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SIerとは? わかりやすく10分で解説

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SIer(システムインテグレータ)とは

SIer(システムインテグレータ)とは、ITソリューション・サービスを提供する企業のことです。これらの企業は、情報システムの企画・開発から運用・保守まで、クライアント企業のITに関するあらゆるニーズに対応します。SIerの役割は、クライアントのビジネス課題を解決し、更なる価値を提供することにあります。

SIerは、コンサルティングから要件定義、設計・開発、運用・保守など、情報システムを全面的にサポートします。これには、ハードウェアやソフトウェアの選定、設置、設定なども含まれます。

システムインテグレーションとは、独立した情報システムを統合して一体化することを指します。これにより、既存のシステムへの新しい機能の追加や、新旧システムの連携が可能となります。

SIerが行う業務

SIerの役割と業務は多岐にわたります。主な業務としては、ITに関する課題解決のためのコンサルティングが挙げられます。オーダーメイドのシステム開発に携わるだけでなく、企業のビジネスプロセスや組織を理解し最適なシステムを提案していきます。

次に、システムの企画・設計・開発もSIerの重要な業務です。クライアントのビジネスニーズに応じた、利便性の高い情報システムを設計し、開発します。これには、新規システムの提案だけでなく、既存システムの改良も含まれます。

また、システムの設置・導入サポートも重要な業務の一つです。システム開発が終わった後も、システムがスムーズに動作するように設定や調整を行います。そして、システムを使うユーザーに対して適切な操作方法を教えるなどのサポートも提供します。

SIerの存在意義と役割

IT化の進展やビジネス環境の変化により、企業には情報システムの導入・更新が求められています。しかし、企業内で全ての工程を自社で行うのは難しく、そこでSIerが重要な役割を果たします

SIerは、企業のビジネスニーズに合わせたシステムを的確に設計・開発し、適切に運用することで、クライアント企業の競争力強化や生産性向上に寄与します。具体的には、業務効率化、コスト削減、新ビジネスの創出などにつながります。

また、ITパートナーとしてのSIerの存在はクライアント企業にとって安心感を提供します。企業のIT課題はビジネスの成長、規模拡大とともに増加します。その際、全てを自社で対応するのは大きな負担となり、ビジネスへの集中力を削ぐ恐れがあります。SIerは、これらの課題を解決し、クライアント企業がビジネスに専念できる環境を提供します。

企業がSIerを利用する理由

企業がSIerを利用する主な理由としては、専門知識が必要なIT業務を外部に委託することでリソースを効率的に活用したいというニーズがあります。自社でITスキルを持っている人材を確保・育成するのは難しく、その手間を省くためにSIerに業務を委託します。

また、最新のITトレンドや先端技術を取り入れるためにもSIerを活用します。特に、AIやIoT、ビッグデータなどの先端技術を取り入れるには莫大なコストと時間が必要ですが、SIerならこれらの技術も活用したシステム開発が可能です。

さらに、システム導入後の運用・保守をサポートしてもらうことも企業がSIerを利用する大きな理由です。システムがトラブルを起こし、その解決に時間がかかると、業績に直接影響を及ぼす可能性があります。SIerは、そのようなリスクを低減してくれます。

SIerの種類と特徴

IT業界におけるSIerは、さまざまなタイプに分類され、それぞれが異なる特徴と強みを持っています。詳しくは、メーカー系、ユーザー系、独立系および外資系の4つに分けて紹介します。

それぞれのタイプには、特徴あるサービスがあり、商材やターゲット顧客、技術力に違いが見られます。以下、各SIerの特徴とその事例について詳しく解説していきます。

メーカー系SIerの特徴と事例

メーカー系SIerは、主に大手のIT機能を持つ製造業者が受注を行っており、元々製造業であるため製品の知識と信頼性が非常に高いのが特徴です。これにより、具体的な製品を開発し、提供する力があります。

具体的な事例として、富士通がこの分類に当たります。富士通はハードウェアからソフトウェアまで幅広く扱い、顧客の様々なニーズに対応しています。

ユーザー系SIerの特徴と事例

ユーザー系SIerは、大企業が自社のIT部門を分社化した企業のことを指します。自社システムの開発に強みを持ち、自社内で使われているシステムの開発経験や知識が豊富です。

代表的な企業としては、NTTデータが存在します。NTTデータはNTTグループの一部で、通信システムやデータセンターなどの大規模システムの開発に長けています。

独立系SIerの特徴と事例

独立系SIerは、特定のメーカーやユーザーに依存せず、システムインテグレーション事業を行う企業のことを指します。広範囲の技術と製品ラインナップをもち、多種多様なビジネスシーンへの対応が可能です。

その一例として、野村総合研究所(NRI)があります。金融業界を中心に広く拡大している企業で、金融業界特有のシステム開発に強いです。

外資系SIerの特徴と事例

外資系SIerは、海外の大手企業が進出して形成され、先進的な技術とノウハウを活かした高度なシステムインテグレーションを提供します。

代表的な外資系SIerとしては、アクセンチュアが挙げられます。彼らはグローバルに事業展開しており、多国籍で多種多様なプロジェクトを手掛けています。

SIerとSES(システムエンジニアリングサービス)の違い

IT業界では、「SIer」や「SES」など、種々の専門職が存在します。しかし、これらの職種が何を指すのか、またそれぞれの違いや特徴を明確に理解している人は案外少ないかもしれません。ここでは、SIerとSESの違いを解説し、それぞれの特長や選択ポイントについて説明します。

SESの定義と役割

まずは、「SES」について詳しく見ていきましょう。SESは、System Engineering Serviceの略で、システム開発や保守・運用にエンジニアを提供するサービスを指します。企業がITシステムの開発や保守に必要なエンジニアリング力を内部に持っていない場合、または一時的に人材が不足している場合に、SES企業からエンジニアを派遣してもらい、その力を借りるわけです。

SESの利用は、企業にとっては一時的な人材ニーズを迅速に補うことが可能な点でメリットが大きいです。また、派遣されるエンジニアにとっては幅広いフィールドでの実務経験を積むことができます。

しかし、SESはあくまで派遣形態に頼った措置なので、長期的な視点で企業内のエンジニアリング力を養成することは難しいと言わざるを得ません。

SIerとSESの類似点と差異点

次に、SIerとSESの類似点と差異点について解説します。SIerとSESはともにITシステムの開発や保守に関与する専門職ですが、それぞれの役割は異なります。

SIerはシステム開発の全工程を請け負う一方で、SESは企業のシステム開発や保守・運用にエンジニアを提供するサービスを提供します。つまり、SIerは「何を」作るかに重点を置くのに対し、SESは「誰が」作業をするかに重点を置いていると言えます。

この違いは、企業がIT戦略をどう組むかにより選択するべきサービスが異なるという意味合いを持ちます。具体的な違いについては次の項目で詳しく説明します。

どのケースでSIerとSESを利用すべきか

それでは、具体的なビジネスケースでSIerとSESはどのように利用すべきか見ていきましょう。

SIerは、システム開発全体を外部委託することで、専門知識を持つエンジニアを自社に持つ必要がない場合や、大規模なシステムの開発やトータルなITソリューションが必要な場合に適しています。

一方、SESはシステムの開発や保守運用における一部の業務を外部のエンジニアに委託し、自社の人材が不足している場合や、短期間での人材強化が必要な場合に利用すべきです。

SIerとSESの選択ポイント

最後に、SIerとSESの選択ポイントについて説明します。一つ目は、自社のIT戦略に即した選択が必要です。つまり、長期的な視点でシステム開発能力を自社内に持ちたいか、それとも特定のプロジェクトだけ外部の力を借りたいかで選択すべきです。

二つ目は、それぞれのサービスの構造や値段、提供している人材の質について理解し比較検討することが求められます。どの企業が最適なパートナーなのかを見極めるためにも、これらの観点から比較検討することが考慮するべきポイントと言えます。

最後に、IT業界は技術進化が激しいため、提供サービスが最新の技術動向にキャッチアップしているかどうかも重要な選択ポイントになります。常に技術的な最先端を追求し続ける姿勢が求められる業界であるため、時代遅れのテクノロジーやサービスを提供している企業は信頼できるパートナーとは言えません。

SIerのメリットとデメリット

SIerの業務活動には様々なメリットとデメリットがあります。以下では、それぞれの特性や影響について詳しく見ていきましょう。

SIerのメリットとそれによる効果

SIerが提供する最大のメリットは、一連のシステム開発ライフサイクルを全てカバーしていることです。これにより、クライアント企業は自社のIT部門を持たずとも高度なシステム開発を行うことができます。

また、自社の業務要件に対する最適なソリューションを導き出せるのがSIerの強みです。また、一度システムが稼働してからも、機能追加や拡張が容易に行えます。

エンジニア自身にとっても、SIerで働くことは大規模な開発プロジェクトに携わることができ、技術力を高めたり、マネージメントスキルを磨くチャンスになるという面もメリットと言えるでしょう。

SIerのデメリットとその対策

一方、SIerにはいくつかのデメリットが存在します。その一つが開発期間とコストです。頼りきりになると、開発時間が長引き、開発費用も増大する可能性があります。

加えて、開発が進行した段階での仕様変更が難しく、また、社内で専門のエンジニアが育たないという問題も指摘されています。

エンジニア自身にとっては、プログラミングの機会が減ったり、最新の技術を学びにくい環境であるという点がデメリットと言えるでしょう。

SIerを上手く活用するための条件

これらのメリット・デメリットを踏まえて、SIerを上手く活用するためには、自社のニーズとSIerのサービス内容を適切にマッチさせることが求められます。

また、開発期間やコストが問題となる場合は、計画的にプロジェクトを進め、規模や範囲を明確にすることが重要です。

また、社内エンジニアの育成も視野に入れた運用や、最新技術を学びやすい環境の構築も大切な要素となります。

企業がSIerを選ぶ際の注意点

企業がSIerを選ぶ際には、ポートフォリオ案件成果を十分に確認し、自社のニーズに適したパートナーを選ぶことが重要です。

公正な評価のためにも、事前に市場での評判や口コミをリサーチし、複数の企業を比較検討することがおすすめです。

また、長期的なパートナーシップを視野に入れた場合、メンテナンスやアフターサポートの体制もチェックしておくとよいでしょう。

SIer選びのポイント

SIerを選ぶ際には、以下のポイントを確認することが重要です。

信頼性の確認

まず確認すべきはSIerの信頼性です。開発能力はもちろんのこと、納期遵守やコミュニケーション能力等もしっかりと評価してください。また、他のクライアントからの評判や口コミも一つの参考になります。

その上で、必要な保証が得られるかどうか確認することも大切です。もしトラブルが起きた場合には、適切に対応してくれるかどうかが重要となります。

信頼性が低いと感じる場合には、他のSIerを探すことも検討してみてください。

価格と品質のバランス

次に注目すべきは、価格と品質のバランスです。依頼するシステムの規模や複雑さ、開発期間等により、コストは異なりますが、それに見合った品質が得られるかどうか評価してください。

また、価格と品質のバランスを見る際には、自社の資金繰りや予算の状況を考慮に入れることが必要です。適切なバジェット設定により、長期的に安定した運用が可能となります。

一見安価に見えても、その後の保守・運用コストが高額な場合もあるため、全体的なコストを見積もるようにしましょう。

経験と実績の確認

また、SIerの経験と実績も重要な選定基準となります。特にあなたが依頼するプロジェクトと類似の経験があるかどうかを確認してください。

その際には、具体的な事例や成功体験、失敗体験等を詳しく聞くと良いでしょう。これにより、そのSIerがどの程度の問題解決能力を持っているかを判断できます。

経験と実績が豊富なSIerを選ぶことで、スムーズな開発プロセスを行える可能性が高まります。

アフターサービスの質

最後に、システム開発が完了した後のアフターサービスの質も確認してください。開発後の保守・運用はシステム寿命を延ばすために重要であり、トラブルが発生した際の対応が迅速かつ適切であることが求められます。

また、システムの使用状況に応じた適切なアップデートや機能追加が可能かどうかもアフターサービスの一部と言えます。

しっかりとアフターサービスが充実しているSIerを選ぶことで、完成後も安心してシステムを使い続けることができます。

SIer活用の成功事例

SIerは多種多様なビジネスやIT環境に対応し、クライアントの要求を満たすソリューションを提供する役割を果たします。この章では、具体的な活用事例を通してSIerの実力を探ります。

ビジネス課題解決の事例紹介

SIerの力はビジネス課題解決においても発揮されます。企業が新たなサービスを開始する際、そのプラットフォーム構築をSIerが支援するケースも少なくありません。この事例を通じて、SIerはビジネスのスタートアップからスケールアップまで全面的にサポートできる強みを持つことがわかります。

また、既存のビジネスシナリオや流れを再検討し、改善策を導入する際にもSIerは貢献します。業務効率化のためのシステム導入や既存システムのアップデートなどを、企業のビジネス戦略に合わせて一元的に請け負うのがSIerです。このことから、SIerがITとビジネスをつなぎ、ビジネス価値を最大化する役割を果たすことが理解できます。

デジタル変革(DX)実現の事例紹介

近年、デジタル化は企業にとって避けて通れない課題となっています。その実現に向けて、企業が最も頼りにしたいパートナーがSIerです。デジタル技術の最前線に立つSIerの知識と経験は、デジタル変革(DX)を成功に導くのに不可欠です。

例えば、ある製造業での事例では、SIerがAI技術を用いて既存工程をデジタル化し、大幅な生産性向上を実現しました。また別の事例では、小売業者がSIerに依頼してIoTを活用し、リアルタイムの在庫管理を可能にするシステムを導入しました。

コスト削減の事例紹介

SIerはコスト削減の実現にも貢献します。ここでも、SIerの豊富な専門知識と経験が生きています。彼らの詳細な調査と分析により、企業のIT環境に無駄がないか、もしくは無駄を削減するための方法がないかを明らかにします。

例えば、ある企業はSIerと協力し、内部ネットワークの最適化を行いました。その結果、企業の通信コストは大幅に削減され、業績にも大いに貢献しました。また、別の事例では、統一されたIT基盤を構築することで、複数のシステムを管理・運用するための人件費が削減されました。

イノベーション創出の事例紹介

SIerが最も評価されるのは、企業や社会にイノベーションをもたらす点でしょう。新たな技術やアイデアを導入することで、企業のビジネスモデルそのものを変革する力を持っています。

例えば、ある金融機関はSIerの力を借りてブロックチェーン技術を導入し、新たな取引システムを開発しました。また、医療業界の事例では、SIerがAI技術を使用して診断支援システムを開発し、医療現場に革新をもたらしました。

これらの成功事例を通じて、SIerが大きな課題を克服し、新たな価値を創出するためのパートナーであることが理解できます。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム