イベント報告

【対面イベント】大手ゼネコン3社のDX推進と、ソリトンのセキュリティ|建設業向けDXセミナー 業務効率化とセキュリティ対策

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建設業界では、人手不足や労働者の高齢化といった課題に対応するため、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化が進められています。併せて、DX推進によって現場で活用される機会が増えるデバイスやネットワークのセキュリティ確保という新たな課題への対処も重要となります。

株式会社ソリトンシステムズ(以下、ソリトン)は2024年9月18日「第3回建設業向けDXセミナー 業務効率化とセキュリティ対策〜建設業界におけるDX推進の具体的な取り組みを中心に〜」というセミナーを開催。大林組、西松建設、清水建設の3社をお招きし、各社から建設業界におけるDXの最新事例をご紹介いただきつつ、ソリトンからもセキュリティに関する4つのセッションを行いました。本イベントは、会場とアーカイブ配信を合わせて約1,000人の方に参加いただき、盛況のうちに終了しました。

この記事では、各社の講演内容や当日の様子をもとに、建設業界におけるDXの最新動向とセキュリティ対策について解説します。

建設業の未来に向けて。ゼネコンとソリトンが描く新しい現場のかたち

本セミナーは建設業が抱える特有の課題に対して情報を発信し、業界全体で課題解決を図ることを目的に、2018年から実施しているイベントです。

建設業は「危険/過酷」といった先入観を持たれやすく、若い人材の確保が難しいという現状があります。そのため各社では積極的にDXに取り組むことで、より快適で効率的な業務環境の整備を目指しています。今回は、各社が取り組んでいる最新のDX推進事例について紹介いただきました。また、DX推進と併せて必要となるセキュリティの部分についてはソリトンが講演を担当し、現場で作業を極力中断することなく、安全性を確保する手法について紹介しました。

大手ゼネコンにおけるDXの事例は、業界全体の関心事です。その理由について、株式会社ソリトンシステムズ DXサービスソリューション本部の笠井 英興は建設業界の気風とともに説明します。

“大手ゼネコンも中小規模の事業者の方も、ライバルであると同時に、同じ業界の仲間という意識が強いのが建設業界の特徴です。

そのため、先行事例を持っている企業の方は情報を共有して「一緒に盛り上げていきましょう」という姿勢ですし、これからDXを進める企業の方は「ぜひ教えてほしいです」と前向きに参加いただいています。

こうした仲間意識があるから、セミナーも毎回、盛り上がっているのだと思います。”

大手ゼネコン3社のDX推進と、ソリトンが提供するセキュリティ

第3回となる今回のセミナーでは、まず最初に基調講演として大手ゼネコン3社のDXにおける最新事例が紹介されました。

生産プロセスにおけるBIMとドローン活用の取り組み/大林組 堀内英行氏

株式会社 大林組 DX本部 本部長 室長の堀内英行氏は、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)とドローンの活用による生産性向上について解説しました。BIMは、3次元の建物モデルに様々な情報を付加できるシステムで、壁の中の配管や配線、鉄筋の本数まで3D画面上で確認することが可能です。従来のように壁を壊して確認する必要がなく、施工効率を大幅に向上させることができます。また、ドローンによる測量データの活用で省力化を実現しています。これらの技術は2025年に開催される大阪・関西万博「夢洲プロジェクト」でも活用されています。


西松建設におけるDX推進を支えるICTインフラ強化の取り組み~パスワード運用見直しによる業務効率化~/西松建設 堀泰久氏

西松建設株式会社 DX戦略室 ICTシステム部 部長の堀泰久氏は、デジタルツインや建機の遠隔操作システムを活用したトンネル工事の事例を紹介しました。この取り組みでは、トンネル内の情報をIoTセンサー等で収集し、サイバー空間上で再現。この情報を元に、資材調達や遠隔での施工を行います。施工では、計測や掘削など、あらゆる作業を遠隔で実施できる無人化施工システムの開発を進めており、2027年度までの実用化を目指しています。


清水建設中期DX戦略と情報セキュリティについて/清水建設 室井俊一氏

清水建設株式会社 デジタル戦略推進室・基盤システム部長の室井俊一氏からは「温故創新の森NOVARE」をはじめとする、デジタル技術を活用した業務変革の事例説明がありました。このプロジェクトでは、電力や熱源の供給状況をサイバー空間上で可視化することで、効率的なエネルギーマネジメントを実現しています。また、国土交通省の「スマートシティ先行モデルプロジェクト」にも採択された豊洲スマートシティでの取り組みについても紹介。建物OSクラウドを活用し、館内の人数に応じた空調・照明の調整、コンテンツ配信を行うといった先進事例が示されました。。


