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RTOとは? わかりやすく10分で解説

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目次

はじめに

RTOとは?

RTO(Recovery Time Objective)とは、何らかの事故や災害によりITシステムがダウンした際に、そのシステムを元の状態に復旧するまでの最大許容時間を指すものです。これはあくまで目標値であり、事業の損失を防ぐために最小化されるべき時間とされています。

RTOは通常、事業継続計画(BCP)やディザスタリカバリ(DR)計画の一部として設定されます。そしてそれはビジネスにとって重要なシステムがどれほど迅速に復旧する必要があるかを示す重要な指標となります。

RTOは事業継続を考慮した上で設定されます。したがってRTOは業務の緊急性や重要性により変わってきます。例えば、ビジネスにとって重要なシステムやデータのRTOは短く設定されることが多いです。

RTOが必要なケース

具体的にRTOが必要とされるケースについて説明します。最も一般的なケースは、機器の故障や天災などによるデータセンターの損失が挙げられます。

また、システムがハッキングされた際にもRTOが重要となります。その他でも、業務が一時的に中断したり、データの不整合が生じたりした場合にも、システムの復旧時間を定めるRTOが必要となります。

具体的な数値は個々のビジネスの状況によるため、RTOは予め検討して定めておくことが大切です。

RTOの計算方法

RTOの計算方法では、システムがダウンした際の復旧手続きの全プロセスを考慮する必要があります。これにはシステムの再起動、データの復元、システムの再設定などが含まれます。

また、RTOを設定する際には、その時間が過ぎた後のビジネスへの影響も考慮するべきです。RTOが長いとシステムの停止によりビジネスに大きな影響を及ぼす可能性があります。

なお、RTOはあくまで目標値であり、評価するためには定期的にシステムの復旧時間をチェックし、その結果を元にRTOの適切性を評価することが重要となります。

RTOと故障復旧

最後に、RTOと故障復旧の関係について説明します。システムが故障した場合、RTOはそのシステムが機能を取り戻すためにどれだけの時間が許されるかという一種のカウントダウンであると言えます。

したがって、システムがダウンしてからRTOの時間が過ぎるまでに、システムの復旧作業を完了させる必要があります。そうしなければ、サービスの品質悪化やビジネス上の影響が出る可能性があります。

RTOを設定することで、データの復旧やシステムの再起動など、事業継続に必要な時間とリソースを計画的に管理することが可能になります。これは現代のビジネスにおいて、事故や災害からの迅速な復旧が求められるため大変重要となります。

RTOと事業継続の関係性

なぜRTOが事業継続(ビジネスコンティニュイティ)のために重要なのでしょうか?その概念とRTOの役割について詳しく見ていきましょう。

ビジネスコンティニュイティとは

ビジネスコンティニュイティとは、何が起きても事業活動を続けるための計画や準備のことを指します。これには災害やサイバー攻撃などの直接的な被害だけでなく、システムの故障や障害も含まれます。

ビジネスコンティニュイティは予測できないリスクに対して、事前に計画や準備を整えることで事業の中断や生産性の低下を防ぎ、また最小限に抑えるための重要な戦略となります。

ビジネスコンティニュイティ計画の一部としてRTOを設定することが一般的です。

RTOと事業継続計画の関係

RTOは、ビジネスコンティニュイティ計画の重要な要素です。なぜなら、RTOが示すのは故障の発生からシステムが正常稼働状態に戻るまでの目標時間であり、それが事業活動の継続に直結するからです。

特定のシステムがダウンした場合、そのシステムが完全に復旧するまでの時間を示すものがRTOです。この時間が長ければ長いほど、ビジネスへの影響は大きくなります。

つまり、RTOを設定することで予め想定されるビジネスへの影響を最小限に抑えることができます。

RTOがビジネスに与える影響

各ビジネスにおいて設定するRTOは異なります。それはそのビジネスが許容できるダウンタイムや停滞期間による影響度によるからです。

RTOが長いということは、システムの回復に時間がかかることを意味します。その結果、業務遂行に影響を及ぼす可能性があり、最悪の場合はビジネスの信頼性や評価に打撃を与えることになりかねません。

そのため、RTOはビジネスの要求に合わせて可能な限り短く設定すべきです。

RTOとダウンタイムコスト

RTOの設定は、企業がシステムのダウンタイムによる損失をどの程度許容できるかも表します。これをダウンタイムコストと言います。

システムが停止してしまった場合、生産性の低下、ビジネスチャンスの損失、顧客サービスへの影響など多くのコストが発生します。これらの損失を最小限にするためには、短いRTOの設定が重要となります。

したがって、ビジネスにとってRTOは単に復旧目標時間というだけでなく、そのビジネスが許容できるダウンタイムコストを示す指標とも言えます。

RTOの設定

データ・システムの復旧時間を定めるRTO設定は、防災・事故対策において極めて重要です。しかし、RTOを適切に設定し、それを達成するためには、「手法と注意点」について理解することが不可欠です。

RTO設定のための手順

まず、RTO設定のためには、以下のことを考慮する必要があります。第一に、システムの重要性を評価します。これは、システムダウンタイムによるビジネスへの影響を判断するためのものです。

次に、復旧の現実性を考慮します。現実的に何時間以内にシステムを復旧させることができるのかを評価します。

最後に、その評価に基づいてRTOを設定します。しかし、この設定値はフレキシブルであるべきで、システムやビジネス要件の変化に応じて見直すことが求められます。

留意すべきRTO設定の落とし穴

RTO設定の際には、いくつかの落とし穴を避けることが重要です。一つ目は、過度に厳しいRTO設定です。厳しすぎるRTOは、コストやリソースを過度に消費し、組織に負担をかける可能性があります。

二つ目は、冗長性と可用性の誤解です。システムの冗長性があると、システム全体がダウンするリスクは低下しますが、それが必ずしも短いRTOにつながるわけではありません。

三つ目は、異なるシステム間でのRTOの一致です。異なるシステムが互いに依存している場合、RTOが一致しないと復旧計画がうまく機能しない可能性があります。

RTO設定時の業界ガイドラインとベストプラクティス

さらに、業界ガイドラインとベストプラクティスに沿ったRTO設定も考慮するべきです。例えば、金融業界や医療業界では、それぞれのビジネス特性や規制に合わせた短いRTOが求められることがあります。また、一般的には、予算、マンパワー、技術能力の範囲内で最短のRTOを設定することがベストプラクティスとされています。

RTO設定とリソースの管理

最後に、RTO設定はリソース管理と深く関連しています。例えば、システムの復旧に必要なリソース(マンパワーや時間)と、システムのダウンタイムによる損失(ビジネスインパクト)のバランスを考慮し、適切なRTOを設定することが求められます。

RTOとその他の復旧指標との違い

RTOとRPOの違い

RTO(Recovery Time Objective)RPO(Recovery Point Objective)は、データ復旧やシステム復旧の計画を立てる際に重要な二つの指標ですが、役割や目的が異なります。前者は復旧時間、後者はデータ損失の許容量を示します。 RTOはシステム障害が発生した場合に、システムが正常な稼働状態にどれだけ早く復旧するかを示す時間的目標のことを指します。これはビジネスの操作が停止してしまう状態からどれだけ早く脱出できるかという意味合いが含まれます。 一方、RPOはデータ損失を許容する最大の時間を指します。それは、障害が発生した際に過去のどの時点までシステムを復元できるかを示す目標値です。

RTOとMTOの違い

RTOとMTOを比較すると、二つの指標は似ていますが、いくつかの違いが存在します。 MTO(Maximum Tolerable Outage)はシステムが停止してもビジネスへの影響が許容できる最大期間を示します。一方、RTOはシステムの復旧までの目標時間を定めます。 RTOは技術的な目標ですが、MTOはビジネスの視点から設定されるのが一般的です。MTOが長ければ長いほど、ビジネスへの影響は大きくなるため、そのバランスを考慮して設定されます。

RTOとMTPDの違い

RTOとMTPDは、運用リスクを管理する指標として用いられますが、その焦点は異なります。 MTPD(Maximum Tolerable Period of Disruption)は、企業が許容できる最大の事業中断期間を示す指標です。 RTOはシステムの復旧までの時間を示す一方で、MTPDは事業活動そのものの中断を指します。これは業務の遂行が不可能になるまでの時間とも解釈できます。

RTOとWRTの違い

RTOとWRTはシステム復旧の計画において関連性があります。 WRT(Work Recovery Time)は事業が完全に通常運転に戻るまでの時間を示す指標です。この時間にはRTOの時間も含まれます。 RTOは復旧までの時間、WRTはその後の完全回復までの時間を示しています。したがって、WRTは通常、RTOよりも長い時間を示すことが多いです。これらの指標はそれぞれ独立していますが、組織が効率的な復旧計画を策定するためには両者のバランスが重要となります。

RTOの業界事例

RTO(Recovery Time Objective)という概念は、IT業界だけでなく、多くのビジネス領域で実際に利用されています。ここでは、いくつかの具体的な業界におけるRTO設定の事例を紹介します。

金融業

金融業界では一秒ごとに数百万以上の取引が行われ、これらの取引データが切り捨てられたり損失したりすれば、莫大な損失となるため、分単位、場合によっては秒単位でのRTOが求められます。

例えば、証券取引所では、システム障害が発生した場合でも、最短でシステムを回復させ、取引を続行できるようにしなければなりません。

そのため、金融業界では非常に短いRTOが設定され、その達成に向けた高度な技術が使用されています。

エネルギー業

エネルギー業界でもRTOは重要です。

エネルギー供給システムで障害が発生した場合、供給が絶たれることで生じるビジネス上の影響は巨大であり、復旧までの時間は可能な限り短くすべきです。

そのため、この業界では強固な復旧計画とともに最短のRTOを設計することが常識となっています。

IT業

IT業界、特にオンラインサービスを提供している企業では、サービス停止は収益損失に直結します。

そのため、適切なRTO設定が求められ、一部の企業ではシステムがダウンしてもすぐにサービスを再開できるような冗長性を持ったシステム構成を持つことで、限りなくRTOをゼロに近づけるような設計がされています。

製造業

製造業では生産ラインが止まることは大きな損失を意味します。

例えば自動車メーカーなどでは、生産ラインが停止するとその時間だけ生産車両が減少し、直接的な収益損失につながります。

そのためRTOは非常に重要で、障害発生後すぐに復旧できるよう、迅速な復旧作業が求められます。

RTOとテクノロジー

データ障害やシステムダウンからの迅速なリカバリーは、業界を問わずビジネスの成功にとって重要な要素となっています。そして、そこで重要となるのがRTO(Recovery Time Objective)です。それでは、現代のテクノロジーがRTOをどのように改善するのか見ていきましょう。

テクノロジーがRTOを如何に改善するか

現代のテクノロジーの進化によって、RTOの短縮が可能となっています。大規模なIT障害が発生した際でも、高度なテクノロジーによりデータを迅速に復元し、ビジネスの運用を続けることができます。

また、テクノロジーの進化によりネットワーク負荷やシステムリソースのモニタリングが容易になり、障害を未然に防ぐことも可能となりました。これにより、RTOが短縮すると同時に、システムに問題が生じる可能性を自動的に低減します。

テクノロジーが進化することで、以前では考えられなかったようなRTOの目標値を設定することが可能になりました。これはビジネスの競争力を大きく左右する要素であると言えます。

RTOとクラウドコンピューティング

現代のテクノロジーは、目標復旧時間(RTO)を短縮するためのさまざまなメカニズムを提供します。その一つがクラウドコンピューティングです。

クラウドコンピューティングはデータをリモートサーバーに保管し、それらをインターネット経由で取り出すことができます。このクラウドテクノロジーは、RTOの短縮に大いに寄与します。障害発生時に、クラウド上から迅速にデータを取り出しシステムを復旧することが可能になります。

さらに、クラウドのデータセンターは通常、地理的に分散して配置されています。これにより災害や障害が一部のデータセンターに影響を与えても、他のサーバからデータをリカバリすることができます。これらはクラウドコンピューティングがRTO短縮に寄与する方法の一部です。

RTOとデータレプリケーション

データレプリケーションもまた、RTO短縮に寄与する重要なテクノロジーの一つです。このプロセスは、一つのデータベースから別のデータベースにデータをコピーするもので、元のデータが損失または破損した場合に備えて常に最新のデータを保持します。

データ障害が発生した場合でも、レプリケーションされたデータをリカバリすることで、システムのダウンタイムを最小限に抑えることが可能となります。

データレプリケーションは通常、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで行われるため、障害が発生した場合でもデータの喪失を最小限に抑えることができます。これによりRTOを短縮することができます。

RTOと自動化

現代のテクノロジーがビジネスの復旧時間を大幅に短縮しているもう一つの方法は、復旧プロセスの自動化です。

自動化ツールを使用すると、システムがダウンしてしまった場合でも、その影響を最小限に抑え迅速に復旧することが可能となります。これは、システム管理者が手動で対応するよりもはるかに時間を節約できます。

仮想化技術やクラウドテクノロジーなども組み合わせることで、システム復旧の自動化はさらに進化します。これらの技術を組み合わせることで、復旧時間を大幅に削減し、RTOを大いに改善することが可能となります。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム