、その特殊な性質により独自の特徴を持っています。その中には、データの保管、読み込み速度、書き込み速度、そして耐障害性が含まれます。それぞれの特性がどのように働き、存分にその恩恵を受けるためにはどうすればよいのかを、下記にわかりやすく解説していきます。

RAID1とデータの保管

RAID1は、そのユニークな特性により、データの保管において優れた機能を提供します。この構成では、同じデータが2つのハードディスクに書き込まれます。これにより、ハードディスクの一つが故障した場合でも、もう一つのハードディスクに全てのデータがそのまま残っています。つまり、データが重複されているため、冗長性が確保されていると言えます。

しかし、このメリットがもたらすデメリットとして、ストレージ容量の浪費があります。2つのハードディスクに同じデータが書き込まれているため、実質的なストレージ容量は1つのハードディスク分となります。

RAID1と読み込み速度

RAID1の構成では、読み込み速度が改善されます。2つのハードディスクから同時にデータを読み込むことが可能であるためです。これにより、データ転送速度が増大する場合があります。

この性能改善は操作によりますが、データの読み込みが並行して行われる場合や、大量のデータリクエストが発生する場合に特に効果的です。

RAID1と書き込み速度

RAID1では、データを2つのディスクに同時に書き込む必要があるため、書き込み速度は必ずしも高速とは言えません。しかし、これは2つのディスクが同期して動作するため、全体的なパフォーマンスには影響しません。

また、RAID1は全体的なシステムの安全性を確保する重要な措置であり、効率の一部を犠牲にしてでもデータの損失を防ぐ価値があります。

RAID1と耐障害性

耐障害性はRAID1のもう一つの主な特性であり、これがRAID1を非常に魅力的な選択肢とします。一つのHDDが故障した場合でも、もう一つのHDDには全てのデータがそのまま保持されているため、システムは停止せずに継続することができます。

この特性は、データを高度に保護する必要がある場合や、システムダウンタイムが厳しく制限されている場合に特に有用です。

RAID1とHDD

再構成可能な冗長性(RAID)は、複数のHDDを1つのドライブのように認識・表示させる技術です。RAID1は、そのうちの一つで、元のデータと同じ内容を複製し、2台のHDDに保存する技術を指します。

この章では、RAID1とHDDとの関連性に焦点を当て、選び方から設定方法、容量について、そして故障時の対処方法まで詳しく説明します。

RAID1に最適なHDDの選び方

まずRAID1に最適なHDDの選び方について解説します。HDDの品質はこの設定で大きな影響を与えます。なるべく高品質で、寿命の長い製品を選んでください。

また、RAID1の設定に使用する2つのHDDは、できれば同じモデル、同じメーカーから選ぶことをお勧めします。これは両方のHDDで性能の均一性を保つためです。さらに、HDDの容量も同じであることが重要です。

それらのポイントを満たしていれば、RAID1の設定は順調に進むはずです。お金と時間を節約するためにも、事前のリサーチは欠かせません。

RAID1で使用するHDDの設定方法

次に、RAID1で使用するHDDの設定方法について解説します。HDDの設定は、購入したばかりの新品HDDであれば、それほど難しくはありません。

まず、BIOS画面を開き、RAIDを有効にし、その後、RAID設定画面でRAID1を選択します。そして、RAID1に設定するHDDを選択します。

設定が完了したら、OSをインストールします。これは通常のPCセットアップと同じです。重要なのは、全ての項目を注意深く読み、適切に回答することです。

RAID1とHDDの容量について

続いて、RAID1とHDDの容量について説明します。RAID1では2台のHDDに同じデータを書き込みますが、容量は2台のHDDのうち1台分のみです。

何であれ、RAID1の設定に2台のHDDを用いる場合、どちらも同じ容量であることが重要です。2台のHDD間で容量の差があると、小さい方のHDDの容量しか使えません。

そのため、2台目のHDDが大きい容量を持つ場合でも、その追加容量は利用しきれないことがあるので注意が必要です。

RAID1におけるHDDの故障時の対処

最後に、RAID1におけるHDDの故障時の対処方法について詳しく説明します。RAID1の最大の特徴は、長さある大きなHDDが故障した場合でも、データを失わないことです。