続くソリトンのセッションでは、4名の登壇者がそれぞれの専門分野からセキュリティソリューションを提案しました。

実状からみるゼロトラスト移行の現実解 ~ソリトンZTAの今後~/ソリトン 服部良平

株式会社ソリトンシステムズ ITセキュリティ事業部 プロダクト&サービス統括本部の服部良平は、DX推進の一環として進められているゼロトラストセキュリティの要件について説明しました。ソリトンは、データへのアクセスの入口となる「認証」、アクセスを許可したデータの安全性を確保するための「データ保護」、そして現場に負担をかけないための運用と管理が重要であると考えています。認証を実現するソリューションとして「Soliton OneGate」、データ保護を実現するソリューションとして「Soliton SecureBrowser」と「Soliton SecureWorkspace」を、それぞれ紹介しました。


i-Construction 2.0 に対応した建機の"超"遠隔操縦の実際/ソリトン 百武真也

株式会社ソリトンシステムズ 映像コミュニケーション事業部の百武真也は、建機の遠隔操作を支える超短遅延映像伝送技術「Smart-telecaster Zao-SH」について解説しました。建設業では、生産性向上や働き方改革などを目的として国土交通省が策定した「i-Construction 2.0」への対応が求められています。具体的には、自動施工・遠隔施工の推進が必要で、そのための技術導入が不可欠です。こうした課題に対応できるソリューションとして、ソリトンでは「Soliton Zao Cloud」を提供しています。Soliton Zao Cloudは長距離遠隔操作が可能で、超短遅延で建機を操縦することが可能です。また、万が一に備えて緊急停止ボタンなども装備されているため、安全かつ効率的な作業を実現します。


Attack Surface Managementから視える組織像/ソリトン 松本吉且

株式会社ソリトンシステムズ サイバーセキュリティ事業部の松本吉且は、企業における外部公開IT資産のマネジメントについての調査内容を報告しました。このセッションでは、VPNやWebサイトなど、外部公開されているIT資産へのセキュリティ対策が不十分なことで、ランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃の起点となっていることを説明。そのため脆弱性や認証プロンプトなど、問題がある領域を適切に把握した上でセキュリティ対策を実施することが不可欠となります。その具体的な手段として、外部公開されているIT資産の問題を調査する「Attack Surface Management サービス」を提案しました。


セキュリティリスクに対応する包括的運用と構想/ソリトン 望月匠

株式会社ソリトンシステムズ サービスアシスト事業部 事業部長の望月匠は、建設業界共通の認証基盤構想について説明しました。現場では元請け・下請けと、多くの事業者が出入りするため、それぞれの認証管理が課題となっています。特に、複数の現場を掛け持ちする協力会社の作業員は、現場ごとに異なる認証情報を管理する負担が大きく、セキュリティと利便性の両立が困難でした。そこで、「Soliton OneGate」で、デジタル証明書という共通の基盤で認証管理を実施。また、「IT-LCM(Life Cycle Management) サービス」で自社の課題や要件に沿ったIT機器の導入・運用を実現します。


1,000人規模の参加者が示す建設業界の課題と未来

今回の建設業セミナーには、後日のアーカイブ配信と合わせて前回の2倍となる約1,000人の方にご参加いただきました。またセミナー後の懇親会にも多くの参加者が集まり、活発な情報交換が行われました。

「大手ゼネコンのDX事例、特にBIMの活用方法が具体的で参考になった」「現場の作業性を考慮したセキュリティ対策の手法を学べた」「他社の取り組みを直接聞ける貴重な機会だった」など、参加者からは前向きな声が多く寄せられました。

笠井は第3回建設業向けDXセミナーを終え、次のように総括しました。

“今回、これだけ多くの方にご参加いただいたのは、DXやセキュリティに対する不安や課題意識の現れだと考えています。特に、中小規模の建設会社では、DX推進の必要性は感じているものの、具体的な進め方やセキュリティ対策に苦慮されているようです。

セキュリティに関しては、ネットワークの安全を守りつつ、現場の利便性も両立することが、国産メーカーであるソリトンの使命だと強く感じています。今後は、建設業界向けの共通認証基盤の構築や、AIを活用した新しいセキュリティソリューションの開発も進めていく予定です。また、今回のセミナーはもちろん、日々の業務の中でも建設業界の企業様からお声がけいただくことも少なくありません。そのため、情報発信の場は継続して設けていきたいと考えています。建設業界ならではの仲間意識を活かして、業界全体でDXを推進していく。その基盤として、セキュリティの部分を中心に今後もサポートしていきたいと思います。”

今後も各イベントに出展予定です!

ソリトンシステムズは、幅広い分野でご活用いただけるソリューションをご紹介すべく、今後も様々なイベントに出展予定です。

皆様のご来場、ご参加を心よりお待ちしております。

ソリトンの出展情報はこちらからご確認いただけます。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム