WORM(Write Once Read Many)機能とは? 10分でわかりやすく解説
データの改ざんや不正な操作から重要な情報を守るために、WORM(Write Once Read Many)機能の導入が注目されています。WORM機能とは一度書き込んだデータを変更できないようにする記録方式のことで、データの完全性と長期保存を実現します。法規制やコンプライアンス対策にも有効であり、企業のシステムの信頼性向上に役立ちます。本記事では、WORM機能の概要や特徴、必要性、仕組み、ストレージの選び方などについてわかりやすく解説します。
WORM(Write Once Read Many)機能とは
WORM機能の概要
WORM(Write Once Read Many)機能とは、一度書き込んだデータを変更できないようにする記録方式のことを指します。 データの改ざんや削除を防止し、長期的な保存を可能にする技術 であり、重要なデータの保護に役立ちます。
WORM機能の特徴
WORM機能には以下のような特徴があります。
- 一度書き込んだデータは変更や削除ができない
- データの真正性と完全性を保証できる
- 長期的なデータ保存に適している
- 法規制やコンプライアンス対策に有効
WORM機能を利用することで、 データの改ざんリスクを低減し、信頼性の高いデータ管理が実現できます。 また、法律や規制で求められる長期的なデータ保存にも対応することができるため、ビジネス上の要件を満たすことができます。
WORMとは何の略か
WORMは以下の言葉の頭文字を取った略語です。
W | Write | 書き込む |
---|---|---|
O | Once | 一度だけ |
R | Read | 読み取る |
M | Many | 何度も |
つまり、 「一度書き込んだら、あとは読み取るだけ」という意味 が込められています。この名称からも、WORM機能の特性がよく表れていると言えるでしょう。
WORM機能の必要性
データの改ざん防止
企業が保有する重要なデータは、不正な改ざんから守る必要があります。WORM機能を利用することで、 一度書き込まれたデータを変更や削除できないようにし、データの完全性を維持 することができます。これにより、データの信頼性が高まり、企業の情報資産を安全に管理することが可能になります。
コンプライアンス対策
近年、企業には様々な法規制やコンプライアンス要件への対応が求められています。特に、金融機関や医療機関など、機密性の高いデータを取り扱う業界では、 データの保存期間や保存方法に関する厳格なルールが定められています。 WORM機能を活用することで、これらの要件を満たし、コンプライアンス違反のリスクを低減することができます。
内部不正の抑止
企業内部の不正行為は、データの改ざんや削除によって隠蔽される可能性があります。WORM機能を導入することで、 従業員によるデータの不正な操作を防ぐことができます。 また、不正行為が発生した場合でも、改ざん前のデータが残っているため、調査や追跡が容易になります。内部不正の抑止力として、WORM機能は効果的です。
監査証跡の保全
企業の活動を監査する際、データの追跡可能性が重要となります。WORM機能を利用することで、 データの作成から廃棄までの一連の履歴を変更不可能な形で保存 することができます。これにより、監査時の証跡を確実に残すことができ、説明責任を果たすことが可能になります。また、法的紛争が発生した場合にも、確かな証拠として活用できます。
以上のように、WORM機能はデータの改ざん防止、コンプライアンス対策、内部不正の抑止、監査証跡の保全など、様々な場面で企業のデータ管理に貢献します。情報資産の保護と信頼性向上のために、WORM機能の導入を検討されることをおすすめいたします。
WORM機能の仕組み
書き込み後のデータ変更不可
WORM機能の最大の特徴は、一度書き込んだデータを変更できないことです。通常のストレージでは、保存されたデータを自由に編集や削除することができますが、WORM機能を備えたシステムでは、 データの書き込み後に内容を変更することはできません。 この仕組みにより、データの改ざんや不正な操作を防ぐことが可能になります。
一定期間の保持義務
WORM機能を利用する目的の一つに、法規制やコンプライアンス要件への対応があります。多くの業界では、重要なデータを一定期間保持することが義務付けられています。WORM機能を導入することで、 定められた期間内はデータを確実に保持し、保存義務を果たす ことができます。この期間は、業種や法律によって異なりますが、数年から数十年に及ぶこともあります。
保存期間中のデータ削除不可
WORM機能が有効になっているデータは、保存期間中は削除することができません。たとえ管理者権限を持つユーザーでも、 保存期間が終了するまではデータを削除する手段がありません。 この特性により、データの長期的な保全が可能になります。ただし、保存期間が終了した後は、データを削除することができるようになります。
リテンション期間の設定方法
WORM機能を利用する際は、データの保存期間(リテンション期間)を設定する必要があります。リテンション期間は、データの種類や用途に応じて適切に設定することが重要です。一般的には、以下のような方法でリテンション期間を設定します。
- システム全体で一律のリテンション期間を設定する
- データの種類ごとにリテンション期間を設定する
- 個別のファイルやフォルダにリテンション期間を設定する
リテンション期間の設定は、システム管理者が行うことが一般的です。 また、一度設定したリテンション期間を短縮することはできませんが、延長することは可能な場合があります。ただし、リテンション期間の延長は慎重に検討する必要があります。
以上が、WORM機能の基本的な仕組みになります。データの不変性を保証し、改ざんや削除を防ぐことで、重要な情報を長期的に保護することができます。システムの信頼性を高め、コンプライアンス要件を満たすために、WORM機能の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
WORM機能を備えたストレージの選び方
WORM機能を備えたストレージを選ぶ際は、以下のような点に注意しながら、自社のニーズに合ったものを選択することが重要です。
ハードウェアWORMとソフトウェアWORM
WORM機能は、大きく分けてハードウェアベースとソフトウェアベースの2種類があります。
- ハードウェアWORM:専用のハードウェアを使用し、物理的にデータの変更を防ぐ方式。 高い信頼性を持つ一方、コストが高くなる傾向があります。
- ソフトウェアWORM:ソフトウェアによってデータの変更を制限する方式。ハードウェアWORMに比べて低コストで導入できますが、 セキュリティレベルはやや劣ります。
どちらを選ぶかは、求められるセキュリティレベルとコストのバランスを考慮して決定する必要があります。
WORM対応ストレージの比較
WORM機能を備えたストレージには、様々な種類があります。代表的なものとして、以下のようなものがあげられます。
ストレージの種類 | 特徴 |
---|---|
光ディスク(CD-R, DVD-R等) | 安価で手軽に導入できるが、容量が少なく、アクセス速度が遅い |
テープ(LTO等) | 大容量データの長期保存に適しているが、ランダムアクセスが苦手 |
コンテンツアドレッサブルストレージ(CAS) | ハードウェアWORMを実現し、高い信頼性を持つが、コストが高い |
オブジェクトストレージ | ソフトウェアWORMを実現し、スケーラビリティに優れるが、パフォーマンスがやや劣る |
自社のデータ量や用途、予算などを考慮しながら、最適なストレージを選択しましょう。
導入時の注意点
WORM機能を導入する際は、以下のような点に注意が必要です。
- データの保存期間(リテンション期間)を適切に設定する
- WORM機能が確実に動作することを確認する
- 運用管理体制を整え、権限管理を徹底する
- バックアップ・リストアの方法を確立する
特にリテンション期間の設定は慎重に行う必要があります。 一度設定したリテンション期間は短縮できないため、長めに設定しすぎると無駄なコストがかかってしまう可能性があります。
コストとベネフィットの見極め
WORM機能の導入にはそれなりのコストがかかります。そのため、 導入による効果とコストを比較し、費用対効果を見極めることが重要です。 以下のような観点から、WORM機能の必要性を検討しましょう。
- 法規制やコンプライアンス要件への対応の必要性
- データ改ざんのリスクの高さ
- 長期的なデータ保存の重要性
- 内部不正対策の必要性
これらの要素を総合的に判断し、WORM機能の導入が自社にとってメリットがあるかどうかを見極めてください。
以上が、WORM機能を備えたストレージの選び方のポイントです。自社のニーズに合ったストレージを選択し、適切に運用管理することで、データの長期的な保護と信頼性の向上を実現しましょう。
まとめ
WORM(Write Once Read Many)機能は、一度書き込んだデータを変更できないようにする記録方式で、データの改ざん防止と長期保存を実現します。法規制やコンプライアンス対策にも有効で、企業のシステムの信頼性を高めます。WORMは物理的または論理的な方法で実装され、保存期間(リテンション期間)を設定することで確実なデータ保護が可能です。WORM機能を備えたストレージの選択では、ハードウェアとソフトウェアの特性や自社のニーズを考慮することが重要です。コストとベネフィットを見極め、適切な運用管理体制のもとでWORM機能を活用することで、重要なデータを安全に守ることができるでしょう。
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