ワイヤーフレームとは? わかりやすく10分で解説
ワイヤーフレームとは
ワイヤーフレームとは、webページのレイアウトを示す設計図のことを指します。Webサイト制作の初期段階で作成される重要な手段であり、完成イメージを"見える化"するものです。
一般的には、実際のデザインやコーディングに入る前に作成されます。すなわち、具体的な色やタイポグラフィ、画像などの要素は含まれず、ページのレイアウト、ページ内での要素の配置に焦点を当てたものです。
これにより、ユーザーインターフェースの基本的な構造を扱う際に視覚的な混乱を引き起こす要素を排除し、情報の構造や機能の配置に注目を向けることが可能となります。
ワイヤーフレームの役割
ワイヤーフレームはプロジェクトチーム内でのコミュニケーションツールとしての役割も果たします。複数人での作業時にイメージを共有し、制作作業のブレを防ぎます。
加えて、ワイヤーフレームは、ページに足りない要素や邪魔な要素、視線誘導などを事前に確認し、問題点を発見する役割も担っています。
さらに、ワイヤーフレームは関係者間での共通認識を作る上でも有効です。制作会社に制作を依頼する際、ワイヤーフレームを共有することで誤解を防ぎ、効率的な進行が可能となります。
ワイヤーフレームが必要な理由
ワイヤーフレームが必要な理由は、Webサイト制作の初期段階での完成イメージの共有や、制作作業のブレを防ぐためです。たとえば、デザイン制作やコーディングに入る前にワイヤーフレームを作成し固めることで、余計な手間やリビジョンを削減することができます。
また、Webデザインは様々な要素で構成されており、それぞれの要素がどのように連携するべきかを明確にすることも重要です。ワイヤーフレームはそのための有効な手段となります。
さらに、顧客やステークホルダーとのコミュニケーションツールとしても役立ちます。ワイヤーフレームを使用することで、提案内容が視覚的に示され、具体的なイメージを共有することができます。
ワイヤーフレームを作成する際の注意点
ワイヤーフレームを作成する際の注意点としては、まずコンテンツの優先度を明確にすることが重要です。ユーザーが最も関心を持つ情報は何か、その情報はどの部分に配置されるべきかを考え、ページ全体の優先度をつけることが大切です。
次に、ユーザーの操作の自然さも考慮に入れる必要があります。ユーザーが情報を探す流れ、操作の手順などを理解し、それをスムーズに設計します。
ワイヤーフレームはあくまで構成と配置にフォーカスを当てたものであることを忘れてはなりません。色やフォント、画像等の具体的なデザイン要素に気を取られ、主な目的から外れてしまうことは避けるべきです。
ワイヤーフレームの作り方
Webサイトのワイヤーフレームを効率よく作成するには、どんなステップが必要なのでしょうか。主に、情報を整理するステップ、情報をレイアウトするステップ、ツールを使って清書するステップの3つが基本となります。そして、これらをスムーズに行うためのコツについてもご紹介します。
これらの手順を経て、実際のデザイン作業を始める前に、全体の像を「見える化」することができます。
ワイヤーフレームの作成は、Webサイト制作における重要な初期段階ですので、ぜひ参考にしてみてください。
情報を整理する
ワイヤーフレームを作る前に、必要な情報をしっかりと整理することが第一歩となります。必要な情報とは、Webサイトで伝えたいメッセージや、どんな情報を掲載するかなどです。
初めにメインとなる情報をピックアップし、それらをグルーピングします。その後、重要度や優先度に応じてランキングを行うことで、どこに何を置くかがより明確になります。
この情報の整理は、Webサイト全体の視覚的なバランスを考える上で大切なステップとなります。
情報をレイアウトする
次に、整理した情報をどのようにレイアウトするかを考える段階になります。ヘッダー、フッター、グローバルナビゲーション、サイドバーなどの項目をどこに配置するかが重要となります。
ユーザーが自然と情報を見つけやすい配置にすることで、ユーザビリティが向上します。これにより、訪問者が思わぬところでつまづくことなく、必要な情報を見つけることができます。
このステップでは、視線の動きを意識した配置にすることも重要です。
ツールを使って清書する
情報の整理とレイアウトが終わったら、次にツールを使って実際にワイヤーフレームを描きます。ツール選びは、手に馴染んだものや自分が使いやすいものを選べばよいので、必ずしも専門的なツールを使う必要はありません。
Power PointやExcel、Illustratorなど、手元にあるソフトで十分実現可能です。ただし、より複雑なレイアウトや高度な操作が必要な場合は、専用のワイヤーフレーム作成ツールを利用することも考えてみてください。
この清書のステップは、実際のデザインへと近づけるための重要なステップとなります。
ワイヤーフレーム作成のコツ
ワイヤーフレーム作成のコツとして、まずはシンプルに始めることをおすすめします。細部にこだわりすぎると、全体の構造が見えづらくなることがあります。
また、ユーザビリティを最優先に考えることも大切です。見た目の美しさだけ追求しても、ユーザビリティが低いと訪問者にとって使いづらいサイトとなってしまいます。
最後に、フィードバックを積極的に取り入れることも大事です。他の人の目から見たときにどう見えるかの意見を取り入れることで、より良いワイヤーフレームを作成することができます。
ワイヤーフレームの種類と違い
ワイヤーフレームの概念を把握するにあたって、他の類似した概念との違いを明確に理解することが重要です。ここでは、「ディレクトリマップ」、「デザインカンプ」、「サイトマップ」といった項目との違いについて解説します。
また、ワイヤーフレームを用いたサイト作成では他にも有用なツールが存在します。これらについても詳しく説明します。
ディレクトリマップとの違い
ディレクトリマップは、Webサイトを構成するすべてのWebページの情報をまとめたものです。これに対しワイヤーフレームは、Webページのレイアウトや配置を示す設計図の一種です。
ディレクトリマップは全ページの情報を視覚化し、ページ間の関係性を明確にします。しかし、ページ内のレイアウトや設計についての情報は含まれていません。これに対してワイヤーフレームは、ページ内の具体的なレイアウトや要素の配置を明確に示します。
つまり、ディレクトリマップがWebサイト全体の「枠組み」を示すのに対して、ワイヤーフレームは各ページの「詳細設計」を示します。
デザインカンプとの違い
デザインカンプはデザインの完成見本を指し、具体的な色や形、フォント等の視覚情報を含んでいます。
一方、ワイヤーフレームは色や形などの具体的な視覚情報は含まれず、ページ内の要素のレイアウトや情報の優先度、視線の誘導などを示します。したがって、デザインカンプはワイヤーフレームを元に作成されるものと言えます。
これらの違いを理解することで、ワイヤーフレームとデザインカンプのそれぞれの役割を適切に活用することができます。
サイトマップとの違い
サイトマップはWebサイトの全体像を示すもので、Webサイト内の全ページとそれらの相互関連性を一覧で見ることができます。
それに対してワイヤーフレームは、Webページの詳細なレイアウトを示すものであり、ページの全体的な流れや要素の配置を考える際に使用されます。
サイトマップはWebサイト全体の構造を明確化するものであり、ワイヤーフレームはその一部分の詳細な設計図という位置づけで差別化されます。
ワイヤーフレームとともに必要なもの
ワイヤーフレームだけでなく、上記で示したディレクトリマップ、デザインカンプ、サイトマップなどもWebサイト制作において重要な要素です。
これらのツールは各々違う役割を果たし、Webサイトの構造設計、ページ間の関連性、視覚デザイン、そしてページのレイアウト設計といったWebサイト制作の各工程で活用されます。
適切な工程で適切なツールを活用することで、Webサイト制作はより効率的に、そして品質の高いものとなります。
ワイヤーフレームをつくる際のヒント
ワイヤーフレームはWebサイトの要素の位置関係を視覚化する重要な工程ですが、ただ描くだけでなく、UI/UX、レスポンシブデザイン、アクセシビリティ、SEOといった観点からも考える必要があります。今回は、それぞれの観点からワイヤーフレームを見るポイントをお伝えします。
それぞれの観点によって求められる視点は異なるため、見落としなく全ての観点をチェックすることが重要です。ユーザー体験の最適化にも直結するこれらの観点は、適切なワイヤーフレーム制作に欠かせないポイントと言えます。
それでは一つずつ詳しく見ていきましょう。
UI/UXの観点からワイヤーフレームを見る
まずはUI(User Interface)/UX(User Experience)の観点からです。これは「ユーザーが使いやすいか」を中心に考える点です。ユーザーの操作が直感的なものになるよう、ボタンの配置やサイズなどを考え、ユーザーが求める情報を簡潔に伝えられるような設計にしましょう。
また、一貫性も重要です。ページ間でデザインや動作が異なると、ユーザーに混乱を感じさせ、UXを損なう原因になります。それぞれの要素が全体を通して一貫した振る舞いをするように計画しましょう。
UI/UXの観点では、最終的にユーザーがストレスなくサイトを利用できることが最優先となります。
レスポンシブデザインの観点からワイヤーフレームを見る
レスポンシブデザインとは、デバイスの画面サイズに合わせて、レイアウトや表示内容が動的に変わるデザインのことを指します。PC、タブレット、スマホなど、さまざまなデバイスサイズに対応できるように、ワイヤーフレーム制作時から考慮することが重要です。
各デバイスでの表示を想定し、それぞれの画面サイズで最適なユーザー体験を提供できるよう、要素の配置やサイズ、表示・非表示を計画します。具体的には、モバイルサイズではコンテンツの折り畳み、デスクトップサイズでは広範囲の表示などが考えられます。
要点は、全てのデバイスで最適な体験が提供できるように設計することです。
アクセシビリティの観点からワイヤーフレームを見る
続いてアクセシビリティの観点からワイヤーフレームを見ていきましょう。アクセシビリティとは、ウェブサイトが誰にでも利用可能であることを目指す考え方です。これには高齢者や障害者に対する配慮も含まれます。
例えば、色覚障害を持つユーザーのために色以外の情報で要素を区別する配慮や、視覚障害者に対して音声読み上げが効果的な情報伝達ができるようにする配慮などが挙げられます。これらを考慮し、全てのユーザーが適切に情報を理解できるような設計を心掛けましょう。
アクセシビリティの観点から見たワイヤーフレーム制作では、ウェブサイトを「見える」だけではなく、様々な「感じ方」にも対応できる設計が求められます。
SEOの観点からワイヤーフレームを見る
最後に、SEO(Search Engine Optimization)の観点からワイヤーフレームを見ていきます。SEOとは、ウェブサイトが検索エンジンの検索結果で上位に表示されるように最適化する取り組みのことです。
ワイヤーフレーム制作でSEO観点を考える場合、例えば「H1タグがページに1つだけ存在するか」、「必要なmeta要素が設計されているか」など、検索エンジンに情報を効果的に伝えることができるような設計が求められます。
また、ユーザーが求める情報にスムーズにたどり着けるようなユーザビリティも大切です。これらを踏まえたワイヤーフレームは、SEO効果の高いウェブサイト制作に繋がります。
以上、ワイヤーフレーム制作時に考慮すべき各観点からのポイントを解説しました。これらを押さえつつ、ユーザーにとって最適なウェブサイト設計を目指しましょう。
ワイヤーフレームの活用例
ワイヤーフレームは各種デジタルプロダクトの設計フェーズにおいて役立つツールです。以下では、その具体的な活用例をいくつか紹介します。
ワイヤーフレームを使用したWebサイト設計
Webサイト設計において、レイアウトや配置を容易にイメージ・調整できるのがワイヤーフレームの利点です。設計初期段階でこのツールを活用することで、意図した通りの構造やレイアウトを作成するための見通しを立てられます。
また、クライアントやプロジェクトチーム全体が、サイト全体や各ページの機能と構造について共通認識を持つことを助けます。このようにワイヤーフレームを活用することで、効率的なWebサイト設計が可能となります。
一方で、デザインや色の調整など細かな部分については後から行うことが一般的です。ワイヤーフレームでは、最初に極力シンプルな構成で設計に取り組むことが推奨されます。
モバイルアプリ設計におけるワイヤーフレームの活用
モバイルアプリの設計でも、ワイヤーフレームは重要なツールとなります。特に、スモールスクリーン上で動作するアプリケーションでは、配置要素の使いやすさや見やすさが求められます。
ワイヤーフレームを使用することで、スペースの最適な利用方法や、ユーザーが求める機能を提供するためのレイアウト設計が可能となります。また、部分的にデザインを追加し、モバイルアプリのレイアウト要素やユーザビリティについて具体的に検討することも可能です。
ワイヤーフレームを用いれば、開発者やデザイナーだけでなく、非技術者もアプリの設計過程に参加しやすくなります。高度なテクニカルスキルは必要なく、誰もが直感的にアプリの設計を理解し、改善提案を行うことが可能です。
ワイヤーフレームを使用したランディングページ設計の例
ランディングページの設計においても、ワイヤーフレームは有効なツールです。ランディングページでは、訪問者に対して一目でメッセージを伝え、アクションを促すことが重要です。
ワイヤーフレームを用いれば、それぞれの要素がどの位置に配置され、どのように訪問者の目を引くか等の視覚的な要素を計画できます。具体的なコンテンツを配置する前に、ページの全体的な流れを作り出し、効果的な情報伝達を可能にします。
また、ワイヤーフレームを用いて設計を行うと、完成したランディングページが目指すべきゴールに対して効率的かつ直感的に近づくことができます。これは、ワイヤーフレームの目盛りにより、訪問者をゴールに向かって誘引することが容易になるためです。
ワイヤーフレームとプロトタイピングの関連性
設計プロセスにおいて、ワイヤーフレームとプロトタイピングは密接に関連しています。ワイヤーフレームが設計の初期段階で、主に構造とレイアウトを定義するのに対し、プロトタイプはより詳細な機能やインタラクションを再現します。
具体的には、ワイヤーフレームは静的な状態のプロジェクトを示し、プロトタイプは実際のユーザー環境での動作をシミュレートします。したがって、ワイヤーフレームはプロトタイプに先立ち、基本的な設計を固める役割を果たします。
この順序により、無駄な作業を削減し、効率的な開発が可能となります。設計初期段階で基本構造とレイアウトを決定し、その後プロトタイピングにおいて具体的な機能や動作を詰め上げます。この流れがデジタルプロダクト開発において一般的なワークフローとなります。
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