ただし、完全に安心できるわけではなく、障害が発生したらすぐに故障したHDDを交換することが重要です。もし、交換せずに2台目のHDDも故障した場合、データのリカバリが非常に困難になります。

維持のための頻繁なHDDチェックと、予防措置は、長期間のハードウェアの信頼性を確保するために必要な手続きです。

RAID1の構築

RAID1の構築は、コンピュータのデータ保護を強化する重要なステップです。ここからは、具体的にRAID1を設定するための基本手順について解説していきます。

RAID1の設定手順

まず、保護対象となるデータをバックアップします。どのような設定作業を行う際でも、予期せぬ問題が発生した場合に備えてバックアップを取ることは重要です。

次に、使用するハードディスクがRAID1に対応しているか確認します。すべてのハードディスクがRAID1に対応していないと、構築は成功しません。

最後に、RAID1の設定を行います。設定方法は、ハードウェアRAIDかソフトウェアRAIDかにより異なります。

ハードウェア設定

ハードウェアRAIDを設定する際は、通常、コンピュータのBIOSまたはUEFI設定から行います。具体的な手順はマザーボードのメーカーやモデルによるので、手順書や公式ウェブサイトを参照してください。

大抵の場合、ハードウェアRAIDを設定すると、コンピュータは2つのディスクを1つのドライブとして認識します。

そして、それらのディスクのデータは自動的に同期されます。これにより、一方のディスクが壊れてしまっても、もう一方のディスクからデータを読み出すことが可能です。

ソフトウェア設定

ハードウェアRAIDと異なり、ソフトウェアRAIDは、OSレベルでRAIDを実現します。そのため、OSのディスク管理ツールを使用して設定を行います。

Windowsでは「ディスクの管理」ツール、Linuxでは「mdadm」コマンドを用いてRAID1を設定できます。

ソフトウェアRAIDはハードウェアに依存しないため、さまざまな環境で対応可能ですが、CPU負荷が高くなるというデメリットがあります。

設定時に注意すべきポイント

RAID1を設定する際は、使用するディスクの容量が同じであることを確認しましょう。異なる容量のディスクを使った場合、RAID1の効果が最大限発揮されません。

また、RAID1はディスク障害から保護しますが、データ破損やウイルス攻撃からの保護は行いません。そのため、定期的なバックアップとウイルス対策も忘れずに行うことが肝心です。

最後に、RAID1を設定した後は、定期的にディスクの状態を確認しましょう。気付かぬうちに一方のディスクが故障し、RAID1の恩恵を受けられない状況を避けるためです。

以上にて、RAID1の構築方法について解説します。ハードウェア設定、ソフトウェア設定、そして注意すべきポイントをしっかり押さえて、データ保護の一環として活用しましょう。

RAID1のパフォーマンス

RAID1は、2本のハードディスクに同じデータを書き込むことで、ハードディスクの故障からデータを保護する技術です。読み込み速度の向上、書き込み速度の低下、そして高まる信頼性と冗長性が主な特徴です。

RAID1とデータの読み込み・書き込み性能

RAID1はブロック単位で同時に2本のハードディスクからデータを読み込むことができます。これにより、読み込み速度が向上する可能性があります。しかし、書き込みは同時に2台のハードディスクに行うため、速度は低下します。

そのため、速度重視の用途では他のRAIDレベルの選択を検討すべきですが、データ保護が最優先の場合には、RAID1の効果が十分に発揮されます。

結論として、RAID1のパフォーマンスは、データの保護と信頼性を最優先するという原則に基づいています。

RAID1のデータ信頼性と冗長性

RAID1は二重化(ミラーリング)により、1本のハードディスクが故障したとしても、データが保護されます。これは、2本のハードディスクそれぞれに全てのデータが存在するためです。

これにより、データは高い信頼性と冗長性を兼ね備え、一部のハードディスクが故障してもデータを安全に利用し続けることができます。

しかし、この構成の短所はディスク容量が2本分必要なのに対して、使用できるのは1本分の容量であることです。これはデータ冗長性を保つためのコストと考えることができます。

RAID1のシステムの安定性への寄与

RAID1で構成されたシステムは、ハードディスクのどちらかが故障しても、もう一方のディスクにデータが保存されているため、システムの動作は止まりません。

ハードディスクの故障がシステム全体の停止につながらず、業務の中断を防ぐことができます。これは信頼性の高いシステムを維持するための重要な要素となります。

RAID1はシステムの安定性を維持し、長時間のダウンタイムを防ぐことに大いに貢献します。

RAID1とビジネスコンティニュイティ

RAID1はビジネスコンティニュイティ(事業継続性)計画の一部として非常に重要な役割を果たします。データの損失がビジネスに与える影響は深刻であり、その予防策としてRAID1が有効であると言えます。

RAID1は、どちらかのハードディスクが故障した場合でも、もう一方に全てのデータが存在しているため、クリティカルな業務データをしっかりと保護します。

そのため、RAID1は業務継続性の確保というビジネス上の要請を満たすため、多くの企業で活用されています。

RAID1と他のRAIDレベルとの比較

RAID(Redundant Array of Independent Disks)レベルにより、データ保護やパフォーマンスに大きな違いがあります。今回は、RAID1と他の主要なRAIDレベルの違いについて詳しく見ていきましょう。

まずRAID1は、データを二つのHDDに同時に書き込むことで、データ損失リスクを最小限に抑える特性があります。しかし、これはストレージ容量を半分に制限するというコストを伴います。それでは他のRAIDレベルとどのような違いがあるのでしょうか?

各レベル間の特性と利点について理解を深める事で、個々のシステムに一番適したRAIDを選択できます。

RAID1とRAID0の比較

RAID0(ストライピング)は、複数のHDDを一つとして扱い、パフォーマンスを向上させることを目的としています。しかし、データの保護を重視するのであれば、一つのドライブが壊れると、全てのデータが失われるRAID0は不適切です。

一方、RAID1は2台のHDDに同じ情報を書き込むため、一台が故障してもデータは失われずシステムも停止しない豊かな冗長性を提供します。

したがって、RAID0は高速な読み書き速度が重要なシステムに向いており、RAID1はデータ保護重視のシステムに適しています。

RAID1とRAID5の比較

RAID5は、データとパリティ情報を交互に各HDDに分散して書き込む事で、冗長性とパフォーマンスの向上を実現します。ただし、RAID1と比較して、RAID5はディスク障害に対する耐性が少し劣ります。

このため、RAID1は企業での利用や、データ保護が最優先事項となるシナリオに適しています。一方、RAID5はストレージコストを抑えつつ、ある程度のデータ安全性とパフォーマンスを必要とする場面でよく用いられます。

したがって、重要なデータがある場合はRAID1、まずはパフォーマンスとコスト削減を考慮したい場合はRAID5を選択すると良いでしょう。

RAID1とRAID6の比較

RAID6は、RAID5と同様にパリティ情報を使用しますが、そのパリティが二つ生成されるため、2台のドライブが同時に故障してもデータは安全です。その一方で、この冗長性を確保するための計算負荷が大きく、書き込みパフォーマンスが著しく減少します。

それに比べ、RAID1は二つのドライブで一つのドライブ分のデータを保持し、一方のドライブが故障してもデータは失われません。書き込みパフォーマンスもRAID6よりも高いです。

それぞれの適用場面としては、RAID6はより堅牢なデータ保護を必要とする、大量のデータを扱うシナリオで、RAID1はデータ保護の高さと書き込みパフォーマンスのバランスが要求される場面に適しています。

RAID1とRAID10の比較

RAID10(またはRAID1+0)はミラーリングとストライピングを組み合わせた手法で、RAID1とRAID0の両方の特性を有しています。RAID10の場合、少なくとも4つのHDDが必要で、データは2つのストライプセットに分けられ、各セットはミラーリングされます。

RAID1と比較すると、RAID10はデータ保護のレベルは同様ですが、読み書きのパフォーマンスは向上します。その一方で、より多くのHDDが必要で、ストレージのコストはより高くなります。

RAID1は、コストが重視され、データ保護が一番重要なシナリオに適しています。一方、RAID10は、パフォーマンスが重要で、同時にデータ保護も重要となるシナリオ(例:高負荷データベースサーバ)に向いています。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム