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スイッチングハブとは? 10分でわかりやすく解説

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UnsplashU. Storsbergが撮影した写真      

複数のネットワーク機器を接続する際、通信の効率化やセキュリティ向上のためにスイッチングハブを導入する企業が増えています。この記事では、スイッチングハブの基本的な仕組みから選び方、活用方法までをわかりやすく解説します。

スイッチングハブとは何か?

スイッチングハブの定義と役割

スイッチングハブは、ネットワーク上の各機器を接続し、データの送受信を制御する装置です。以下のような役割を担っています。

  1. 接続された機器間のデータ転送を高速化
  2. ネットワークトラフィックの最適化
  3. ネットワークの安定性と信頼性の向上

ネットワークスイッチの働き

ネットワークスイッチは、スイッチングハブの一種であり、より高度な機能を持っています。ネットワークスイッチは、接続された機器のMACアドレスを学習し、適切なポートにデータを転送します。これにより、効率的なデータ通信が実現されます。

ハブとの違い

スイッチングハブとハブは、ともにネットワーク機器を接続する役割を持ちますが、以下のような違いがあります。

スイッチングハブハブ
MACアドレスを使用してデータを転送全ポートにデータを転送
高速なデータ転送が可能データ転送速度が遅い
ネットワークの負荷を分散ネットワークの負荷が集中

LANケーブルの種類と規格

スイッチングハブを使用する際は、適切なLANケーブルを選択することが重要です。主なLANケーブルの種類と規格は以下の通りです。

  • カテゴリ5(CAT5):最大100Mbpsの通信速度
  • カテゴリ5e(CAT5e):最大1Gbpsの通信速度
  • カテゴリ6(CAT6):最大10Gbpsの通信速度
  • カテゴリ7(CAT7):最大10Gbpsの通信速度、シールド付き

企業のネットワーク環境に適したLANケーブルを選択し、スイッチングハブと組み合わせることで、安定した高速通信を実現することができます。スイッチングハブを活用し、効率的なネットワーク環境を構築することをお勧めいたします。

スイッチングハブの仕組みと機能

スイッチングハブは、ネットワーク上のデータ通信を効率的に行うための重要な機器です。ここでは、スイッチングハブの基本的な構造や仕組み、主な機能について解説します。

スイッチングハブの基本的な構造

スイッチングハブは、複数のポートを持つ装置です。各ポートにはネットワーク機器(コンピュータ、プリンタ、サーバーなど)がLANケーブルで接続されます。スイッチングハブの内部には、以下のような主要なコンポーネントがあります。

  • スイッチングエンジン:データの転送を制御する中核部分
  • MACアドレステーブル:接続された機器のMACアドレスと対応するポート番号を記録
  • バッファメモリ:データを一時的に保存し、転送時の衝突を防ぐ

MACアドレスによるフレーム転送

スイッチングハブは、MACアドレスを使用してデータ(フレーム)を適切なポートに転送します。MACアドレスは、ネットワーク機器ごとに固有の識別番号です。スイッチングハブは、受信したフレームの宛先MACアドレスを確認し、MACアドレステーブルを参照して対応するポートにフレームを転送します。

ストアアンドフォワード方式

スイッチングハブは、ストアアンドフォワード方式でデータを転送します。この方式では、スイッチングハブが受信したフレームをいったんバッファメモリに保存(ストア)し、エラーチェックを行った後、宛先ポートに転送(フォワード)します。これにより、エラーのあるフレームを排除し、ネットワークの信頼性を高めることができます。

VLANによるネットワーク分割

スイッチングハブの多くは、VLAN(Virtual LAN)機能を備えています。VLANを使用すると、物理的には同じスイッチングハブに接続されていても、論理的に独立したネットワークを構築することができます。これにより、セキュリティの向上、ブロードキャストドメインの分割、ネットワーク管理の効率化などが実現されます。

以上のようなスイッチングハブの仕組みと機能により、ネットワーク上のデータ通信が効率化され、安定したネットワーク環境が構築されます。企業におけるネットワークの運用・管理において、スイッチングハブは欠かせない存在といえるでしょう。

スイッチングハブの選び方とおすすめ製品

スイッチングハブは、企業のネットワーク環境を構築する上で重要な役割を果たします。ここでは、スイッチングハブを選ぶ際のポイントと、予算に応じたおすすめ製品を紹介します。

スイッチングハブ選びのポイント

スイッチングハブを選ぶ際は、以下のようなポイントに注目することをおすすめします。

  1. ポート数:接続するネットワーク機器の数に応じて、適切なポート数を選択する。
  2. 転送速度:ネットワークの要求に合わせて、十分な転送速度を備えたモデルを選ぶ。
  3. 管理機能:VLANや優先制御など、ネットワーク管理に役立つ機能を確認する。
  4. 拡張性:将来的なネットワーク拡張を見据えて、拡張性の高いモデルを選択する。
  5. ブランドと評判:信頼性の高いブランドの製品を選び、ユーザーの評判を参考にする。

ポート数と転送速度

スイッチングハブのポート数は、接続するネットワーク機器の数に応じて選択します。一般的なオフィスであれば、24ポートや48ポートのモデルが適しています。将来的な拡張も考慮し、余裕を持ったポート数を選ぶことが賢明です。

転送速度については、ギガビットイーサネット(1000Mbps)に対応したモデルがおすすめです。高速なデータ転送が可能なスイッチングハブは、業務の効率化に貢献します。さらに、10ギガビットイーサネットへの対応も視野に入れると良いでしょう。

管理機能の重要性

ネットワークの運用・管理を効率化するために、スイッチングハブの管理機能にも注目が必要です。以下のような機能が役立ちます。

  • VLAN:論理的なネットワーク分割により、セキュリティと管理性を向上させる。
  • 優先制御(QoS):重要なトラフィックを優先的に処理し、ネットワークの安定性を高める。
  • ポートミラーリング:特定のポートのトラフィックを別のポートにコピーし、モニタリングを容易にする。
  • 無停電化対応:停電時にも安定動作を維持し、ネットワークの可用性を高める。

これらの管理機能を備えたスイッチングハブは、ネットワークの運用・管理を大幅に効率化し、安定したネットワーク環境の構築に貢献します。

予算に応じたおすすめ製品紹介

予算に応じて、以下のようなスイッチングハブがおすすめです。

予算おすすめ製品
5万円以下エントリーモデル(24ポート、ギガビットイーサネット対応)
5万円~10万円ミッドレンジモデル(48ポート、ギガビットイーサネット対応、VLAN・QoS機能付き)
10万円以上ハイエンドモデル(48ポート以上、10ギガビットイーサネット対応、高度な管理機能付き)

予算に合わせて、必要な機能を備えたスイッチングハブを選択することをおすすめいたします。信頼性の高いメーカーの製品を選び、ネットワーク環境に最適なスイッチングハブを導入すれば、効率的で安定したネットワーク運用が実現できるでしょう。

スイッチングハブを活用したネットワーク構築

スイッチングハブは、企業のネットワーク環境を構築する上で欠かせない機器です。ここでは、スイッチングハブを活用したネットワーク設計の方法と、ループ防止機能、VLAN、PoEなどの設定方法について解説します。

スイッチングハブを使ったネットワーク設計

効率的なネットワーク環境を構築するためには、適切なスイッチングハブの選定と配置が重要です。以下のようなポイントに注目してネットワーク設計を行うことをおすすめします。

  • ネットワーク規模に応じたポート数の選択
  • ギガビットイーサネットや10ギガビットイーサネットへの対応
  • VLANやQoSなどの管理機能の活用
  • 冗長化構成による可用性の向上

これらのポイントを考慮し、ネットワークの要件に適したスイッチングハブを選定・配置することが、安定したネットワーク環境の構築につながります。

ループ防止機能の設定方法

ネットワークループは、ブロードキャストストームなどの問題を引き起こす可能性があります。スイッチングハブのループ防止機能を活用することで、これらの問題を未然に防ぐことができます。

代表的なループ防止機能であるSTP(Spanning Tree Protocol)の設定手順は以下の通りです。

  1. スイッチングハブの管理画面にアクセスする
  2. STPの設定メニューを開く
  3. STPを有効化し、優先度やパスコストを適切に設定する
  4. 設定を保存し、再起動する

STPを適切に設定することで、ネットワークループを防止し、安定したネットワーク環境を維持することができます。

VLANの設定とセグメンテーション

VLANを活用することで、物理的なネットワークを論理的に分割し、セキュリティとネットワーク管理の効率化を図ることができます。VLANの設定手順は以下の通りです。

  1. スイッチングハブの管理画面にアクセスする
  2. VLANの設定メニューを開く
  3. VLANを作成し、適切な名前とIDを割り当てる
  4. 各ポートをVLANに割り当てる
  5. 設定を保存し、再起動する

VLANを適切に設定することで、部門ごとのネットワーク分割や、セキュリティ対策の強化が可能になります。また、VLANを活用することで、ブロードキャストドメインを分割し、ネットワークの効率化も図れます。

PoEによる電力供給とデバイス管理

PoE(Power over Ethernet)対応のスイッチングハブを使用すると、LANケーブルを通じて電力を供給できるため、IPカメラや無線APなどの端末の設置が容易になります。PoEの設定手順は以下の通りです。

  1. スイッチングハブの管理画面にアクセスする
  2. PoEの設定メニューを開く
  3. PoEを有効化し、各ポートの供給電力を設定する
  4. 接続された端末の動作を確認する

PoEを活用することで、電源工事の必要がなくなり、端末の設置コストを削減できます。また、PoE対応のスイッチングハブでは、接続された端末の管理機能も充実しているため、効率的なデバイス管理が可能です。

以上のように、スイッチングハブの各種機能を活用し、適切に設定することで、安定かつ効率的なネットワーク環境を構築することができます。企業のネットワーク管理者は、これらの機能を十分に理解し、ネットワークの要件に合わせて設定を行うことをおすすめいたします。

まとめ

スイッチングハブは、ネットワーク上のデータ通信を効率化し、安定したネットワーク環境を構築するために欠かせない機器です。MACアドレスを使って適切なポートにデータを転送し、VLANによってネットワークを論理的に分割することで、セキュリティと管理性を高めます。ポート数や転送速度、管理機能を考慮して最適なスイッチングハブを選択し、ループ防止やPoEなどの設定を適切に行うことで、ネットワークをより良いものにできるでしょう。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム