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SMS認証とは? わかりやすく10分で解説

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目次

はじめに

情報社会の現代において、情報セキュリティは極めて重要なテーマとなっています。個人のプライバシー保護はもちろん、企業のビジネスストラテジーや国家安全保障まで、広範な分野で情報セキュリティは必要不可欠とされています。その中で、高まる情報保護のニーズに対応する手段の一つが、SMS認証です。

情報セキュリティの重要性

情報セキュリティは、情報の信頼性や完全性、利用可能性を保証するための手段です。情報漏洩は個人のプライバシー侵害を招き、企業にとっては機密情報が外部に漏れることで競争力が失われる危険性があります。

そして、情報セキュリティにおける最重要課題の一つは、認証です。認証は、ネットワークやシステムを利用するユーザーが実際に誰であるかを確認するプロセスで、パスワードを入力して自分がそのアカウントの所有者であることを証明することが一般的です。

SMS認証とは

パスワードのみの認証は、それが第三者に知られてしまうとすぐに無力化します。こうした背景から誕生したのがSMS認証です。

SMS認証は、ユーザーがサービスを利用しようとした際に、事前に登録された携帯電話番号にワンタイムパスワード(OTP)を発行し、これを入力することでユーザーの身元を確認する手段です。これにより、パスワードが漏洩したとしても、ユーザーが実際にその携帯電話を所有していなければログインできません。

このようにSMS認証は、二段階認証と呼ばれるセキュリティ強化手段の一つで、情報セキュリティを確保する上で大きな役割を果たしています。

SMS認証の仕組み

認証技術の一つとして普及してきたのが、SMS認証です。ここではその基本的なプロセスと、SMS認証に不可欠ともいえるワンタイムパスワード(OTP)についてお話しします。

SMS認証の基本的なプロセス

SMS認証は、ユーザーの電話番号を用いて安全性の確認を行う認証技術です。まずはじめに、ユーザーはサービスへのログインや情報の確認を行います。その後、サービスはユーザーの電話番号に対して認証用のコードをSMS(ショートメッセージサービス)を通じて送ります。これをユーザーが受け取り、指定の場所に入力することで認証が完了します。

このようなプロセスを経ることで、信頼性の確認が可能になっています。また、不正なアクセスを防ぐための一つの手段ともなっています。

ワンタイムパスワード(OTP)とは

SMS認証の際に送信される認証用のコード、これをワンタイムパスワード(OTP)といいます。名前の通り、これは一回限りのパスワードで、一度使われるとその次からは無効になります。

このワンタイムパスワードの特徴は、それぞれのパスワードがユニークであるため、一度使用されたパスワードが再度使用されるリスクがほぼないことです。これにより、情報漏えいのリスクを大幅に低減することが可能となります。

SMS認証の利点

SMS認証には、ユーザーの身元確認を強化するという大きな利点があります。また、不正アクセスの防止にとっても非常に重要な役割を果たします。それぞれ詳しく解説していきましょう。

ユーザーの身元確認強化

SMS認証は、特にユーザーの身元を確認する際に強力なツールとなります。これは、SMS認証が一般的に視覚的なパスワードの代わりに使用されるからです。視覚的なパスワードに比べてSMS認証は、電話番号を使用するため、それ自体が一種の証明となり、ユーザーの身元の確認を強化するのです。

例えば、ユーザーがサービスに初めて登録する際、サービスはユーザーの電話番号を要求します。その電話番号宛にワンタイムパスワード(OTP)を送り、ユーザーがそれを正確に入力できれば、その電話番号はそのユーザーの所有であると証明されます。この手順により、サービスはユーザーの身元を確認することが可能になるのです。

不正アクセスの防止

また、SMS認証は、不正アクセスの防止にも有効です。その理由は、ユーザーが自身の認証情報を間違って誰かに教えてしまったとしても、SMS認証を使っていれば、その認証情報を持っている人はユーザー自身だけであることが保証されるからです。

つまり、不正アクセス者がパスワードを盗むだけではアカウントへのアクセスは不可能となり、不正者が更にユーザーの電話を乗っ取らなければならないのです。これは、一般的なパスワードよりもかなりセキュリティが高まるため、不正アクセスの可能性を大幅に減らすことが期待できます。

これらの利点を踏まえて、SMS認証は現代のインターネットを安全に利用するための重要なセキュリティ機能の一つであると言えます。-

SMS認証の欠点とリスク

さて、それではSMS認証の欠点とリスクについて見ていきましょう。確かにSMS認証はその便利さから多くのサービスで採用されていますが、そこには注意が必要な問題も潜んでいます。

プライバシーの問題

まず一つ目の問題として、プライバシーの問題が挙げられます。SMS認証を利用するには、認証に必要な電話番号をウェブサイトやアプリに提供することが必要となります。これにより、個人情報がサードパーティに漏洩するリスクがあります。特に、悪意を持った業者が偽のSMS認証を要求するフィッシング詐欺も存在し、不審なリンクからのSMS認証要求には注意が必要です。

SMS認証を使っても安全ではない理由

次に、SMS認証が必ずしも安全とは限らない理由について説明します。SMS認証を通過すれば安全というわけではなく、様々な攻撃方法によってSMS認証を回避することが可能です。例えば、電子傍受(セキュリティが弱いネットワークでのデータ傍受)やマン・イン・ザ・ミドル攻撃(通信の途中で情報を盗む)などの方法で、SMSで送信されたコードを盗むこともあります。

SIMスワップ攻撃とは

それと同様に注意すべき攻撃方法の一つにSIMスワップ攻撃があります。これは悪意ある者があなたの携帯電話キャリアに偽装し、あなたの電話番号の移植を要求するという攻撃です。これにより攻撃者はあなたの電話番号を手にし、SMS認証を回避することが可能になります。

以上のような理由から、SMS認証はあくまでも「一部のセキュリティ強化策」であり、それ自体が万全のセキュリティ対策とはならないことを理解しておくことが大切です。次の章では、このような問題を解決するための適切な利用方法とセキュリティ強化への取り組みについてお話します。

SMS認証の適切な利用方法

インターネット上での安全な取引や情報交換のためには、SMS認証の適切な利用が欠かせません。具体的にどのような利用方法が適切なのかについて、以下に3つの要点を説明します。

適切なパスワードの管理

第一に、適切なパスワードの管理が重要です。複雑性と覚えやすさ、2つの要素をうまく組み合わせたパスワードを設定することが求められます。隠語や予測困難な英数字の組み合わせを利用し、定期的にパスワードを更新することが望ましいです。パスワード管理アプリの活用も有効な選択肢となります。これらは一元管理を可能とし、高度なセキュリティを提供してくれます。

個人情報の保護について

次に、個人情報の保護についてです。個人情報を適切に保護することは、オンライン上での安全を確保するための基本となります。電話番号などの個人情報は、必要最小限のサービスや機関だけに提供しましょう。また、個人情報を要求するメッセージが来た場合や、怪しいリンクは開かないことも重要です。SMS認証コードを要求するメッセージには特に注意が必要で、不明な送信元からのメッセージは無視することをおすすめします。

SMS認証のセキュリティ強化策

次に、SMS認証のセキュリティ強化策について述べます。SMS認証におけるセキュリティの鍵は、「何かを知っている」「何かを持っている」「何かである」という3つの要素を組み合わせることです。これらを組み合わせることで、セキュリティ性を向上させることが可能となります。たとえば、パスワード(何かを知っている)とSMS認証コード(何かを持っている)を組み合わせることで、それぞれの弱点を補うことが可能です。

また、二要素認証(2FA)やマルチファクター認証を利用することも効果的な対策となります。これらは、パスワードだけでなく、電話やバイオメトリクスなど、複数の認証手段を使用することでセキュリティを強化します。

他の2要素認証(2FA)方法との比較

セキュリティを強化するための一つの手段として、2要素認証(2FA)があります。2FAは、パスワードだけでなく、追加の認証手段を用いることでセキュリティを高めるシステムです。SMS認証もその一つですが、他にも様々な方法が存在します。ここでは、SMS認証と他の2FA方法とを比較してみましょう。

電話認証との比較

電話認証はユーザーが事前に登録した電話番号へ直接電話をかけることで行います。ユーザーは電話に出て、システムが提供する確認コードを入力します。これに対して、SMS認証はユーザーにSMSを送信し、その中に含まれるコードをユーザーが入力することで認証を行います。

電話認証とSMS認証はやや似ていますが、重要な違いがあります。 具体的には、 電話認証は受信者が通話に応答し、指示に従う能力が必要となる一方で、SMS認証は文字情報を読み取り、それをウェブサイトに入力できる能力が求められます。そのため、使用シーンや利用者の状況によって、選択すべき認証手段は変わるかもしれません。

バイオメトリクス認証との比較

バイオメトリクス認証は、体の特徴を用いた認証手段で、指紋や顔認証などがあります。

一方、SMS認証はユーザーがSMSを受け取ることができるデバイスが必要です。この2つは全く異なる認証手法で、それぞれに利点と欠点があります。バイオメトリクス認証の長所は特徴的なデータがユーザー本人固有のものであるため、なりすましによる不正利用が難しいことです。一方で、そのデータが漏洩した場合、それを変更することは不可能です。また、ハードウェアが必要となるため、初期費用がかかる可能性もあります。

SMS認証の長所は設定が容易で、携帯電話さえあれば利用が可能であることです。しかし、携帯電話の紛失や盗難、あるいはSMSメッセージの盗聴といったリスクもあります。そのため、ユーザーの利便性とセキュリティのバランスを考慮した上で、どの認証手段を選択するかを検討する必要があります。

物理トークン認証との比較

最後に、物理トークン認証についてです。これは特殊なデバイスを利用して、固有の情報を利用者に渡す方法です。ハードウェアトークンやUSBキーといった形で提供されます。

SMS認証と比較してみると、物理トークンの方がセキュリティの観点からは強固です。なぜなら、物理的なデバイスを手元に持たなければならないため、なりすましや不正アクセスを防ぐことができるからです。しかし、ユーザーフレンドリーさの観点からすると、新たにデバイスを携帯する必要がある物理トークン認証は、すでに携帯していることが前提のSMS認証よりも利便性が低いかもしれません。そのため、利便性とセキュリティ、どちらを優先するかで選択が分かれるでしょう。

SMS認証の今後と課題解決への取り組み

これまでのセクションで、SMS認証の仕組みやその利点・欠点を深掘りしてきました。それぞれの視点から見て、SMS認証の存在価値とその限界を理解していただけたと思います。今後、この認証の技術はどのように変化し、そしてそれに伴う課題はどのように解決されるのでしょうか。その予測とともに、現在進行中の取り組みについて考察していきましょう。

SMS認証の今後

SMS認証は、そのユーザーフレンドリーな性質と普及率の高さから、今も広く使われています。しかしながら、そのセキュリティには弱点が存在し、その克服のための努力が続けられています。

その一つの方法として、今後SMS認証は他のセキュリティ手段と組み合わせる形で進化する可能性があります。これにより、マルチファクター認証というより強力なセキュリティを提供することができるでしょう。

つまり、SMS認証だけに依存するのではなく、生体認証やアプリケーションベースの認証といった他の方法と組み合わせて、強固なセキュリティ対策を構築することが一つの方向性となっています。

課題解決への取り組み

SMS認証のセキュリティ弱点への解決策として、技術者や専門機関からは主に2つのアプローチが提案されています。一つは前述の通り、マルチファクター認証の導入であり、もう一つが技術の向上によるものです。

技術向上による解決策としては、例えばSMSメッセージを暗号化する方法などが考えられます。これにより、メッセージが不正に盗まれても読み解けない形にすることが可能になります。ただし、これには相当な技術力が必要となり、全ての機種・通信キャリアで対応できるわけではありません。

SMS認証の課題解決への取り組みは、今後もさまざまな分野で求められます。その取り組みを理解し、自身が使用する際は新たな安全対策を講じることが、我々ユーザーに求められる行動と言えるでしょう。

まとめ

この記事では、SMS認証過程の情報セキュリティ上の重要性と、それを適切に活用してセキュリティを強化するための方法について解説してきました。

SMS認証の情報セキュリティ上の位置づけ

SMS認証は、オンライン上での身元確認手段として広く利用されており、明確な利点を持つ一方で、それ自体が完全なセキュリティ手段であるわけではないという点を理解することが重要です。SMS認証は、他のアカウント保護手段と組み合わせて使用するべき第二層の防御手段であり、それ自体が100%の安全を保証するものではありません。

SMS認証の適切な利用とセキュリティ強化

また、SMS認証の適切な利用方法と、個々のユーザーが情報セキュリティを強化するための指針について説明しました。適切なパスワードの管理やプライバシー設定など、個々のユーザーが行えるセキュリティ対策について理解することで、SMS認証を含む情報セキュリティ体制全体を強化することが可能となります。

SMS認証が情報セキュリティにどのように貢献するか、そしてそれがどのようなリスクを伴う可能性があるかを理解することで、適切な措置を講じるための知識と理解を深めることができます。最終的に、情報の安全性を確保し、潜在的な脅威から保護するために、これらの情報を活用することが強く推奨されます。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム