RDBとは? わかりやすく10分で解説
RDBとは?
RDB(Relational Database)とは、データを表形式で関連付けて管理するデータベースの一種のことです。各表は一意なキーによって連携を持ち、この一意性がデータ検索や結合の際に重要な役割を果たします。
たとえば、顧客の属性や注文商品の詳細など、異なる種類のデータをそれぞれの表で管理し、それぞれを関連付けて使うことができます。RDBは、効率的なデータの保管・取得・更新・削除などが可能です。
RDBは専用のシステムであるRDBMS(Relational Database Management System)を使用して運用されます。OracleやMySQLなどの製品がRDBMSとして広く利用されています。
RDBの主な特徴
RDBの特徴は、その操作に専用のシステム、つまりRDBMSが使われることです。これにより、データの統合・共有・制御が一元的に管理されます。
また、SQLというデータベース言語を使用してデータを操作します。SQLを用いれば、複雑な情報の照会やデータの変更など、高度なデータ処理が可能です。ドキュメント型やカラム型、グラフ型などの他のデータベースと比較しても、RDBの検索機能は優れているといえます。
さらに、RDBのデータは一貫性があり、データの重複や欠落が出ず、整合性が保たれます。これは、RDBMSがRDBのデータの一貫性を維持するためのACID特性(Atomicity, Consistency, Isolation, Durability)を持っているからです。
RDBの構造
RDBでは、データはテーブルとレコードの形で管理されます。テーブルはデータの種類ごとに区別され、レコードはテーブル内の個々のデータを表します。
表の各列については一意な名前がついており、各行(レコード)はその表が表すエンティティの1つのインスタンスを表します。行と列の交差点に具体的なデータが格納され、これにより情報が一元的に管理されます。
RDBでは、これらの表(テーブル)が互いに関連性を持つことで、データベース全体の一貫性と整合性を維持します。この関連性の操作が、RDBMSによって行われます。
RDBの歴史
RDBの概念は、1970年にIBMの研究者エドガー・F・コッドによって初めて提唱されました。その理論は「コッドの12の規則」として広く認知されています。
RDBはその後、データの一貫性や整合性を確保するためのソリューションとして、多くのビジネスや学術研究で利用されたことで急速に発展しました。大企業から小規模ビジネスまで幅広く用いられ、ソフトウェア業界で多大な影響を与えました。
ただし、近年はNoSQLなど他のデータベース技術との競争が激化しています。それでもなお、RDBの一貫性維持のための強みは今なおその価値を保ちつづけているため、RDBの理解はデータ管理の基礎を学ぶうえで重要といえます。
RDBの仕組み
RDBは、複数の表形式のデータを連携させて使うことができる便利なデータベースシステムです。しかし、その便利さを最大限に活用するためには、その操作方法の理解が重要となります。
では具体的に、どのようにRDBを操作するのでしょうか。主に3つの要素が重要となります。それが「RDBMS」「SQL」「テーブル間のリレーションシップ」です。
さらに、これらの要素を駆使して、RDBの利点である高度なデータ処理を行うことが可能です。それについても合わせて説明していきます。
RDBの操作に必要なRDBMS
まずは、RDBの操作に絶対に欠かせないRDBMS(Relational Database Management System)について説明します。RDBMSは、RDBを管理・操作するための専用システムで、具体的には「Oracle」や「MySQL」などの製品があります。
RDBMSによって、複数の表形式のデータを効率的に関連付けたり、データ同士の整合性を保持したりすることが可能となります。
結論として、RDBMSはRDBを使う上で必須のシステムとなりますので、RDBMSについて基本的な知識を身に着けておくことが重要です。
RDBの操作に使用するSQL
次に、RDBの操作に使用するSQL(Structured Query Language)について解説します。SQLはデータベース言語の一種で、RDBを操作するために使用されます。
RDBに保管されたデータを検索したり新規にデータを追加したり、データを更新・削除したりするときにSQLが使われます。
SQLには、データの検索を行う「SELECT」文や、データの挿入を行う「INSERT」文、データの更新を行う「UPDATE」文など、多くの基本的な構文が存在します。
テーブル間のリレーションシップ
RDBを使いこなすためには、テーブル間のリレーションシップ(関連性)を理解することも重要です。テーブル間のリレーションシップとは、それぞれのテーブルがどのように関連しているか、ということを示します。
一般に、テーブル間のリレーションシップは、主キーと外部キーという2つのキーを用いて設定されます。この主キーと外部キーの関連性によって、各テーブルのデータが一体となり、一貫性を保つことが可能です。
テーブル間のリレーションシップを設定することで、複数のテーブルを一元管理できるようになります。
RDBの高度なデータ処理
RDBが他のデータベースシステムと比べて優れている点の一つが、高度なデータ処理の能力です。具体的には、複雑な検索や集計といった操作が可能となります。
例えば、顧客の属性データを管理する表と顧客の注文データを管理する表があり、それぞれを関連付けている場合、特定属性の顧客が過去にどの商品を何回注文したかという情報を一度に取り出す、といった複雑な検索・集計が可能です。
このように、RDBを理解しその仕組みを使いこなせるようになれば、データを管理・活用する現場で大きな強みを手に入れることができます。
RDBのメリットとデメリット
データベースのシステム選択は、取り扱う情報の量、性質、必要な操作などにより変わります。RDB(Relational Database)にも一長一短が存在します。ここでは、そのメリットとデメリット及び注意点、そしてどのような状況でRDBを用いるべきかについて考察します。
RDBの主なメリット
メリットの一つ目は、データの一貫性を保つことができる点です。RDBのデータは一貫性があり、データの重複や欠落がなく整合性が保たれています。これは、RDBMSがRDBのデータの一貫性を維持するためのACID特性を持っているからです。
メリットの二つ目は、複雑な検索・集計といった高度なデータ処理が可能であることです。RDBでは、SQLというデータベース言語を使い、これにより複雑な条件検索も可能となります。
メリットの三つ目は、RDBの操作にはRDBMSという専用のシステムが使われる点です。OracleやMySQLなどのシステムを使用してRDBを操作することができます。
RDBの主なデメリット
デメリットの一つ目は、大容量データの処理が遅いことです。表形式でデータを管理するため、データが膨大になった場合、処理速度は低下します。
デメリットの二つ目は、サーバーの分散が難しいことです。水平分散が難しく、大量のデータを処理し、安定して運用するためには高度な知識と経験が必要です。
デメリットの三つ目は、データの拡張性が低いことです。既存のテーブル構造を変更したい場合、それに伴って関連するテーブルやデータも変更しなければならないため、拡張性には限界があります。
RDBを使用する際の注意点
RDBを利用する際の注意点の一つ目は、設計の重要性です。テーブル構造の設計が不適切だと、データの操作が困難になるだけでなく、パフォーマンス上の問題にもつながります。
注意点の二つ目は、データの量の見極めです。データの量が膨大になると性能が低下するため、あらかじめ大量のデータを取り扱うことを想定している場合は、他のデータベースシステムを検討した方がよいかもしれません。
注意点の三つ目は、専門的な知識とスキルを持った人間が必要となることです。テーブル設計・SQL操作・RDBMSの設定変更など、RDBを適切に操作・管理するためには専門のスキルと知識が必要となります。
どのような状況でRDBを使用するべきか
RDBを使用するべきシチュエーションの一つ目は、データの完全性が要求される状況です。データの整合性や一貫性が非常に重要であるビジネスなどは、RDBが適しています。
RDBを使用するべきシチュエーションの二つ目は、複雑な検索や集計が必要な場合です。SQLという強力なツールを使用して、詳細なクエリを実行する必要がある場合、RDBは極めて便利な選択肢となります。
RDBを使用するべきシチュエーションの三つ目は、データ量が比較的少ない、または大量であっても処理速度がそれほど要求されない場合です。RDBは大量のデータを高速に処理するのは苦手ですが、それがデメリットとならない状況下であれば、RDBの利点を活用することが可能です。
RDBと他のデータベースの違い
データを扱うためのシステムは、その形の違いや扱うデータの特性により、複数の種類が存在します。その中でも私たちは特に、「NoSQL」「オブジェクト指向データベース(OODB)」「階層型データベース」「ネットワーク型データベース」の4つとRDB(関係型データベース)との違いについて見ていきましょう。
RDBとNoSQLの比較
RDBとNoSQLの差異はソフトウェアのデータ構造の大きな違いに反映されています。RDBは表形式のデータを扱い、一方NoSQLはさまざまなデータ構造に対応しています。
また、RDBは大量のデータに対する処理速度が遅くなる可能性がありますが、NoSQLは大量データの処理速度が速いという特徴があります。これは横方向のスケールアウト(水平分散)が容易なNoSQLが処理を並列化することで高速化できるからです。
加えて、NoSQLの特徴としてデータの自由な追加・拡張が可能であるのに対し、RDBではデータの定義書(スキーマ)を変更しないと新しいデータ項目を追加できません。この違いからくる柔軟性が、時には開発の速度などに影響を与えることがあります。
RDBとオブジェクト指向データベース(OODB)の比較
オブジェクト指向データベース(OODB)は、オブジェクト指向プログラミング言語との親和性が高いのが特徴です。データとそれを扱う処理(メソッド)をまとめたオブジェクトとしてデータを管理します。
これに対して、RDBはテーブルという単純な2次元的な形状でデータを管理し、データ間の関連性を明示的に定義します。つまり、RDBはデータそのものに着目し、OODBはデータと処理を一体化するという違いがあります。
また、RDBが一貫性を重視するに対し、OODBはパフォーマンスを重視する傾向にあります。これは各々が重視するシステムの特性からくる違いと言えるでしょう。
RDBと階層型データベースの比較
階層型データベースは、データをツリー構造で管理する形式のデータベースです。これに対し、RDBはデータを表形式で管理します。この形式の違いが、データへアクセスする際の処理の違いをもたらします。
一般的に、階層型データベースは特定のパスを通してデータへアクセスします。これに対し、RDBでは表と表の間の関連性に基づいてデータへアクセスします。つまりデータへのアクセス方法が異なるということです。
また、階層型データベースは一般に、データの追加や削除が容易でない点でRDBと異なります。一方で、RDBではSQLにより比較的自由にデータの操作ができます。
RDBとネットワーク型データベースの比較
ネットワーク型データベースは、複数の親レコードが複数の子レコードを持つことができるという特性があります。これに対して、RDBはテーブル間の関連性(リレーション)を用いてデータを管理します。
ネットワーク型データベースの特長として、あるレコードから別のレコードへの直接的なリンクを持つことができ、移動や検索が速いことが挙げられます。しかし、その柔軟性故にデータベース全体の一貫性を保つのが困難となります。
これに対し、RDBはSQLにより適用ルールを一元的に管理することでデータの整合性を保ちます。しかし、これは同時に構造の変更が比較的難しいというデメリットともいえます。
RDBの今後
RDB業界は、テクノロジーの進化とともに常に新しいトレンドと展望が出現しています。ここでは、現在の動向から未来展望、選定のポイント、関連研究トピックまで、RDB業界の新たな情報までを詳しく見ていきます。
現在のRDBの動向
現在のRDBは、クラウド環境への移行という大きなトレンドによりさまざまな変化を経験しています。OracleやMySQLなどの伝統的なRDBMSも、クラウドサービスとして提供されるケースが増えています。
また、大量のデータをリアルタイムに処理する必要性から、高速処理が可能な新たなRDBMSが注目を集めています。その一つがメモリ上で動作するRDBMSで、これは処理速度を向上させるための取り組みの一つです。
このような動向からも、RDB業界は生きたデータを扱う能力とスケーラビリティの両立を追求し続けています。
RDBの将来
新たなデータ処理技術の進化は、RDBの未来を大きく変える可能性を秘めています。その一つがAI(人工知能)の進化で、AIはデータの解析や処理を自動化するため、RDBの運用をより容易にし、よりパーソナライズされたデータ利用が可能になると考えられています。
また、RDBの分散処理能力を利用したシステムも注目されています。これは、ハードウェアリソースを最大限に活用し、大量のデータに対応するための戦略です。
そうした新たな技術の進化により、RDBの未来は、より高速、より効率的、そしてよりパーソナルなデータサービス向けにシフトしていくことが予想されます。
RDBサービスの選定
RDBサービスを選定する際には、いくつかの重要なポイントに注目します。その一つが、自社のビジネス要件をきちんと満たせるかどうかです。具体的には、必要なデータ量・利用用途・予算・スキルセットなど、要件は多岐にわたります。
また、サービスのパフォーマンスや信頼性、セキュリティ対策なども重要な選定基準となります。特に、データ処理速度や可用性を重視するビジネスにとっては、そのRDBサービスの技術力は選定の重要な要素となるでしょう。
すなわち、RDBサービスを選定する際には、最終的にはそれがビジネスの目標を助ける道具であるという視点を忘れないことが重要です。
RDBの新たなトピック
新たなRDB関連研究は、RDBの新たな可能性を探求しています。その一つが、RDBを活用した機械学習の最適化です。RDBに格納された膨大なデータから学習パターンを導き出す研究が行われており、これにより予測精度を向上させるとともに、データ処理を高速化しようとしています。
また、RDBのセキュリティ強化への研究も進行中です。特に、個人情報の保護やビジネス上の重要なデータの保護に向け、新たなセキュリティ技術の開発が求められています。
これらの研究より、RDBは今後も更なる進化を遂げ、ビジネスの成長や社会の発展に貢献していくことでしょう。
Pickup ピックアップ
-
インタビュー
「切れない」VPNに認証の側面から安心をプラス|Absolute Secure Access ✕ Soliton OneGat...
-
イベント報告
【ウェビナー】知っておきたい「医療ガイドライン第6.0版」のポイントと、求められるセキュリティ対策とは?|アクシオ×ソリトンシ...
-
インタビュー
フルマネージドの連携ソリューションで快適かつ安全な無線環境を負荷なく実現|Hypersonix × Soliton OneGa...
-
インタビュー
「まずは認証から」現場の課題に寄り添い、実現可能なゼロトラストセキュリティソリューションを提案|萩原テクノソリューションズ×ソ...
-
インタビュー
新たな脅威への対応まで『任せられる』。「Prisma SASE」で、組織のセキュリティ対策をシンプルに強化|パロアルトネットワ...